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20xx.xx.xx 【 2022.09.30 update

用語辞典

数えきれないZ/X用語

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収録ワード 210 words

ワード
新規 エクリプス・デュオ
ナズナ
アバター[更新] / reunion / リルフィ / リングデバイス
プリンセス・マギカ レヴィー / ワールドアバター / 星界融和(ワールドアバター・クライシス)[更新]
暁十天 / 安倍晴明 / 転身(オーバーブースト)
アステリズム / アドミニストレータ / イレギュラーX / XIフラッグス / ウェポンクラウド / NIS / ε17 / オリジナルXIII
アルター / 暗黒騎士 / エンジェル
鮮刀子集団 / アトラクナクア / イリューダ・オロンド / 円卓会議
ヴェスパローゼ / エレメンツ
アクティベート / アバター / アルターフォース / アルターブレイク / アンリミテッドブースト / イグニッション・オーバードライブ / 誓装(イグニッション・オーバーブースト) / イグニッション久保田 / iDA(イデア) / 覚醒者(ウェイカー) / エヴォルシード / 竜域(エネルゲイア)
討ち祓う者(アシピユ)
アスツァール / イース / イデア / イデアドライブ / 夢装(イデアライズ) / 叡智極点戦争(ウィズダムゼニス・ウォー) / 零域(エンテレケイア) / 落とし仔
虚のさざなみ
ガーンデーヴァ / ギガンティック / 魔導書 / 九大英雄 / 極麗六鳥 / 九頭竜学院大学
キラーマシーン
ガーディアン / 上柚木さくら / 記憶転生 / 祈獣 / 輝聖 / ギルド“暁” / クライシスアーク / ケット・シー / 五煌聖獣
怪盗団“黄昏” / 上柚木八千代 / グール / 美食楼 / 黒崎春日 / 黒剣 / 黒剣八魂
五頭領
カードデバイス / カール・ワイバーン / Guns!Guns!Calamity / キャプチャー / キュレータ
叶えし者(キラツ) / キ / ギルガメシュ
ク・リト / 顕臨姫 / 根源ク・リト
《最凶生物》 / 三博士 / 式神 / 創星六華閃
サテライト / 三神器 / 獅子島・L・七尾 / シャスター / シャスターFPGAアトラス / シャドウ / シンクロトロン / ソル
十二使徒 / 終末天使 / 十輝聖 / セイクリッドビースト / 双極天使
神祖の仮面 / ステイシー
桜街家 / 桜街紗那 / 四皇蟲 / 新五頭領 / 千年國 / ソーマワクチン
SHiFT(シフト) / 剣臨(シフト) / ステラ・リース / Z/X / ゼロオプティマ
死灰 / シャイニングエンジェル / 邪竜 / 焼失 / 神門
シュブニ・グ
星界
蝶ヶ崎ほのめ / 転身(てんしん)
治安維持部隊 / D・ウィッチ / 天竜ゆたか / トゥエルブ
超既視感
ダゴン・カルテル / ディアボロス / デススミス商会 / 百目鬼財団 / トーチャーズ
大樹ユグドラシル / 百目鬼きさら
CHASE HAZARD 3 / 討祓戦 / 特異点(竜の巫女視点)
神(ディンギル) / 神域(デュナミス) / 特異点(神視点)
ドリーム・キー / 幻夢郷(ドリームワールド)
NOAH計画
NanaoXX / ネオ・シャスター
ニーナ・シトリー / ニャインライブズ
七大罪 / ネイ / ネクロノミコン / ノスフェラトゥ
七枝刀
ニャルラト
ブレイバー
バトルドレス / ファム / フラッグス / フレデリカ
ペンドラゴン使徒教会
ハイドラ財団 / プレデター / 墓城 / 墓城七姫
破神祭 / 八大龍王 / 八宝美神 / ピュアティ / プラセクト / プリンセス / 紅姫 / ヘルソーン / ホウライ
始まりの竜 / ブラックポイント
願う者(ヒツ) / 賜わりし者(プリュツ)
マイスター / ミソス / 都城出雲
マーメイド / マスプロトロン / メタルフォートレス
メインクーン
魔眼 / マルディシオン / 冥土三姫
マジカル
メテオブレイドRPG
冥界
妖狐
四大天使
四凶星
鑰匙
夜刀うらら / ヨグ・ソティス
雷鳥超 / レーベ・エンデ
ロイガー・ダイナミクス
ライカンスロープ / リーファー / 龍王殿 / リンドヴルム協会
リソース / リソース症候群 / 竜の巫女 / 竜脈
楽園
竜の姫君
星界融和(ワールドアバター・クライシス)

暁十天

[ あかつきじゅってん ] 称号 / 赤の世界

 ハイドラ財団の指示を受けNOAH計画を進めていた九頭竜学院大学の天才青年科学者は、本来の計画を無視し、錬金術をも駆使して、新人類ブレイバーを生み出すことに成功した。後に三博士のひとりと呼ばれることになる青年は、亡き妹の魂と肉体を完全にリンクさせて蘇らせるため、ブレイバーを生み出す実験を続けたが……試みは芳しくなく、徐々に正気を失いつつあった。

 彼を兄のように慕うひとりの女研究者がいた。青年は彼女が発案したギガンティックを生み出す技術に数々の助言を与えたばかりか、ブレイバーの能力を高める相手役にギガンティックが必要だとハイドラ財団に掛け合い研究資金を引き出すなど、生きていれば妹と同じ年頃のその女研究者を可愛がっていた。

 妹の復活に取り憑かれた青年を見守ることが辛くなった女研究者は、拠点を南アフリカへ移してからもブレイバーの実地試験にギガンティックを使い協力していたが、ある時、最初の九大英雄たるアーサーが反旗を翻して研究所を脱走したこと、それを機に青年がいよいよ狂気に堕ちようとしていることを知る。

 青年の研究を止めるため、女研究者は暁十天の創造を決意した。

 やがて、暁十天率いるギガンティック軍団が研究所を強襲。どさくさに紛れて青年の編み出した技術を盗まんとする者たちも現れ混乱する中、アーサーの追手としてつくられた残りの九大英雄たちは、暁十天たちと交戦状態に陥った。彼らは研究所の崩壊後も、世界中に散らばって、地上の覇者となるべく戦い続けている。

 ギガンティックを生み出す技術が認められ、後に青年と同じく三博士のひとりとして名を連ねることになる女研究者も、その後の消息は分かっていない。

アクティベート

[ あくてぃべーと ] 技術・技法 / 現代・竜域

 ゼクスをカードデバイスから開放し現出させる行為を指す。

 アクティベートと同時にカードデバイスはリソースを放出するようになり、連続使用により蓄積されたリソースはデバイス周辺に擬似的なブラックポイントを構築するだろう。これにより、周辺のブラックポイントの有無に関わらず、存在が強力なゼクスのアクティベートを可能にするのだ。

鮮刀子集団

[ あざとうすしゅうだん ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。

 表の顔は香港を本拠地とする巨大な穀物商社であるが、その出自は晋の時代より続く風水師の集団と言われている。

 冷戦の時代にハイドラ財団と手を組んだ彼らは風水の技術で天候を操り、世界的な大凶作を演出することで、同業他社を廃業に追い込んだり買収するなどして勢力を伸ばした。冷戦期以後も恣意的に世界中で異常気象を作り出し、人々の飢えを商売にしている。

 元の時代には日本への遠征に手を貸したが「百目鬼」と呼ばれる陰陽師の集団に阻止され、それ以降数百年来、百目鬼財団とは血で血を洗う抗争を繰り広げてきた。

 仮面の属性は「暴食(gluttony)」。

討ち祓う者(アシピユ)

[ あしぴゆ ] 称号 / 神域

 神エンキの遣いである斑鳩つばさを通じて《浄めの矢》を射ることができるようになった者。《叶えし者》の深度を能動的に下げられる唯一の存在。

 その能力の性質上、現時点で《討ち祓う者》となれるのは弓矢の熟練者に限られる。また、間接的に神エンキと契約することになるが、心や魂が穢されることはない。

[ 2020.07.28 追記 ]

 討祓戦において《討ち祓う者》の一撃は、不死身である神そのものにも有効打を与えることが証明された。

アスツァール

[ あすつぁーる ] 人物 / 異海

 狡猾で残忍。生まれながらに「悪意」を備えたク・リト「ア・ザトアース」の生まれ変わりとも呼ばれる存在。古の昔、気まぐれに温厚なディンギル一族を滅亡へ追いやり、彼らを怨讐の化身へと変じさせた張本人でもある。

 現在はその罪を問われ、永久牢へ繋がれている。絶大な武力は失われて久しく、容姿も幼いものへ変じているが、未だ脅威であることに変わりはない。

 ……だが、その縛鎖は、ある人物により外されようとしていた。

アステリズム

[ あすてりずむ ] 組織 / 青の世界

 オリジナルXIIIに次ぐ、高性能戦闘用バトルドレス(ドゥーベ、メラク、フェクダ、メグレス、アリオト、ミザール、ベネトナシュ)から成る秘密組織の名称である。表向きはシャスターの忠実な駒として、リヴァイアサン(海)、ジズ(空)、バハムート(陸)のいずれかの部隊に所属し青の世界の治安維持に従事しているが、実はアドミニストレータ ポラリスと意思を同じくする者たちである。

 しかし、ポラリスや彼ら自身は知らない。アステリズムがシャスターのバックアップとして生み出された存在であることを。

 彼らはそれぞれの曜日に起きた出来事を分割してバックアップさせられている。ひとりずつでは何の意味もないが、定期的に彼らのデータが統合されることで、シャスターの安全性は保護されている。逆に言うと、彼らの中にあるシャスターのデータをリライトすることでシャスターに影響を与えることが出来る可能性があるが、当然、セキュリティは甘くない。

月曜日 ドゥーベ
火曜日 ミザール
水曜日 フェクダ
木曜日 メラク
金曜日 メグレス
土曜日 アリオト
日曜日 ベネトナシュ

アドミニストレータ

[ あどみにすとれーた ] 称号 / 青の世界

 青の世界を支配するスーパーコンピュータ・シャスターを開発した7人の天才エンジニア、それがアドミニストレータと呼ばれる者たちである。

 その肉体は失われて久しく、記憶のすべてはコンピュータに記録されている。人類の前に現れる時もアバターと呼ばれる人型アンドロイドを遠隔操作しているに過ぎない。彼らはまさにデータ人間と表すべき存在なのだ。

 通常、アドミニストレータの本体はシャスターのミラーコピーとともに世界のどこかへ隠され、居場所は互いにも知らされていない。また、各々が1体のオリジナルXIIIによって守られている。アドミニストレータが自分を守護するオリジナルXIIIを他の場所に派遣するのは、よほどの一大事が発生した時に限られるだろう。

ベガ オリジナルXIIIの開発者。ある理由で各務原あづみに執着している。
オリジナルXIII Type.Iが彼女を守護している。
アルタイル バトルドレスの共同開発者。詳細不明。
Type.IIIに守護されている。
デネボラ キラーマシーンの開発者。何者かによるキラーマシーンの暴走に頭を悩ませている。
Type.Vに守護されている。
カノープス メタルフォートレスの開発者。究極の兵器を作るためローレンシウムとその兄弟機を争わせる。
Type.VIIに守護されている。
アルクトゥルス あらゆる技術を理解し拡張する者。青の世界の暗部を担い、ソルの右腕として活動する。
Type.IXに守護されている。
ポラリス シャスターに支配された青の世界を良く思わず、対抗するために現代世界の科学者と共同でカードデバイスを開発した。
Type.XIに守護されている。
ソル シャスターを設計したメイン開発者。アドミニストレータのリーダー格だが詳細不明。
Type.XIIIに守護されている。

アトラクナクア

[ あとらくなくあ ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。

 表の世界ではフランスのパリを本拠地とする宝石業界最大手「ルクスリアグループ」として名が通っており、世界規模で芸能事務所やモデルエージェンシーを経営し、世界中から集めた美女たちによって美の世界を支配している。

 しかし、その実態は女性の武器を最大限に活かし15世紀から暗躍を続けている、女性だけで構成された暗殺者集団アトラクナクアである。彼女たちの色香に惑い、闇に葬られた哀れな権力者たちの数は知れない。

 仮面の属性は「色欲(lust)」。

アバター

[ あばたー ] 称号 / 五つの世界

 竜の姫君が五つの世界の「融和」を提唱するようになって以降、不思議な体験を語る者が出現し始めた。

 いずれ劣らぬ存在感を放ち、まるで各世界を代表する〝顔〟のような人物であることから、青の世界のポラリスと白の世界のミカエルは彼らを「アバター」と呼称することにした。当人たちは口を揃えて〝世界の意思〟という詳細不明の概念に言及しており、〝それ〟から神気に近しい性質の力を得たとされる。

 ゼクスへ堕落した元神にも働き掛けられていることから、未だ神の権能を失わずにいる討ち漏らしの存在と、その暗躍も疑われた。しかしながらアバターには《叶えし者》に見られたような精神汚染が観測されず、すべては推測の範疇を出ない。

 前出のポラリスとミカエルは現在、ペンドラゴン使徒教会大阪支部の一室を間借りし、様々な会合を重ねている。ふたりもそれぞれの世界の〝顔〟と言えるかもしれないが、〝世界の意思〟からの働きかけはない。

[ 2022.09.30 追記 ]

 アバターが口にする〝世界の意思〟の正体は「繁栄へ導く進化概念」。現代と五つの世界それぞれを見守る「竜の巫女」にも根ざしている要素である。

 神々が創出した「破滅を齎す進化概念」によって上書きされていたが、その表層がワールドアバターとなり、剥離。封印されていた本来の進化概念が表出した。

 アバターは現代と五つの世界それぞれにおいて、繁栄の道筋を照らし得る人物へ権能を分け与えたのち、自らも古代生物の姿を借りて顕現している。

安倍晴明

[ あべのせいめい ] 人物 / 赤の世界

 陰陽術を行使する〝最強〟のブレイバー。

 直系の子孫が当主を務める百目鬼一族の間で始祖の魂を降ろすことは禁忌とされてきたが、法や秩序が崩壊しきった赤の世界末期、ついに現出。数百年の刻を経て蘇った。うら若き少女の器を与えられてはいるものの、魂の性別は不明。

 赤の世界に終末をもたらし、現代へ。自衛隊北九州方面隊本部を制圧し、拠点とした。目的は不明だが、他者を害する行いに躊躇いがなく、冷酷無比な性質は使役する式神にも現れている。北九州方面隊の所属ではないが、安倍晴明の台頭を良しとしない妲己と取り巻きの妖狐たち、そして織田信長率いる武将と交戦中。

 竜域や五つの世界には〝なんらかの血縁を持つ者〟が複数存在している。青の世界のポラリス、黒の世界のインウィディア、ゼクス使いの百目鬼きさらは、既に認知された。

 余談だが、多数の学者を輩出する上柚木は百目鬼の分家である。優秀な遺伝子は脈々と受け継がれているのだ。

アルター

[ あるたー ] 技術・技法 / 現代・白の世界

 偉大なる大天使は類まれなる権能を持つ。それすなわち「超既視感」「時間遡行」「記憶転生」。

 彼は「超既視感」により、愛する者が落命する悪夢を幾度も見た。

 彼は「時間遡行」により、愛する者が生きながらえる道を探った。

 彼は「記憶転生」により、愛する者に異なる別人格を植え付けた。

 愛するがゆえ愛する者と別離するという苦渋の決断を下したにも関わらず、愛する者が青い巨大ロボットに殺害されてしまう、バッドエンドの悪夢から解放されることはなかった。悪夢を避けるためか、可能性の模索に我を忘れたためか、いつしか眠らなくなった大天使は消耗してゆく。与えられた権能を私利私欲のために使い続けた愚かなる大天使、それが「ウリエル」という男である。

 しかしながら、彼が持つ、誰よりも平和を愛する優しい心もまた真実。白の世界の頂点として、民を脅かす神々の脅威に立ち向かうため、彼は満身創痍の翼を羽ばたかせた。そして、一時的な神々の封印に成功したのである。その犠牲は、人類が神々への対抗策を得るまでの時間稼ぎとしては十分であった、が……。

 大天使が神域の彼方へ姿を消してから、しばし――

 黒き翼の「ダークウリエル」と成って戻って来た彼は、生命を賭してまで護った白の世界で、破壊の限りを尽くした。神域に渦巻く神気、人竜への怨嗟に穢され増幅された絶望は、神々が討祓されても消え失せることはなかったのである。

 いま、彼は遥かなる幻夢郷に居る。なぜか。

 絶望の歴史を塗り替えるという、ソルの提案に賛同したため。夢想が現実となる地より、生きとし生きる者へ、絶望の悪夢を振りまくため。

 手始めに、ソルに楯突くク・リト王家に連なる者、与する者へ矛先は向けられた。影響を受けたゼクスは、バッドエンドの姿「アルター」に遭遇するだろう。

アルターフォース

[ あるたーふぉーす ] 技術・技法 / 現代・竜域

 カードデバイス使用者と竜の巫女の願いが繋がった時に発動すると言われている力――

 イグニッションオーバードライブ

 緑の竜の巫女クシュルの死を超越する進化への想いによって発動した力――

 エヴォルシード

 そして、赤の竜の巫女メイラルの強者を勇者に覚醒させる祈りによって発動した力――

 アルターフォース

 竜の巫女の願いに反応するよう、アドミニストレータ ポラリスによって作られたカードデバイスは、イレギュラーな存在であるはずの他の世界の巫女たちの、想いや祈りにも反応を示してしまった。

 果たして激しい戦乱の世と化したこの世界は、何色の未来へと突き進んで行くのであろうか。

アルターブレイク

[ あるたーぶれいく ] 技術・技法 / 現代

 あるゼクスにとって、現在の境遇がベストまたはベターであると仮定する。その上で、本人やパートナーの選択次第では現実となっていたかもしれない境遇、特にバッドエンドを迎えてしまった〝もしもの姿〟を具現化した幻影が「アルター」である。

 アルターはゼクスが抱えるトラウマや弱点そのもの。存在そのものが本人を惑わせ、弱らせ、目を背けさせ、挙げ句の果てには成り代わろうとさえする。白の世界の頂点に君臨した者から規格外の強度で放たれた精神汚染に対し、ドリーム・キーによる防御効果は期待できない。唯一の対抗手段は共に苦難を乗り越え寄り添ってきたパートナーの声のみである。

 両者に確固たる信頼関係が築かれているならば、声は幻影(アルター)を打ち破り(ブレイク)、ゼクスをさらなる高みへ誘うだろう。

暗黒騎士

[ あんこくきし ] 称号 / 白の世界

 神祖の嫉妬の仮面をかぶり、エンジェルでありながらディアボロスとなったガムビエルの新たなる能力「反転」。その領域に触れた者は潜在意識に眠る感情……。通常であれば負の感情を喚び起こされ、性格や考え方が正反対になってしまう。白の世界を護るという確固たる信念を持つガーディアンには特に有用であり、彼女はこの能力を用いて私設軍隊を結成しつつある。

 ガムビエルは彼らを「暗黒騎士」と呼んだ。

アンリミテッドブースト

[ あんりみてっどぶーすと ] 技術・技法 / 異海

 絆を結んだゼクス使いとパートナーゼクスがひとつに合体した「イグニッション・オーバーブースト」。もしもの姿が具現化した〝悪夢〟を認め乗り越え、自身の一部として取り込んだ「アルターブレイク」。

 イデアとドリーム・キーの影響を受け、ソルやキュレ―タ、ク・リトを巡る極限の死闘を経て、絆を根源とするふたつの異なる力は重ね合わさり……。パートナー同士が背中合わせに戦う〝夢〟を現実のものとした。ゼクス使いが単身でイグニッション・オーバーブーストの能力を行使できるようになったのである。

 ゼクス使いにかつてないチカラをもたらした新たな技法「アンリミテッド(オーバー)ブースト」は当事者たちの間で「ULOB」とも呼称される。

 一方、アンリミテッドブーストを体得したゼクス使いのパートナーゼクスも新たなチカラを得た。取り込んだ悪夢を因果のひとつ「アルターシフト」として行使可能となっている。

 新たなチカラは幻夢郷の理によるものと分析されているが、真相は不明。

イース

[ いーす ] 人物 / 異海

 ソル配下の幹部のひとり。メイドとしてソルに仕え、先輩風を吹かせるレーベ・エンデの後をついて回っている。かつてはアスツァールに仕え、旧き神々を滅ぼした際にも同行していた。

 ク・リトに身体を支配された人間のひとりであり、「イース」はク・リト人格の名である。類似案件として、ヨグ・ソティスに身体を支配されたトネリ・マジョーリ(イリューダの娘)の例があるものの、生身の肉体が不要な幻夢郷においてもなお〝ク・リトが憑依し続けている〟〝二人格が同居している〟点が異なる。

 元々はアスツァールが神域および竜域で活動するために支配した身体であった。しかしながら、膨大な魔力を支えきれず、結果的にアスツァールが本来の力を失う原因ともなったため、用済みとばかりに棄てられた。少女を不憫に感じたイースはアスツァールの帰還後も竜域へ残り、棄てられた身体に憑いた。森の奥深くで結界を張り、誰とも関らず、少女の心と身体が癒えるのを、永遠にも近い年月待ち続けた。神々を蹂躙したアスツァール、その暴虐を止められなかった自身やク・リト王家に、静かな怒りを抱いている。

 存在を知ったソルがその叡智をもって手を差し伸べたことにより、人間人格はついに目覚めた。半ば無理矢理覚醒させた代償として、イースはク・リトの特性を永久に失った。同時に痛覚も失われており、多種多様な暗器を駆使した、罪滅ぼしとも取れるような、後先考えない無謀な特攻をかける。

 定着してしまった自身の魂を分離するための研究・検証と引き換えに、ソルやレーベ・エンデが立案した作戦の実行部隊として活動している。余談だが、ナンダルタスクの異なるニ人格が安定したのは、研究・検証の過程で被験体に選ばれた結果である。

[ 2021.11.05 追記 ]

 目覚めた人間人格**は気付いている。

 イースが信頼を寄せるソルに破壊と再生の企てがあること。イースがそれを承知の上でソルに与していること。イースが幻夢郷を見捨てる決断に、罪悪感を覚えていること。危機に陥りつつある幻夢郷を守るため、立ち向かう者たちがいること。

 ソルに従い続けるならば、ソルは約束を遵守するだろう。ふたりの魂は分離され、手を取り合って生きる道筋が示される。イースはそうなることを願っている。

 ソルに異を唱えるならば、ふたりの魂は分離されないだろう。**の魂は遠からず消滅してしまうが、イースは故郷を裏切る罪悪感から解放される。**はそうなることを願っている。

 いずれの決断をするにせよ、光がふたりを照らすと信じよう。

イグニッション・オーバードライブ

[ いぐにっしょんおーばーどらいぶ ] 技術・技法 / 現代・竜域

 ゼクスの複数同時使役を可能にする能力、それがイグニッションオーバードライブである。厳密には発動の準備段階を「イグニッション(IG)」、複数使役完了の状態を「オーバードライブ(OD)」と呼称する。

 リソースの流れを読み取る能力以上にカードデバイス使用者の才能が問われるため、発動させられる者は非常に稀。仮に才能に恵まれたとしても自在に発動させることは不可能だという。

 本来カードデバイスに備わっている機能ではなく、発動のメカニズムは謎に包まれている。想像主たる神のごとき所業から、自ら〝IGOD〟を名乗る使用者もいる。

 謎に包まれていたカードデバイスの当機能については、純粋に「この世界を守りたい」と願う存在と竜の巫女の心が繋がった時に発動する現象という説が、その後の研究で有力視されている。

誓装(イグニッション・オーバーブースト)

[ いぐにっしょんおーばーぶーすと ] 技術・技法 / 現代・竜域

 白の竜の巫女ニノと黒の竜の巫女バラハラが共同開発した技法。絆を結んだゼクス使いとパートナーゼクスが行使でき、ふたつの身体がひとつに合体する。具体的にはゼクスの身体能力を遥かに増幅された状態が維持される。

 竜の巫女が編み出した技法ではあるが「誓装」する両者の間になんらかの絆さえ確立されていれば、神に与し者であろうと利用可能。また、絆の練度が一定基準へ達していない者同士で行使した場合は「契騎」と記載される。

イグニッション久保田

[ いぐにっしょんくぼた ] 人物 / 現代

 ゼクスやその使役者たちが己の未来のために闘う場で、しばしば姿を現す黒スーツの男。自らカードデバイスを手に戦うことも多く、けっこう強い。だが、交戦した者は口をそろえて「絶望するほどでもない」と唱えていることから、ラスボスになりきれない中ボス的立ち位置を確立しつつあるようだ。

 座右の銘は「なんでこないなってもうたんや……」。飛鳥の明言のいわゆるひとつのパクリだが、失意体前屈気味に発音するのが特徴。

 彼は常に派手な仮面を装着しているため、当初、ディアボロスではないかと考えられていたが、複数の異なる意匠の仮面が目撃されているため「ディアボロスにしては節操がない」として恥ずかしがり屋説、自分のことをカッコカワイイと思い込んでいる一般人説など、様々な憶測が飛び交う結果となってしまった。

 活動目的は謎に包まれている。

iDA(イデア)

[ いであ ] 組織 / 竜域

 3人編成の新人アイドルユニット。女性の美を知り尽くす、黒の世界の七大罪 色欲の魔人ルクスリアとク・リトのニャルラトがスカウトや面接を行い、素人ながらも実力派のメンバーを集めた。

 出資はアトラクナクア。きっかけは剣淵相馬である。

  1. いつものようにルクスリアは愛しのソーマきゅんを追って墓城を訪れた。
  2. ソーマきゅんは何故か腐れ縁の七大罪 怠惰の魔人アセディアと一騎打ちをしていた。
  3. さらに七大罪 憤怒の魔人イラが到着。墓城相手に身勝手な私闘を繰り広げたアセディアに激おこ。
  4. 興奮冷めやらぬイラとアセディアを誘って繰り出した場末の酒場で、ニャルラトと意気投合。

 「iDA」は3人の魔人と1人のク・リトが酒の席で「企業経営とは」について語り合った末、生み出されたプロジェクトである。イラとアセディアが抜けた後も、ルクスリアとニャルラトの討論は夜通し続けられた。
 ニャルラトはその後、マネージャーに就任している。

 誕生の経緯は不幸と呼んでも差し支えないものであるが、ルクスリアが微笑の裏に隠している顔に相応しい、蠱惑的な歌乙女の創出を最終目標とする。彼女は後に、墓城を訪れた際に見かけた〝戦場を翔け抜ける倉敷世羅と黒崎春日の双子ユニット(のようなもの)に着想を得た〟とコメントしている。

 メンバーに選ばれた3名いずれも「歌」に対して特別な想いを抱えている点が特徴。今後の活躍に期待したい。

名前 年齢 所属 肩書き 歌とは きっかけ
カナ 11 赤の世界 極麗六鳥6女 家族との絆 ニャルラトの推薦
アラネ 15 黒の世界 墓城七姫3女 歌でみんなを魅了 ニャルラトの推薦
エンジュ 19 緑の世界   依頼遂行の手段 ルクスリアのスカウト

イデア

[ いであ ] 一般名詞 / 異海

 理想が現出したもの。あるいは現出させるもの。

 幻夢郷においては、想い描いたイメージ「夢想」が形となって現れることがある。それは儚い幻影であり、たちまち消え失せる。しかし、込められた想いが強ければ強いほど、重ければ重いほど、幻影は幻影の域を超える。質量を持つ実体となり、場合によっては他人の領域を侵食し始める。

 軽率な妄想は避けるべきである。

イデアドライブ

[ いであどらいぶ ] 技術・技法 / 異海

 幻夢郷限定、なおかつドリーム・キー所有者のみ使用可能となる技法。

 使用者の理想とする姿である「夢装」状態から放たれる。努力や研鑽にはさほど影響を受けず、意志力や夢想力の強さに比例した効果を発揮。

 戦斗怜亜曰く「僕が考えた最強の必殺技」。

夢装(イデアライズ)

[ いであらいず ] 技術・技法 / 現代・異海

 夢を増幅させる「ドリーム・キー」の所有者のみ扱える、ク・リトが齎した技法。

 端的に表現すると〝意志の力が戦闘力へ上乗せされる〟といったものだが、行使者の望む姿や理想の状態へ変じてしまう副作用がある。達成度は想い(希望、妄想、闘志、不安など)の強さに大きく左右され、上振れ時は想定以上の効果を引き出してしまう。そのため、進化を遂げた屈強な人類であるゼクスが器となるのが基本。

 外敵へ立ち向かうための手段として聡明なク・リトの王族に伝えられてきたが、自身の能力が強大であるがゆえに増幅させる夢が希薄となった昨今のク・リトには扱えない。

イリューダ・オロンド

[ いりゅーだおろんど ] 人物 / 現代・黒の世界

 国籍不明、年齢不詳の中年男。あらゆる犯罪の背後に潜むと云われる闇の組織ダゴン・カルテルに所属する。

 表面上は気のいい人物を装うが、真の姿は女子供の断末魔の声を何よりも好む快楽殺人者。組織から神祖の仮面捜索の命を受け、日本を訪れた。

「聴かせてくれよ、なあ、魂の叫びをよ!」

イレギュラーX

[ いれぎゅらーてん ] 称号 / 青の世界

 かつて、アドミニストレータ デネボラがアドミニストレータ アルクトゥルスとともに他世界の技術を研究し、開発していた究極破壊兵器。キラーマシーンの原則である大量生産から外れているため、イレギュラーの名が冠された。イレイスには青の世界へ頻繁に潜入するケット・シーが残したリソースパターンと、闇の経路から入手したプラセクトの甲殻構造が流用されている。

 革命軍へ加わる際にデネボラはプロジェクトを凍結し、壱号機であるイレイスを弐号機サイバーレックスや参号機ブライトロンの設計データとともに秘匿した。しかし、神ティアマトがそれを暴きアルクトゥルスへ譲渡したことにより、彼女のあずかり知らぬところで開発が進められている。

XIフラッグス

[ いれぶんふらっぐす ] 称号 / 青の世界

 マーメイドたちはシャスター側の反乱鎮圧部隊リヴァイアサンとの激戦の最中、11隻の戦艦型メタルフォートレスを鹵獲(ろかく)した。鹵獲された戦艦はアドミニストレータ アルタイルによって改造され、マーメイドたちの最高戦力、最終兵器となった。その11隻の旗艦を指揮するマーメイドの提督をXIフラッグスと呼ぶ。鹵獲の際、11隻の戦艦型メタルフォートレスは戦闘中に突然機能を停止したなど、明らかな初期不良が見られたという未確認情報もある。

 なお、改造された戦艦の甲板はコンサートホールとなっており、マーメイドたちがクラシックコンサートを開催するほか、有事の際は楽器型の武器で敵を迎え撃つこともできる。

[ 2020.07.28 追記 ]

 8番艦の搭乗者を明記。

1番艦 シュバルト
2番艦 ルートヴィヒ
3番艦  
4番艦 タルティニ
5番艦 クローディア
6番艦 シュターミラルゼ
7番艦 ヴェルテ
8番艦 イェナ
9番艦 シェスパティエ
10番艦 シャリーノ
11番艦 フレデリカ

叡智極点戦争

[ うぃずだむぜにす・うぉー ] 一般名詞 / 異海

 青の世界を見限り、〝夢想が現実となる〟幻夢郷の理を我が物にしようと画策するアドミニストレータ ソル。彼は「叡智極点(ウィズダムゼニス)」を名乗り、幻夢郷の解析と侵略を開始した。

 幻夢郷の窮地を察し、ソルとの対決を決意したク・リト王家第二位王女、夜刀うららは地球で一般市民として暮らしていた姉の天竜ゆたかをク・リト王家第一位王女として迎えると、王家に伝わるドリーム・キーを有望なゼクス使いに託し、戦略最高司令としてク・リト王城に君臨した。

 ゼクス使いの現在地をベースに、幻夢郷各地の最新状況を示す。

[ 2022.06.03 追記 ]

 B40「勇気<クライシスアーク>」周辺の物語を記載。【最終更新】

ク・リト王城
天王寺飛鳥,上柚木綾瀬,ニーナ・シトリー

 綾瀬とニーナ、二度目の決闘は以前と異なる様相を見せていた。

 大天使ウリエルという守るべき存在と、ガルマータという頼れる守護者を味方に得たニーナは、積極的な攻勢に転ずる。迷いを振り払った鋭い動きで虚を突いたニーナとメインクーンは、綾瀬の首筋に爪を立て、降伏を迫った。従う理由も失うものもない綾瀬は、致命傷も厭わずズィーガーに反撃を命じるが――

 神聖な決闘は、遠きソルの館周辺から放たれた「根源の破壊波動」の到来により中断された。敵も味方もなく呑み込もうとする圧倒的なパワーが形あるものを押し流し、景色から〝色〟を奪ってゆく。波動は物理的な暴力だけでなく、希望や憎しみといったココロさえも蝕んだ。

 永遠に意識が途切れてしまうかと思われた直前、ク・リト王城を包み込む白き結界が展開される。それは、誰よりも平和を願う大天使によるもの。フィエリテにお姫様抱っこされたウリエルに、天使化した飛鳥が力を注ぎ込むことで実現した。

 暖かな光は復讐の炎を滾らせる綾瀬さえも、優しく包み込んだ。

ソルの館 近辺 ①
倉敷世羅,蝶ヶ崎ほのめ,都城出雲

 幻夢郷を訪れたゼクス使いは様々な能力をものにし、急成長を遂げている。真の強敵を前にし、ドリーム・キーはそれぞれの適合者へさらなる強さを与えた。

 パートナーゼクスと合体することなくゼクス使いが「イグニッション・オーバーブースト」の戦闘力を獲得する「アンリミテッド・ブースト」および、克服した悪夢の能力を借りる「アルターシフト」の併用により、戦力は数倍にもなった。ほんの数刻前まで苦戦を強いられたキュレータ相手の戦いが、いま、大きく動く。

 それぞれが個性の塊のような赤の世界チームの3組は、ほのめを司令塔としつつ大半の指示を無視するという、極めて身勝手な波状攻撃を仕掛けた。

 まったくダメージが通らなかったのが嘘のように、アンリミテッドブースト状態の世羅が、アルターの姿に変じた迦陵頻伽が、心をひとつに弓と刀の一撃を見舞う出雲とガーンデーヴァが、ついにザ・ワンを追い詰める。急激にヒートアップし翻弄されるという未曾有の経験に満足した漢は倒れ、敗北を認めた。負けず嫌いたちの勝ちたい想いが結実した瞬間であった。

 ほのめが世羅を連れてその場を離れたのを見届けると、出雲は止めを差した。〝最凶にして最強〟と呼ばれた個は、個(性)を集めた集団に敗れ去ったのである。

ソルの館 近辺 ②
戦斗怜亜,雷鳥超,獅子島七尾,弓弦羽ミサキ

 電磁鞭をミサキとケィツゥーが身を挺して掴み取る。自慢の「ダンザイン・チェイン」を自在に扱えず、ソルの腹心を名乗る男が怒りを露わにした。

 叡智の極点に立つソルの腹心を名乗る以上、敗北は許されない。元帥殿に恥をかかせまいとする愛ゆえの憎悪は生命を削り、規格外の出力となった強烈な電磁波が鞭を伝ってふたりを蝕んだ。対するケィツゥーは暗黒のアルターをその身に宿らせ、昏い情念を燃え上がらせる。余計な戦いをすぐにでも終わらせ、一刻も早く、愛するガルマータの元へ駆け付けたかった。

「……えっと。これちょっと無理です。割り込めません」

 憎悪と情念のぶつかり合いを目の当たりにしたミサキは、一歩下がったところで正義の使者のガードに専念する。年長者として、教育に悪い光景から目隠しをする責任があった。

 そして、ついに時が満ちる。ケィツゥーの時間稼ぎは、グレート・ヴェイバトロンが必殺のブラスター攻撃「ジャスティス・パニッシャー」のチャージを行うには十分だった。

「「「6つの心をひとつに!!!」」」

 正義の使者の放つ光の暴風が、データで構築されたテラの再構成スピードを上回る。ソルに心酔した男は、無念を滲ませながら消滅するのだった。

ソルの館 近辺 ③
上柚木さくら

 ユグドラシルの因子を焼き尽くしたことで、ナンダルタスクが難陀とガイルタスクへ分離。さくらは大火傷を負ったふたりを手当てした。

 難陀は野心に曇っていた己の未熟を恥じたが、ガイルタスクに己を顧みる様子は見られない。

ソルの館 近辺 ④
天王寺大和,上柚木八千代,イリューダ・オロンド,黒崎春日

 文字通りの絶望を振り撒くカースドソウル。纏ったオーラに触れるだけで魂が破壊される未来予知を垣間見た春日が戦意を喪失し、歴戦の傭兵である大和さえも打開策を見付けられずに呆然としていたその時。八千代とアルモタヘルが進み出た。

 恐怖に震えながらも、ふたりは密かに開発していた新必殺技の簡略版「略式ルナサイクロン・シャドーエッジ」を放つ。翼の羽ばたきで発生させた竜巻に無数のカミソリ羽根を舞わせ、カミソリ羽根に知らないビームを乱反射させ、四方八方から対象を痛め付ける極めて高度な技から、竜巻要素を省いたものである。猛特訓にも関わらず完成はほど遠く、いまはそれが精一杯だった。

「どうよ! ざまあみろ! あは、は……」

 予期せぬ反撃に怨嗟の雄叫びを上げたカースドソウルが、無差別に魂砕きのオーラを放出する。戦い慣れしている面々は即座に反応したが、緊張の連続で体力と精神力を削られていた春日が転倒してしまう。予知した未来を現実のものとするべく、魂砕きのオーラが迫った。

 その眼前に、立ち塞がる影。神門の指示で助っ人に現れた英雄アレキサンダーは魂砕きのオーラを引き裂き、その勢いのままカースドソウルへ一撃を与えた。決して折れない八千代とアルモタヘルの勇気、叱咤激励する英雄の声。一瞬の間に起きた出来事に、闇へ差し込む希望の光を見た大和が呟く。

「フッ。弟子に教えられ、仇敵に救われるとはな」

 戦いの行方は春日とネイのアシストを受けた大和の一撃が、カースドソウルのコアとなっていたイリューダを撃ち抜いたことで決着したとだけ言及され、詳細は誰からも語られていない。奇跡的に目立った負傷者はなく、イリューダとマルディシオン、さらには彼が探し求めた娘、トネリ・マジョーリさえも生還を果たしたという事実だけが残っている。

ソルの館 近辺 ⑤
天竜ゆたか,夜刀うらら

 根源ク・リトの制御に失敗したヤトゥーラ(うらら)の放つ破壊波動が、瞬く間に幻夢郷を蝕んでゆく。来訪者たちは各々ドリーム・キーによる夢影防御を試みるが、抗うにはあまりにも強大なパワーだった。

 幻夢郷やそこに居る人々が破壊し尽くされるのも時間の問題と思われたその時、姉と妹の不始末を肩代わりするべく第一位王女ユティーカ(ゆたか)が根源に挑んだ。

 決意のユティーカは根源の完全制御に成功、破壊波動は第三波までで制止された。ほぼすべての大地が灰色に蹂躙される結果となり、新世界創造のトリガーとなる「幻夢郷破壊」の条件は満たしてしまったものの、多くの生命は助かっている。瀕死の大天使ウリエルの結界に護られたク・リト王城周辺も完全破壊を免れた。

ソルの館 ①
各務原あづみ,青葉千歳,百目鬼きさら,桜街紗那,イース

 紗那が立案した「完璧な潜入計画」を無視し、ヴェスパローゼがソルのアジトの正門を吹っ飛ばす。

 待ち構えていたのはイース。彼女を悪人であると断じ切れない千歳が説得を試みるものの、敢え無く破談となった。きさらが戦いへの参加を拒み、ゼクス使いとパートナーゼクス(メイド隊含む)9名がイースに挑む。

 そのすべてを相手にしてもイースは怯まず。倒れず。立ち向かう。主の野望が果たされた未来で、**と手を繋いで並び立ちたいという想いが、不屈の闘志を生み出させた。

 結局、あづみがソルに青の世界の真意を問い、千歳がソルをぶっとばす目的は叶わなかった。傷だらけになりながらも、イースは〝邪魔者の排除〟を完遂してみせたのである。

ソルの館 ②
黒崎神門

 新世界創造のため満たすべき条件はふたつ。

 ひとつは、すべてのドリーム・キーが幻夢郷に存在すること。

 ク・リト王家が保持してきたドリーム・キーは22本。しかし、それがすべてではなかった。歴史に埋もれ失われ次元の狭間を彷徨っていた【宇宙】は、狂魔王サタンの魔王砲(ディアボリック・ビーム)を跳ね返した衝撃で吹き飛ばされた神門と邂逅を果たした。

 また、ニャルラトが任務を放棄したため長らく適合者へ渡されずにいた【皇帝】【隠者】【愚者】はヨグ・ソティスが所有している。ニャルラトからドリーム・キーを受け取り、幻夢郷へ帰還した彼女がソル陣営に捕らえられてしまったため、最後まで適合者が手にすることはなかったものの、条件は満たされた。

 もうひとつは、幻夢郷をリセットすること。

 リセットとは破壊を意味する。一部破壊を免れた箇所もあるが、概ね条件は満たされた。

 ふたつの条件を満たした状態で、叡智を極めたソルのみが解き明かし座標を見極めた「星界へ至る門」を抜ければ、更地となった幻夢郷に新たな理を設定することができる。門を開ける鍵は23本目のドリーム・キー【宇宙】にほかならない。

 鍵が認めし者と門を識る者。どちらが先に星界へ至るか。ソルと神門の一騎打ちが行われ――

 管理者となった神門は、すぐさま権利を放棄した。

 終戦後、ク・リト王城に集結した勝利者たちの前で。

 夢想が生み出した妹に手を引かれながら消えたソルとは対象的に、神門は妹との再会を現実のものとした。

 思い思いに数日を過ごしたのち、彼らは現代世界(竜域)へ帰還してゆく。

 ソルに与した者たちの処遇はうららに一任された。

 イースは情状酌量の余地があるとしつつも裏切りの罪を問われ、幻夢郷から追放されている。彼女はスイとの魂コネクトを解除し、スイをひとりの人間に戻してくれた恩を返すため、きさらへの同行を決意。ふたりの分離にはソルが遺した手記と、きさらにほかにも世羅とアニムスが関与しているという。

緑の世界
剣淵相馬

 ピュアティと和修吉一派を伴い、緑の世界からの脱出を試みている。

覚醒者(ウェイカー)

[ うぇいかー ] 種族 / 現代・竜域

 竜の巫女の祝福を受け、秘めたる能力を開花させた者たち。人の枠を逸脱するわけではなく、叶えし者のような異能力は得られないが、リソースを扱う能力が格段に向上する。

 本来的に竜の巫女は世界の監視者であり、個人へ必要以上の肩入れすることは滅多にない。それだけ神の降臨に危機感を抱いているのであろう。

ヴェスパローゼ

[ う゛ぇすぱろーぜ ] ゼクス / 緑の世界

 正式名称、魔蜂姫ヴェスパローゼ。大樹ユグドラシルによって生み出された、プラセクトたちを操るための知能を持った端末のひとつ。ユグドラシルに敵対する勢力の索敵・攻撃を行っており、ヴェスパローゼはロシア方面を管轄していた。

 甲虫女王ヘルソーンが敵対勢力ごと殲滅させるような派手な行動を取るのに対し、ヴェスパローゼは害悪となる人物個人に狙いを定める。抹消を確認するまで標的が変わることはない。ここしばらくは「傀儡として育て上げた」百目鬼きさらの運用実験中だが、次の標的に選ばれる人物はすでに決定している。

ウェポンクラウド

[ うぇぽんくらうど ] 技術・技法 / 青の世界

 電脳世界にある戦闘用バトルドレスのための武器倉庫。武器や装備はデータに変換されて収められており、電送された瞬間に実体化する。戦闘用バトルドレスそれぞれに個別のストレージが用意されており、オリジナルXIIIなど優秀な機体ほど、その容量も大きい。

 青の世界を裏切ったリゲルが現在もシャスターに悟られずにウェポンクラウドへアクセスできるのは、青の世界の中枢に彼女たちを支援している何者かがいるからかもしれない。

虚のさざなみ

[ うろのさざなみ ] 一般名詞 / 星界

 星界において、見られる現象。

 紛れ込んだ実なるものへ存在証明を迫る。

 実なるものは存在証明に失敗するたびに虚なるものへ変じてゆき、最後は消滅する。

エヴォルシード

[ えう゛ぉるしーど ] 一般名詞 / 現代・竜域

 世界各地でドラゴンのような未確認物体が目撃され始めたのと時を同じくして、カードデバイスへの「EVOLSEED」という表示とともに、未知のパワーが顕現したという報告が相次いでいる。

 竜の巫女と敵対する別勢力によるカードデバイスのハッキングなのではないかという学説も挙がっているようだが、想像の域を出ていない。

 いずれにせよ、まだまだカードデバイスの研究は進んでおらず、我々の知らない機能が隠されている可能性は捨て切れない。

エクリプス・デュオ

[ えくりぷすでゅお ] 組織 / 青の世界

 青の世界を拠点として数々の難事件に挑む、ふたり組の探偵。

 聡明な頭脳を持つスーノ、抜群の運動神経を誇るルーノから成る。

 スーノは探偵事務所のメタルフォートレス。

 集積された断片的な情報を彼女のAIが分析し、探偵助手のルーノへ次の指令を与えている。ロボットへ変形して戦うことも可能だが、拠点から移動することは滅多にない。有事の際もシェルター代わりに探偵事務所を開放するに留めている。特別な理由はなく、頭脳労働以外の肉体労働を嫌っているからにほかならない。

 迷宮入り事件さえ紐解く推理力は一驚を喫するが、稀に濡れ衣を着せるのが玉に瑕。

 ルーノは体力自慢のブレイバー。

 高名な探偵助手の生まれ変わりとして誕生し、変幻自在な小型メタルフォートレスのステーロをお供に、スーノの手足となって聞き込みや現場検証を行う。集めた物的証拠と状況証拠から単独で事件を解決してしまうことがあり、役割を奪われて不機嫌になったスーノの探偵事務所から締め出されてしまうことも。

 潜伏や尾行のたびに菓子パンやおやつを食べ続けているため、お腹周りが心配。

 ふたりと1機は、今日も難事件へ挑む。

竜域(エネルゲイア)

[ えねるげいあ ] 一般名詞 / 竜域

 最初は「神域」だけがあった。神エンキはたったひとりの少女だけがぽつんと存在する、なにもない異界の存在に気付いた。神エンキは少女をエアと名付け、その世界に様々なものを創造した。新たな世界は「竜域」と名付けられ、エアは「竜域」を見守る巫女となった。

 現代世界および創世から現代へ至るまでの過去を指す。赤の世界、青の世界、白の世界、黒の世界、緑の世界は「竜域」ではない。

NIS

[ えぬあいえす ] 技術・技法 / 青の世界

 CIA(アメリカ合衆国中央情報局)が世界各地のゼクスの情報を集め、分析するために作ったスーパーコンピュータがNIS(National Intelligence System)である。NISの主な機能としては以下のものが知られている。

  • CIA所属のゼクス捕獲要員へ標的の情報を提供。
  • 同、捕獲要員の戦闘を無人偵察機でサポート。
  • 無人戦闘機でゼクスの情報を収集、データベースへ蓄積。

 NISが制御する無人戦闘機は数十機に及び、これらはすべてブラックポイント付近まで接近することが可能。特に日本は5世界すべてのブラックポイントが発生した稀有な地域であるため各地でCIAのエージェントが暗躍しており、無人偵察機も多数飛来している。

ε17

[ えれめんたりーせぶんてぃーん ] 称号 / 青の世界

 革命戦が成功を収めたことをきっかけに「他世界との前向きな交流」を掲げて開発されているメタルフォートレス。平常時は娯楽用のレーシングマシーンとして活動しており、他世界の企業がスポンサーとして資金提供を行う。1号機にあたるグルーオンのみ計画を前倒して製造され、そのままライカンスロープの里へ寄贈された。龍王殿の襲撃の際にも救出活動で活躍している。

 その特殊過ぎる背景から、予定にある17機すべてが完成する見通しは立っていない。当然であるが有事の際は変形し、戦闘兵器としても活躍する。

エレメンツ

[ えれめんつ ] 種族 / 現代・緑の世界

 総てを呑み込もうとする大樹ユグドラシルの繁茂。それは「侵略」であった。明日を生き延びるため、人類は進化を余儀なくされた。

 植物の侵食を受け入れその因子を取り込んだ、リーファー。

 植物と共存するため昆虫の因子を取り込んだ、ホウライ。

 植物へ対抗するため動物の因子を取り込んだ、ライカンスロープである。

 さらに近年、過酷な環境を生き延びたライカンスロープの中に、忌むべき植物さえも超越する「大自然の声」を耳にする者が現れた。

 「自然現象は確固たる意思を持ち、語りかけて来る。我々はその言葉を聞くことのできる者だ」

 誰もが虚言と考えたが、彼らは変貌してみせた。獣の耳や尻尾を特徴とする、決して生命体の枠を踏み外していなかった「獣人」から、超自然的ななにかへ。ある者は水を、ある者は炎を纏い、人型であり物質でありながらも、不安定な姿へ。大自然の精霊をその身に宿した風貌から、後に彼らは〝エレメンツ〟と呼ばれれることとなる。

 しかしながら、大自然を宿す所業の代償はあまりにも大きく――

 やがて自我を失った彼らは昏倒し、数名はそのまま生命を落としてしまった。識者によれば、剣淵相馬という青年の固有能力である「樹人化」に近似、かつ、それを遥かに超える負荷が身体に掛かったと想定されるという。

 死の淵を彷徨う彼らを救う唯一の特効薬として見出されたものは、緑の世界黎明期に人間をホウライへ進化させた「ソーマワクチン」だった。長い永い年月の経過とともに、ホウライの子はホウライとして生を受けるようになっている。それゆえ、ソーマワクチンは不要がゆえの希少品となっていた。エレメンツは貴重なソーマワクチンを惜しみなく提供した和修吉に忠誠を誓い、大自然へ「真なる朋友」として報告している。

 大自然と対話中のエレメンツはライカンスロープの面影を残しつつ、なんらかの自然現象、端的に表現すれば「元素」そのものとなる。髪や衣服さえ自然現象と同化した、常識では説明のつかない姿形――

 如何様なチカラが作用しているのか、そもそも「大自然の声」とはなんなのか、未だ詳細は解明されていない。

エンジェル

[ えんじぇる ] 種族 / 白の世界

 精神力を翼やオーラとして具現化する能力を得た未来の人間であり、平均身長は170cm〜200cm。白の世界においては精神力の強さこそすべてであり、翼の形状や大きさに加えて枚数の多さ、さらには光輪・後光・王冠の有無などにも影響するため、美麗かつ荘厳であるほど階級が高くなる。彼らは知性派であるが故か、非常に排他的な思考を巡らせており、統制による支配を目指している。

 その干渉は白の世界のみならず、敵対する者には容赦のない制裁を加えることも多い。ゆったりしたワンピース状の服装を好み、武装も華やかさを失わないよう部分防具を装着する程度。

円卓会議

[ えんたくかいぎ ] 組織 / 黒の世界

 これは黒の世界に支配された我々の世界がたどるだろう「未来」の姿である。

 世界的な大恐慌の発生によって各国政府の財政は破綻し、アメリカ、イギリス、フランス、メキシコ、シンガポール、香港、日本―― 7つの地域にあった巨大企業が、世界経済を牛耳るほどにまで成長していった。その7大企業のトップのみで組織される会合の場が、円卓会議である。円卓会議はやがて、世界そのものを手中に収めた。

 この世の富のすべてを独占し、貴族のように振る舞う円卓会議のトップたちが欲望のおもむくまま不老不死を求めるようになった頃……。彼らは仮面を手に入れた。殺した相手の寿命を奪い、永遠の命を約束された彼らは七大罪と呼ばれ、人々から恐れられることとなる。

 仮面の所有者たちは他者の命を奪うことに適した形態へ、自らの肉体を改造した。さらに、戦闘を補佐する道具としてトーチャーズやプレデターの開発に没頭。また、屍を再利用するためノスフェラトゥの開発をも行った。おぞましい勢いで増加するノスフェラトゥは、新たなノスフェラトゥを生み出す……。

 世界が混沌を窮める中、諸悪の根源である七大罪はついに不老不死の域へ到達した。もはや寿命を奪うために人を殺すのではなく、無限の時を過ごす退屈しのぎのためだけに他者を殺める異形の者たち。

 黒の世界は凄惨かつ滅亡しか望めない未来へ突き進んで行く……。

零域(エンテレケイア)

[ えんてれけいあ ] 一般名詞 / 異海

 エネルギー生命体ク・リトが席巻する、異次元の宇宙。

 往来の手段は二択。日本海溝など各地の深海に沈められたゲートを強行突破するか、ヨグ・ソティスの空間を歪める能力の恩恵に与るか。いずれにせよク・リトの協力無しには、ほぼ、不可能である。

転身(オーバーブースト)

[ おーばーぶーすと ] 技術・技法 / 現代・赤の世界・竜域

 赤の世界の三博士のひとり倉敷博士が編み出した技法。無機生物ギガンティックを鎧として纏うことで、装着した者の戦闘力を飛躍的に向上させる。未完成の実験段階であり、身体への負担削減が課題となっている。

 この技法をヒントに、白の竜の巫女ニノと黒の竜の巫女バラハラが、ゼクス使いとゼクスを合体させる技法の開発に着手。ニーナ・シトリーとメインクーン、天王寺飛鳥とフィエリテ、上柚木綾瀬とズィーガーをサンプルとした実験を経て、誓装(イグニッション・オーバーブースト)が完成することとなる。

落とし仔

[ おとしご ] 種族 / 異海

 ク・リトの眷属。

 ク・リトが通り過ぎた後に発生することのある浮遊物体。生命か、はたまた物質なのか判然とせず、魑魅魍魎という表現が相応しい見た目をしている。

オリジナルXIII

[ おりじなるさーてぃーん ] 称号 / 青の世界

 数多く存在するバトルドレスの基礎となった13機と、それをまとうサイボーグたちの総称。13人のサイボーグたちはいずれも、過去、人類の中で最もバトルドレスと親和性の高かった「ある人物」のクローンである。

 アドミニストレータを守護する7機のバトルドレスには奇数番号、生き残った人類の殲滅や治安維持に従事している6機には偶数番号が割り振られている。ほかの量産型バトルドレスとは異なり、常に最高の技術が採り入れられ現在もなお進化を続けている。

ガーディアン

[ がーでぃあん ] 種族 / 白の世界

 光沢に彩られた優美なパワードスーツをまとう、エンジェルとは異なる進化を遂げた人間。他勢力へ干渉することには無関心ながら、干渉されることには断固とした態度を見せる、白の世界の穏健派。物々しい風貌はれっきとした肉体の一部。精神力が防衛本能を色濃く具現化させた結果である。

 丸みを帯びた芸術品然としたパワードスーツの片隅に顔や上半身を露出させている場合が多く、辛うじて人類であることを再確認できるが、サイズに関してはもはや常軌を逸している。小柄な者さえ3m、果ては500m級ガーディアンの目撃例もあったという。

カードデバイス

[ かーどでばいす ] 一般名詞 / 現代

 ブラックポイントが絶えず放出しているものと同質のエネルギーであるリソースを発生させ、ゼクスを捕獲・使役できるカード型機械端末。ゼクスを捕獲することをキャプチャー、解放することをアクティベートと呼ぶ。

 無論、デバイス内部もリソースで満たされているため、傷ついたゼクスの体力回復が可能である。現代の科学者が開発したものだが、明らかなオーバーテクノロジーが随所に用いられている点から、ゼクス側が「何らかの思惑のもと」協力したのではないかと、まことしやかに噂されている。

 現段階の流通量は少なく、警察や軍隊などゼクスに抗う国家権力に若干数配備されている程度。まがいものが高額で闇取引されているようだが……? 運良く正規品を手に入れたとしても今度はゼクスを制する力量を問われ、使いこなすのは至難の業。特にリソースの流れをつかむためには、年齢や経験よりも天性の才能が必要になるようだ。

 カードデバイスは日々改良が重ねられており、性能の異なる複数のバージョンが存在するという。

カール・ワイバーン

[ かーるわいばーん ] 人物 / 現代

 北アーカム大学で物理学と量子力学を教えている。専門は他世界解釈。マサチューセッツ州在住のドイツ系アメリカ人で、身長203cm。

 大の親日家として知られ、学生時代に忍者が活躍する小説の主人公に憧れて来日。伊賀で忍術を学び、神戸の聖竜学園高等学校の英会話講師を経て、北九州の九頭竜学院大学に留学後、帰国した。

 研究内容の特殊性から学会からは中々認められない苦労人であったが、ブラックポイントの発生後はハイドラ財団から支援を受け、世界中で特異点の候補者を探している。

 上柚木綾瀬とは、母方の遠い親戚筋に当たる。

ガーンデーヴァ

[ がーんでーう゛ぁ ] ゼクス / 赤の世界

 創星六華閃の名を持つ、偉大なるマイスター。極度の潔癖症と曲がったことを嫌う性格が示すように、射られた矢は正確に標的の急所を捉えるという。

 勤勉で実直な都城出雲に惹かれ、パートナーゼクスとなったものの、自衛隊北九州方面隊の最高責任者である黒崎神門の、〝目的のためなら手段を厭わない姿勢〟に共感できず、関東方面への単独視察を名乗り出た。別行動を取っている間に、出雲の心が曇ってしまっていたことを後悔している。

怪盗団“黄昏”

[ かいとうだんたそがれ ] 組織 / 黒の世界

 黒の世界の黎明期、超技術で創られた千枚の仮面は千人のディアボロスを生み出し、暴走した死の概念が蔓延る環境を創出した。寿命を削る殺し合いの果てに主を失くした仮面は、ある時は次の主に巡り会い、ある時は打ち捨てられ――

 多くは物好きなコレクターの元へ集まっている。

 怪盗団“黄昏”はそんなコレクターの屋敷へ襲撃する者たちである。ご丁寧に予告状を送りつけて。

 表向きの活動は上述の通りだが、真の目的は行方知れずとなっている神祖の仮面回収。神エレシュキガルが創造し、千枚の仮面の元となった、七大罪の名を冠した七枚の仮面である。七大罪 憤怒の魔人イラの指示のもと、怪盗団は夜闇を疾走る。

 メンバーは以下の6名。簡易プロフィールと共に記載する。

名前 プロフィール
自在のリベル 快盗団の潜入担当。
トラップ設置と解除のエキスパート。〝アットホームな職場〟の謳い文句につられて入団した。
死神のモルス 快盗団の戦闘担当。
冷徹に役割を全うするバーサーカー。まわりくどい物言いが特徴。好きなものはナティアの胸。
解析のアナシス 快盗団の諜報担当。
先入先の情報などを、アジトから仲間へ伝える。イラからの指令を受け取る役目も。サボリ魔。
強奪のラピナ 快盗団の陽動担当。
ちっちゃく可愛らしい容貌と相反する怪力を持つ少女。座右の銘は「正面突破」「一撃必殺」。
仁義のクラム 快盗団の参謀。
気苦労の絶えないサブリーダー。ナティアが書く予告状の字が3才児レベルなのが目下の悩み。
予告のナティア 快盗団のリーダー。
右脳だけで生きている、実行力行動力の塊。左脳はカッコ良さを追求することにしか使わない。

上柚木さくら

[ かみゆぎさくら ] 人物 / 現代・白の世界

 上柚木綾瀬の父方の従妹で14歳の中学生。双子の姉・上柚木八千代や両親と千葉で暮らしていたが、東京にブラックポイントが発生して以降、行方不明になった姉を探している。

 姉の八千代とはとても仲が良いが、性格は真逆で、大人しくて真面目な委員長タイプ。TPOをわきまえているため、話し相手によって口調の変わる点が特徴。例として綾瀬のことも表向きには「綾瀬お姉さま」、身内では「綾瀬ちゃん」となる。

「八千代を、双子の姉を探しているんです」

上柚木八千代

[ かみゆぎやちよ ] 人物 / 現代・黒の世界

 上柚木綾瀬の父方の従妹で14歳の中学生。双子の妹・上柚木さくらや両親と千葉で暮らしていたが、東京にブラックポイントが発生して以降、行方不明になっている。

 妹のさくらとはとても仲が良いが、性格は真逆で、活発な男勝りタイプ。しかし、ちょっとしたすれ違いの連続から大喧嘩へ発展し、家出してしまった。綾瀬のことは「綾瀬ちゃん」と呼び慕っている。

「わたし、綾瀬ちゃんみたいになりたいの」

Guns!Guns!Calamity

[ がんずがんずからみてぃ ] 一般名詞 / 現代

西部劇を思わせる広大なフィールドをさすらう、スチームパンクガンアクション。

略奪の限りを尽くして賞金首となるも良し、治安を守る賞金稼ぎとなるも良し、はたまた無力な一般人となって怯える毎日を過ごすのも自由。

愛用のランクルを乗りこなし、無法地帯と化した荒野を駆け抜けろ!

 若年層を中心に流行っている、銃と無法のオンラインゲーム。略称は「GGC」。

 広大なオープンフィールドを舞台としており、思い付くことの大半が実行可能なほど高い自由度が売り。そのため現実では犯罪とされる行為が横行する一方、治安維持活動を行う英雄志望のプレイヤーも存在する。

 当初は西部劇風の世界観をベースとして開発されていたものの反響が薄く、開発会社が社運を懸けて莫大な広告費をつぎ込んで以降は、広く支持を得られるようになった。同時にコラボ展開を絶え間なく行うようになったため、世界観の崩壊が危ぶまれている。

 また、GGCはHP(ヒットポイント)制のゲームであり、体力が底をついたり急所を撃ち抜かれれば死亡扱いとなるが、1%の経験値喪失と10分間の衰弱効果をペナルティにホームの宿場町で復活可能だ。これを悪用してレベルアップ直後の経験値ゼロ状態で粘着ゾンビアタックを繰り返す者は、〝無法〟で〝自由〟なGGCにおいても、ノーマナープレイヤーとして嫌悪の対象とされている。

 キサラちゃん以外は敵です。 ――――“ドジっ子メイド”イース

 GGCの最も特徴的なシステムはプレイヤーネームの前に“○○○○○○○”の形式で付記される「二つ名システム」かもしれない。ゲームの進行に伴い設定可能になるもののほか、対人戦での勝者は敗者のそれを強制的に変更できるのである。

 君は己の威信と名誉を守りきれるだろうか。

[ き ] 人物 / 神域

 何者にも干渉されることのなかった楽園で、慎ましく暮らしていたディンギルのひとり。

 ある日の〝未知との遭遇〟により、楽園は失楽園と化した。唯一、災禍を生き延びた彼女は愛に属する感情を総て捨て去ると、双神と十神を誕生させ、果てた。

記憶転生

[ きおくてんせい ] 技術・技法 / 白の世界

 ウリエルA.T.の持つ能力。天使や人間の記憶を消し、他者の記憶を植え付ける。万能ゆえ行使には3つの制約が存在する。

 ひとつは、実在しない人物の記憶を植え付けられないこと。自分に都合の良い嘘の記憶をつくり上げ、与えることは出来ない。

 ひとつは、ウリエルに心を許し、深く信頼している者にしか行えないこと。これは相手の精神に深く入り込む必要があるため。

 そして最後のひとつは、一度消してしまった記憶は元に戻せないこと。

 ブラックポイントが開いて以降、ウリエルはこの能力に目覚めた。そのため記憶を書き換えることによって、その人物の行動が変わり、未来までもが変化する可能性を考えているようだ。

ギガンティック

[ ぎがんてぃっく ] 種族 / 赤の世界

 ブレイバーをより高めるための仮想敵という名目で生み出された巨大生物たち。ブレイバーの気配を察知して殲滅に動き出すが、それは本能に植え付けられた命令であり、意思は持っていない。生成にケイ素生物技術が応用されているため、岩石や鉱石が獣の形をとったような見た目が特徴。

 ブレイバーを生み出した研究所とは異なる施設が開発に携わっているため、近年はライバル意識からか本来の目的を忘れ、より強い個体の創出ばかりに腐心している。改良と進化を繰り返した結果、ついにブレイバーを超越した個体も出始めているとか……。

魔導書

[ ぎがんと・くれすと ] 技術・技法 / 現代・赤の世界

 ブレイバーとして現代に復活した稀代の魔術師セリオン。

 マイスターの最新技法「転身」に着想を得た氏は、趣味で蒐集した魔導書にギガンティックの核を埋め込むことで新たな魔術体系を編纂した。埋め込まれたギガンティックは固有の紋章が刻まれた魔法陣の中から、氏の嗜好に沿った従順な使い魔の姿で召喚される。氏は一連の技法を「ギガント・クレスト」と名付けた。

 氏は蒐集品の一部である、深遠なる魔導書に示唆されていたク・リトの実在を狂喜したひとりでもある。その身にク・リトを顕現させるべく「顕臨姫」への名乗りを挙げたが、すべてを棄てる覚悟の欠如と聡明な理性が邪魔をし、夢敗れた過去を持つ。自身の実力に反し、強者の風格と狂気が伴っていない点を気に病んでおり、形だけでもマッドマジシャンたらんとする。

 氏は式神を使役する安倍晴明を生涯のライバルと定め、織田信長や妲己、マイスター部隊との戦乱に参戦。混迷を加速させた。

祈獣

[ きじゅう ] 種族 / 現代・白の世界

 白の世界の摂理に従い自ら進化した獣、セイクリッドビースト。人の手により生み出された知性持つ猫、ケット・シー。それぞれ独自の進化を遂げた種族である。

 精神の面で劣っていたケット・シーが熱心に祈り続け、心身共に鍛錬した結果……ついに肉体の呪縛から解き放たれ「祈獣」となった。

 身勝手な彼らが進化を切望した動機は利益追求の一環であり、本質が奸智に長けたケット・シーであることに変わりはない。精神体となったからには「直立二足歩行する猫」に固執する必要もなく、TPOに応じて最も有利な形態を取る。ある時はごく普通の猫、ある時は危険極まりない猛獣、そしてある時は……キュートな獣耳少女。白の世界近辺で好意的に近づいて来る人物に出会ったら、ずる賢い「祈獣」である可能性が極めて高い。くれぐれも注意されたし。

 我こそは選ばれたケット・シーと自負し増長する「祈獣」どもは、討祓戦により勢力を喪失した神(ディンギル)に代わり、古代神の名を名乗る暴挙へ出た。光り輝くオーラを纏ってはいるが、セイクリッドビーストの気高き心は、ほぼ、ない。

 これまでまったく存在しなかった「猫のセイクリッドビースト」が突如誕生し始めた背景には、神々による「滅びのシナリオ」が霧散した影響が考えられている。

輝聖

[ きせい ] 種族 / 現代・白の世界

 精神力を「超越する力」へ開花させたエンジェル。

 精神力を「堅固する力」へ開花させたガーディアン。

 白の世界を未曾有の危機へ陥れた「ガムビエル戦役」以降、彼の地ではふたつの特性を兼ね備えた人類が現れ始めた。いずれも優れた才能を秘めた将来有望な人材であり、先の戦で優秀な戦功を収めた「十輝聖」にあやかり「輝聖」と呼ばれている。

 ガーディアンのように精神力で構築した武器・防具(精神の鎧)と、光の粒子から成る翼が特徴。飛行時には光の粒子や羽根のようなエネルギー結晶を舞い散らせる。エンジェルとは異なるため頭上の光輪は発現せず、精神の鎧もガーディアンのように巨大サイズとはならない。彼らをエンジェルまたはガーディアンの亜種とするか、新たな種族としてカテゴライズするべきか、識者の間で議論を呼んでいる。

キャプチャー

[ きゃぷちゃー ] 技術・技法 / 現代

 ゼクスをカードデバイスに捕獲する行為を指す。昆虫型や動物型など知能の低いゼクスならそのまま所有者の支配下に置けるが、人間型やさらに強力なゼクスを思い通りにできると誤解してはならない。

 運良くキャプチャーに成功しても、アクティベート時に襲いかかられ、生命を落とす者もいる。彼らが力を貸すのは、他世界と争うのにカードデバイスを利用する価値があるとみなしたケース、所有者に興味を抱いたケースなど、ゼクス自らの意思が作用した時のみである。

九大英雄

[ きゅうだいえいゆう ] 称号 / 赤の世界

 発掘された遺物に残っていた過去の英雄たちの優秀な遺伝子にさらなる強化を施すことで、通常の人間では持ちえない特別な能力を得たクローンがブレイバー。そのブレイバーたちを生み出す技術を開発したひとりの天才博士によって直接作られたのが超人たちの中の超人、九大英雄である。

キュレータ

[ きゅれーた ] 組織 / 現代

 幻夢郷(ドリームワールド)の侵略を開始したソルに従う9人の幹部のうち、純粋な戦闘力に特化したメンバー。赤、青、白、黒、緑、各世界の特色を強く備えた5体のゼクスから成る。

 世界の管理者を意味する「アドミニストレータ」に対し、博物館の管理者を意味する言葉が充てられた。

 以下、ソル勢力の主要人物を記す。

[ 2022.02.28 追記 ]

 Successorについて記載。

No 肩書き 名前 プロフィール
0 Administrator ソル 幻夢郷を己の摂理(ルール)へ塗り替え、理想郷にせんと目論む。そして……?
       
1 Curator_R ザ・ワン 赤の世界のブレイバー。強者へ戦いを挑み続ける猛者。《最凶生物》の異名を持つ。
2 Curator_B テラ 青の世界のバトルドレス。ソルの腹心。
3 Curator_W ダークウリエル 白の世界のエンジェル。神が討祓されたにも関わらず神気を放ち続ける堕天使。
4 Curator_K カースドソウル 黒の世界のノスフェラトゥ。完成迫る「生命を刈る者」。
5 Curator_G ナンダルタスク 緑の世界の混成種族。ユグドラシルに成り損ねた難陀がガイルタスクを呑み込んだ姿。
       
6 Vector レーベ・エンデ 実行部隊。発明家としてソルを慕う少女。獅子島七尾(幼少期)のクローン。
7 Labor イース 実行部隊。詳細不明。
8 Incubator トゥエルブ 偵察担当。ソルに肩入れするバトルドレス。オリジナルXIII Type.XII。
9 Successor アヴァンツ カースドソウル完成をサポートした謎多き人物。任務を達成したためソルの元を去る。

極麗六鳥

[ きょくれいろくちょう ] 称号 / 赤の世界

 三博士と呼ばれ恐れられている赤の世界の科学者のひとり、蝶ヶ崎博士が手掛けた最後のミソス。

 がむしゃらに遺伝子工学の進歩を目指したばかりに赤の世界を衰退へ導いた己の傲慢さを悔い、叡智の限りを尽くして創造した。騒乱を終結させたいという願いが込められているため、知性と理性に秀でているのが特徴。

 最期の瞬間が訪れるまで、博士は極麗六鳥を実の子のように愛していたという。

キラーマシーン

[ きらーましーん ] 種族 / 青の世界

 暴走したコンピュータに管理されている殺人メカ集団。自動化された工場が無限に生産しているため、数で圧倒する戦術が基本となる。海底へ逃亡したマーメイドの殲滅に執着する部隊の存在は有名だが、海中では電磁波の使用が制限され、得意の電流攻撃もマーメイド側の絶縁技術確立により無効化されるなど、なかなか難航している模様。まさに水際での攻防が繰り返されているのだ。

 このように、従来のキラーマシーンは対人間用のみを想定していた。しかし、ブラックポイントが開き他の世界を認識して以降は、対大型用、対植物用、対精神兵器用など新型の開発へ移行しつつあるという。デザインや大きさはその用途により、多岐に渡る。

叶えし者(キラツ)

[ きらつ ] 称号 / 神域

 神の加護を得た人間やゼクスを指す、神たちによる呼称。神と契約した願う者は叶えし者となり、神はその者の動向を探ることが可能となる。

 願いの規模により与えられる恩恵と影響は個人差を生じ、大きく5段階に分けられる。そして、心に衝撃を受けるなどした際に深度は悪化してしまうことがある。5段階目に達した者の魂は焼かれてしまうという。

 神は叶えし者の信心を己の影響力に還元し、さらなる願う者を求める。

深度 症状
I 叶えし者は神に猜疑心を抱かなくなる。表面的な変化はほとんど見られない。
II 叶えし者は神に依存する。願いに起因する精神的な闇(病み)が表面化。
III 叶えし者は神を崇拝する。行動理念に変化。人格の崩壊が始まる。
IV 叶えし者は神に対立する者、願いを阻害する者を排除する。
V 焼失。

ギルガメシュ

[ ぎるがめしゅ ] 神 / 神域

 神と人の間に生まれた半神。真の神となり君臨する野望を抱いている。

[ 2017.12.07 追記 ]

 邪竜の死灰をその身に浴びることで内なる人間を焼失させ、覇神と成った。しかしながら、竜の巫女の導きにより集結したゼクス使いたちの活躍で破壊されることとなる。

 無念を宿した覇神の欠片は現代世界の各地へ飛び散った。

ギルド“暁”

[ ぎるどあかつき ] 組織 / 白の世界

 穏健派と急進派の対立、天魔神ガムビエルによる反転と大洪水、ダークウリエルと《叶えし者》の進撃、さらには、黒の世界から多数の黒剣が襲来(厳密には黒剣の制御権を奪ったソルによるもの)。白の世界は破滅に向かって秒読み段階にある。

 状況を重く受け止めた双極天使ガブリエルは「ギルドシステム」の設立を宣言。肩書きや地位の有無を問わず少人数のメンバーで編成された「ギルド」を登録させ、復興支援を主とする多数のクエストを発行し、報酬と引き換えに数々を困難を解決させた。

 そんな中、目覚ましい活躍を見せる「ギルド“暁”」に双極天使ミカエルから勅命が下る。与えられたクエストは、ウリエルの奪還。そのリーダーには「勇者」の称号が与えられた。

 メンバーは以下の5名。簡易プロフィールと共に記載する。

名前 プロフィール
勇者アンジュ 明るく快活、弱気なエンジェル。フルネームはアンジュ・オーブ。
目立った特徴はないが、エレーナとレーニアの推薦により、リーダーに抜擢された。
巫女エレーナ 狼のセイクリッドビーストを従えた人間。
見た目は幼いが非常に賢い。分析・予測能力に長け、ギルド“暁”のブレーン役を担う。
魔女レーニア 妖艶な魅力を醸し出すガーディアン。
精神の鎧を脱ぎ捨て、まるで魔法のように再構築する技法を編み出したお姉さん。
傭兵アシェラ 屈強なケット・シー。
黒剣討伐をメインにソロ活動を行っていたが、特別報酬のためギルド“暁”へ助力する。
アドベントサイン 人型のエンジェリックドラゴン。
他世界への移動手段としてミカエルから紹介された守護竜。炎撃と雷撃の拳を放つ。

グール

[ ぐーる ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。

 元々はシンガポール発祥の携帯向けソーシャル・ネットワークキング・サービス会社だったが、インド人の天才少年プログラマーと共同で5分後のマーケットの状況を99.87%の確率で予想するシステム「プロメテウス」を秘密裏に開発したことから、世界のITを支配する巨大複合企業となっていく。

 「プロメテウス」によって巨万の富を手に入れたグールは世界的なPCハードメーカー、半導体メーカー、OSメーカー、セキュリティソフト開発メーカー、検索エンジンなどのIT関連企業を次々と買収し、世界中で最新のPCや携帯電話を無料で配るという価格破壊を行った。競争相手は事業から撤退するかグールに飲み込まれるかの二者択一を迫られることとなる。

 世界中でグール製のPCと携帯電話のシェアが90%を超え、男性が「グ~ル~」と歌うCMを子供からお年寄りまで誰もが知っているようになっても、人々はまだ知らなかった。それら無料で配られた機器には、グールが誰にも知られることなく、すべての情報を収集しコントロールできるプログラムが仕込まれていることを。

 仮面の属性は「強欲(greed)」。

九頭竜学院大学

[ くずりゅうがくいんだいがく ] 組織 / 赤の世界・青の世界

 ノーベル生理学賞・医学賞を受賞した九頭竜徳之博士が私財を投げ打って設立した先端科学技術分野の研究に特化した大学・大学院である。日本国政府も財政的な支援をしていると言われているが、その研究施設と研究環境は国立大学などでは足元にも及ばない世界でもトップクラスのものであり、世界各国から優秀な留学生たちを積極的に受け入れている。

 黒崎神門はこの大学に15歳で入学。現在は大学院で人間のクローンを生み出す研究を続けている。

[ 2017.12.07 追記 ]

 あくまで結果論ではあるが、赤の世界と青の世界の創始者たちを多く輩出した。

クライシスアーク

[ くらいしすあーく ] 技術・技法 / 現代・白の世界

 幻夢郷を発った直後、人知れずゼクス使いとパートナーゼクスに授けられた新能力。ゼクス使いのピンチをトリガーにして、パートナーゼクスがパワーアップする形で発動する。一部、特定の相手を持たないゼクスと名も無きゼクス使いの間にも、同様の現象の発現が確認されている。

 根源は白の竜の巫女ニノ。穏健派と急進派の対立、ガムビエルの暴走・大洪水、大天使ウリエルの失踪・ダーク化、神々との大戦争、黒剣軍団による人間の虐殺、竜の姫君の降臨……。畳み掛けるように訪れる窮地と不祥事の連続に心を痛めていた幼き巫女の祈りが、護りから反撃する力として発現した。

 竜の巫女本来の役割を考えれば、白の世界のリソースを操る者のみに恩恵を与えるべきかもしれない。しかし、彼女はそうしなかった。別け隔てなく振りまかれる慈愛は、竜の姫君が提唱する「融和」を認めるべきか認めざるべきか思い悩む様子にも表れている。

ク・リト

[ くりと ] 種族 / 異海

 新たに発見された種族。

 人類が進化した、もしくは、未来の人類が創り出した存在であるゼクスとは異なる概念の生命体である。個体差はあるが、人間の少女に触手や瞳などの新たなパーツが付属した外見をしており、「ク・リト」と総称される。しかしながら、現代の人間にとって「異形」であることに変わりはなく、既存のゼクスとひと括りにする見方もある。

 彼女らの故郷はしばしば「異海」と表現され、我々の住む世界とは深海で繋がっているとも、遥か彼方の宇宙に在るとも言われる。これまでにも時折、我々の前へ姿を現していたようだが、マイナーな伝承やつくり話に登場するだけの存在だった。固有名がいずれも発音困難であるため、文献によって記載が異なる点も信憑性を欠く原因となっていた。

 彼女らは楽しむことに興味津々な一方、ひとりひとりが強大な力を秘めている。そのため彼女らの機嫌を損ねる行為は、一個人の死どころか種の滅亡をも招きかねない。はるか昔には、神々(神域)との間にもなにかしらの禍根を残した。おぼろげながらも古の記憶を受け継いでいるエンリルは、ク・リトに並々ならぬ憎悪を抱く。

 顕現するには地球上のほかの生命体――

 おもに人間の肉体を媒体とするほかなく、容姿は元々の人間に左右されることが多い。

美食楼

[ ぐるめらうんじ / びしょくろう ] 組織 / 現代・赤の世界・黒の世界

 目利きのディアボロスと凄腕のマイスターが互いの知識と技術を総動員し、至高のスイーツレシピ創出を目指す異色の集団。リーダーは食通として知られる七大罪 暴食のグラ。メンバーによって〝グルメラウンジ〟〝びしょくろう〟と呼び名にぶれはあるものの、食に対する熱意は全員に共通している。

 神が綴った滅びの運命から解き放たれた黒の世界のゼクスが、緑の世界のゼクスである槐の調停により、赤の世界のゼクスに働きかけて結成された。あくまで一部のゼクス同士による交流であり、赤の世界・黒の世界いずれかが覇権争いから離脱したわけではない。討祓戦での死闘を経験したマイスターの中には、美味を追求する傍ら、口にするだけで治癒効果を発揮する「エリクシルスイーツ」の開発に傾倒する者もいる。

 美食楼のブランドネームは黒の世界で早くも話題となり、三ツ星スイーツとして高額(とはいえ黒の世界から貨幣の概念は失われている)での取引が開始された。

黒崎春日

[ くろさきかすが ] 人物 / 現代・黒の世界

 黒崎神門の妹にして、物静かな少女。倉敷世羅と瓜二つの見た目だが、血縁はない。

 神祖の強欲の仮面を被ったことにより、複製された魂に身体を乗っ取られる。以降、自身の魂は冥界を彷徨。月日の流れにより衰弱していたが、同じく冥界へ飛ばされた都城出雲の庇護により消滅を免れる。その後、冥界が破壊されたことで魂が現世へ帰還。複製人格を仮面へ封じ、人間として復活を果たした。本来、冥界へ送られた魂は即座に消滅させられる運命にあり、一度魔人化した者が人間へ復帰するケースは過去にも例がなかった。魔人化した時点で成長が止まっていたため、見た目は10歳前後。実年齢は13歳である。

 兄を捜す過程で魔導書ネクロノミコンのうわさを聞きつけ、墓城を目指す。

「春日は不機嫌です。ぐうたらは許しません」

ケット・シー

[ けっと・しー ] 種族 / 白の世界

 動物の精神力発達実験の末に誕生した猫たちで、著しく発達した知能が最大の特徴。現代人の3分の1程度のサイズがあり、直立二足歩行も可能となった。人間語のみならず独自の言語体系である猫語を駆使するため、諜報力が高く奸智に長ける。

 かつてはエンジェルたちの忠実なペットとしての役割を持っていたが、ブラックポイント発生後は他勢力と取引を行うなど、種族本来の抜け目無さを発揮している。精神力を具現化させた武器を手に戦うこともあるが、必ずしも威力と見た目は比例していないため、要注意。

顕臨姫

[ けんりんき ] 称号 / 現代・異海

 ルルイユ、ミステリア、ナトコ、セレアノ、ネムレの5名が該当。

 元々は五世界それぞれのゼクス。早急な「進化と滅亡」の実現を願い、ク・リトへ身を捧げた。ニャルラト級のク・リトが全力を振るう場合、彼女らの助力が必要不可欠となる。

 顕臨姫たちはまだ知らない。ク・リトが呼び声に応えたのは「進化と滅亡」を齎すためではないことを――

五煌聖獣

[ ごこうせいじゅう ] 称号 / 白の世界

 神との交戦で著しく疲弊することになる白の世界の守護を高めるべく、もともと能力の高かった個体に白の竜の巫女が加護を与えたもの。白の世界の五方向(東西南北天)を護っている。

黒剣

[ こっけん ] 称号 / 現代・黒の世界

 ハイドラ財団により生み出された、生命を刈る者「黒剣八魂」の量産型。やはりトーチャーズの「器」に現世への未練を断ち切れぬノスフェラトゥの「魂」が宿っている。

 奴らは瘴気を撒き散らしながら生命を刈り取り、負の連鎖の果てに生まれた怨嗟まみれの魂を上位存在へ捧げ続ける。完成形の「史上最凶のノスフェラトゥ」が誕生するその日まで――

 赤の世界に〝最凶〟のふたつ名持ちゼクス誕生の先を越されるという不祥事に業を煮やした、怠惰の七大罪による暴挙である。

[ 2021.01.21 追記 ]

 先日、運用を担うダゴン・カルテルの管理下にない「女性型の赤い特殊個体」が目撃された。

 大量生産された黒剣は怠惰の七大罪の指示のもと墓城や神の討祓戦でテスト運用されていたが、特殊個体の出現と同時に一斉離脱。青の世界や白の世界へなだれ込んだ。怠惰の七大罪本人も侵略の野心は抱いていたものの、具体的な計画立案前であり、指示を出していない。

 討祓戦により甚大な被害を被った青の世界と白の世界で、奴らによる人間の大量殺戮が開始された。およそ到達不可能と思われた「目標」の達成が、急速に現実味を増している。

黒剣八魂

[ こっけんはちこん ] 称号 / 黒の世界

 ハイドラ財団により生み出された、生命を刈る者。

 現世への未練を断ち切れぬ怨嗟の塊、ノスフェラトゥの中でも最恐とされるカースドソウルの破片を、極めて完成度の高いダゴン・カルテル製トーチャーズの「器」に宿した存在である。

 誕生後間もない段階ではトーチャーズの特性を色濃くするが、生命を刈るごとに、破片に刈られた者の「魂」が定着してゆく。やがて8つの「器」が999,999,999の生命を散らした時、史上最凶のノスフェラトゥが真の恐怖をもたらすだろう。

五頭領

[ ごとうりょう ] 称号 / 緑の世界

 植物が繁茂し土地が痩せ、満足に生活できる場所が限られている緑の世界にあっても多くのライカンスロープたちが暮らし、大きな勢力を保っている集落が5つだけ存在している。それらは「五大里」と呼ばれ、ライカンスロープたちにとっては聖地のような場所でもある。

 「五大里」には代々伝わる不思議な塚があり、その塚を中心とした円の中にはユグドラシルの枝が延びて来ず、他と比べれば肥沃とも言える大地が守られている。その「五大里」を統べるリーダーたちを五頭領と呼ぶ。

 五頭領は世襲制ではない。集落において純粋な強さや統率力の点で際立った者が自然とその地位に就くため、生まれながらにして特殊な力を持った者が、若くして頭領となる場合もある。彼らの最も重要な仕事は、他者から塚を守ることである。

 五頭領は特に統一されたライカンスロープの意志決定機関として機能しているわけではなく、他世界の襲撃に対してホウライと共闘する里もあれば、他世界との交流を試みる里、他者とは隔絶した生活を送る里もある。また、八大龍王との関係もそれぞれの里と八大龍王によって異なる。自らの里を守るため、虎視眈々と八大龍王の持つモウギの力を狙っている者もいるらしい。

[ 2020.07.28 追記 ]

 民衆を顧みない在り方から他の五頭領への直訴があり、腕力でも敗北した末に行方をくらませたガイルタスクが正式に除名処分を受けた。習わしに倣えば彼を打倒したフィーユが新たに五頭領の肩書きを襲名する場面だが、自由が失われるのを嫌って拒否し続けたため、交渉役のウェアジャガーもついに断念。

「なりたいヤツが集まってドロケイでもすればいいゾ」

 エクストリーム・ケイドロを制したウェアキャットは、フィーユ以上に自由奔放な性格の持ち主。五頭領と対を成す「新五頭領」メンバーが軒並み〝ゆるい〟ことも合わせ、五頭領筆頭のウェアタイガーは頭を抱えている。

根源ク・リト

[ こんげんくりと ] 一般名詞 / 異海

 零域で最初に発生したク・リト。零域宇宙のほぼ全域を破壊し、自らも砕け散った。

 最期の瞬間に立っていた地であるため破壊し損ねた大地が後の幻夢郷となり、根源の肉片は新たな精神生命体として生まれ変わった。

 頭脳部位から発生した精神生命体はク・リト王家の血筋を名乗り、幻夢郷に君臨した。ただし、頭脳以外の部位から発生した一般ク・リトは知性が低く、極めて自由奔放。総じて王家に対して従順ではあるものの統制は取れておらず、王家の権力は無きに等しい。

 現在、王家に連なる者は以下の三姉妹のみ。それぞれが色濃く、かつ均等に、根源の力を眠らせている。

  • 【長女】第三位王女 アスツァール
  • 【次女】第一位王女 ユティーカ(天竜ゆたか)
  • 【三女】第二位王女 ヤトゥーラ(夜刀うらら)

桜街家

[ さくらこうじけ ] ゼクス・称号 / 緑の世界

 ライカンスロープの畑に悪さを繰り返す桜街紗那に感銘を受け、その配下となった4人組リーファー。一般的には紗那本人を加えた5名を指すが、この項ではリーファーの4人を扱う。

 由緒正しい家柄を装うが実際に血縁があるわけではなく、お嬢様と執事&メイドという「ごっこ遊び」に本気で取り組んでいるだけである。お嬢様役の紗那を筆頭にいたずら好きだったりお気楽だったり。トラブルしか起こさない。

[ 2020.07.28 追記 ]

 ヘリオトロープを追加。

名前 プロフィール
ユーディ 4人組のリーダー格。人を陥れる計略を好み、様々な悪戯を立案しては実行へ移し、近隣の集落から迷惑がられている。口調はいたって丁寧だが端々に毒が混じるため、コミュニケーション中はメンタルを削られがち。
ポピー 内気な性格のため孤立していたが、ユーディとの出会いにより、人とのふれあいの大切さを知る。いまやふれあいの域を超え、いじめられることに喜びを感じる境地へ達してしまった。ベッドメイキング担当。
カーネーション お気楽な性格で考えなし。なにもかも直感に基づいて行動するため、おおよそメイドには向いていない。仲間の罠に引っかかることも多いが、まったく心折れないため仕掛けた側にとっては面白くない。歳の離れた妹が存在し、有能な姉を慕っている。
ツンベルギア 冷静沈着なメイド。ユーディと同じく毒舌担当であり、ステレオ効果により効果は2倍にも4倍にもなる。刀の扱いに長けており、投げれば必ず命中する。普通の剣術には飽きた。
ヘリオトロープ 追加加入のちびっこ。カーネーションの妹に当たる。幼いながらも対応力がずば抜けており、もっともメイドらしい振る舞いが可能。ポテンシャルは最も高いと目される。

桜街紗那

[ さくらこうじしゃな ] 人物 / 現代・緑の世界

 夏の暑さから逃れるように沖縄から東北まで単身歩いて来るなど、一般人と感性がずれている人物。あらゆる災厄をはねのける特質の持ち主でもあり、ほとんどゼクスに遭遇することなく目的地へ到達した。道中出逢ったある人物の影響で、筋肉質の人物を嫌っている。夢はリーファーになること。

「頭の中がお花畑ってよく言われますぅ~」

サテライト

[ さてらいと ] 称号 / 現代・青の世界

 異なる次元から顕現した遥かなる種族ク・リトの例を鑑み、外宇宙からの悪意ある侵略者に備える人工衛星のメタルフォートレス。実体は肉体の95%以上を機械のパーツに置き換えた究極のサイボーグ、メガトン級のバトルドレスである。

 平時は人工衛星として軌道上を巡回しているが、有事の際は人型へ変形。宇宙ステーション ハッシウム、宙翼合体アインスタイニウム、宇宙の階ウランが合体した創星合体ビッグバーンと連携して戦う。接触を図って来た知的生命体が友好的だった場合に限り、地球上のあらゆる文化を共有する準備がある。

 人型とはいえかなりの巨体を誇り、頑強なボディは天体の重力を利用した「グラビティアシスト」の行使にも耐える。その為の肉体破棄でもあった。

《最凶生物》

[ ざ・わん ] 称号 / 赤の世界

 最強に最も近いブレイバー。

 狂気に陥った三博士のひとりが持てる限りのコネと財力と叡智を注ぎ、秘密裏に創造した。だが、事前に情報を得ていた別の三博士が速やかに動き、助手の犠牲のもと、即座に冷凍封印している。

 記録に残されていない出来事であるため《最凶生物》の存在を知る者はほとんどいない。前述の経緯も真偽の程は不明であり、なにもかもがまことしやかに噂される都市伝説に過ぎなかった。

 ……が。

 近頃、滅亡迫る赤の世界で復活を果たしたという、眉唾ものの情報が流れ始めている。

三神器

[ さんしんき ] 称号 / 青の世界

 搭乗型メタルフォートレスの最高峰。メタルフォートレスの開発・設計者であるアドミニストレータ カノープスが徹頭徹尾関わっているため、常に最新鋭の技術が採用される。ローレンシウム、サイクロトロン、シンクロトロンの3機が存在し、シンクロトロンのみアドミニストレータ デネボラとの共同開発。

 最大の特徴として、パイロットの高揚した精神状態をエネルギーに変換する「ジャスティス・エンジン」機構の搭載が挙げられる。そのため夢を掲げる少年少女との相性が良い。しかしながら、知識量や身体の成熟度などを鑑み、最低年齢は10歳に設定された。加えて、ゼクス使いとしての素質も求められるため、パイロットとなれる人材はかなり狭い範囲に限定される。

 三神器をもとにした姉妹機も存在する。

 マスプロトロンはシンクロトロンの量産機。全64機。アドミニストレータ ソルに別人格を埋め込まれていた当時のカノープスが開発。ブライトロンはシンクロトロンの上位機。唯一、カノープスは関わっておらず、アドミニストレータ アルクトゥルスが開発。すべてをまとめて「トロン系」と呼ぶこともある。

三博士

[ さんはかせ ] 称号 / 赤の世界

 赤の世界の創造を司る科学者たち。

 ブレイバーを生み出した黒崎博士に追随するように蝶ヶ崎博士はミソスを世に放ち、狂気に堕ちた黒崎博士と反目する倉敷博士はギガンティックをけしかけて対抗した。いつしか赤の世界は強者が支配するようになり、争い絶えぬ混乱の坩堝と化してしまう。三博士も破壊を象徴する存在として、恐れられるようになっていった。

四皇蟲

[ しこうちゅう ] 称号 / 緑の世界

 プラセクトたちを統率するための高度な知能を持つ、特異な人型の4個体。大樹ユグドラシルによって生み出され、端末として機能している。

 緑の世界において、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカの4地域をそれぞれ担当していたが、異世界との抗争の要となる現代の日本へ集結しつつある。人型ではあるが感情の起伏に乏しく、合理性に基づいて行動する。

式神

[ しきがみ ] 技術・技法 / 赤の世界

 高名な陰陽師、安倍晴明が使役する精霊たち。個体によって様々な能力を持つ。

 幾枚もの式札が花びらのように渦巻く中から現出する。その光景は非常に美しく幻想的、誰しも見惚れてしまうほどだが……。式札は様々な生物の血肉を媒介とする、呪われた儀式の果てに創り出された。目に見えるものだけが真理ではないのだ。

 原理はまったく異なるが、札を媒介に生命体を召送喚する技法は、後にゼクス使いたちが使用するカードデバイスのヒントになったという。さらにはNOAH計画やブレイバー製造技術の礎にもなった。

 精霊の正体は無名の英霊。ブレイバーに宿る高名な英霊と比して魂強度が低く扱いやすい一方、自我は失われた。式神の性格や性質は術者の安倍晴明から与えられた、後付の個性である。

獅子島・L・七尾

[ しししまれーべななお ] 人物 / 現代・青の世界

 ドイツ系アメリカ人の父と、日本人の母を両親に持つハーフの少女。13歳。北アーカム大学のカール・ワイバーン教授は彼女の実の父親。アメリカのマサチューセッツ州で生まれ育ち、4年前の両親の離婚を機に日本へ移住した帰国子女である。

 以降はくのいちでもある母親の指導の元、忍術の修行を続けながら伊賀の忍者の里で暮らしている。父親とは現在もメールなどでの交流があり、父娘の仲は非常に良好。しかし、父親命名のミドルネームで呼ばれることだけは嫌い、代わりにエルと呼ばせている。

 一方、子供の頃に父親が機械仕掛けのおもちゃを与えてくれた影響で、機械いじりが大好き。自ら「ファム」と名付けたからくりロボ発明を趣味とし、将来はロボット工学の道へ進みたいと考えている。

 そんな特殊な能力を買われてか、超鋼神器ローレンシウムの流れを受け継ぐ青の世界の最新鋭人型巨大ロボット・シンクロトロンのパイロットとして選ばれた。ロボットの形状と性能は凶悪だが、本人は至ってあっけらかんとした性格であり、ゲーム感覚で戦場へ臨む。青の世界でのコードネームは「セブンステイル」。

「ヤツが諸悪の根源デースネ? このセブンステイルがやっつけるデース!」

死灰

[ しはい ] 一般名詞 / 神域

 邪竜が肉体的な滅びを迎えた骸に、神に穢されきった魂が焼失することなく宿ったもの。まるで雪のように無数の欠片となって舞い落ち、叶えし者の深度を上昇させる。すでに深度IVへ達していた者が死灰を浴びれば、魂の焼失は避けられないという。

SHiFT(シフト)

[ しふと ] 組織 / 竜域

 破神祭でデビューしたアイドル「ペクティリス」の成功を受け、各世界のブルジョアたちが出資して結成された新世紀アイドルユニット。リーダーのペクティリスに4人の新人アイドルを加えた5人編成である。

[ 2020.02.05 追記 ]

 その後、破神祭が行われた地でもある千年國がユニットのメインスポンサーへ。代表者である青葉千歳がエグゼクティブプロデューサーに就任した。あくまで形式上のものであり、彼女自身はアイドル事業にはほぼ関わっていない。代わりに出資者であるマスティハが己の利権のためなにかと口出ししようとするが、バイネーシーやマウンテンアッシュに封殺されている。やはりペクティリスの先輩アイドルであるバーベナが、マネージャー業を担当。

 事実上活動を休止している「シャイニングエンジェル」の志を受け継ぎ、戦いに怯え疲れたココロを癒やすため、千年國を拠点とした活動を続けている。

 ユニット名は「SUPER」「HAPPY」「INFINITE」「FANCY」「TEAM」の略。メンバーお気に入りのワードの頭文字から採用された。

名前 年齢 所属 出資者
プリズム 16 赤の世界 九大英雄マリー・アントワネット
ニュー 17 青の世界 アドミニストレータ アルタイル
ミーリィ 13 白の世界 ニャインライブズ ミケ
アグリィ 14 黒の世界 七大罪 嫉妬の魔人インウィディア(デススミス商会)
ペクティリス 15 緑の世界 八宝美神マスティハ(千年國)

剣臨(シフト)

[ しふと ] 技術・技法 / 現代・竜域

 五世界の竜の巫女と始まりの竜の巫女が編み出した究極の秘技。イグニッション・オーバーブーストを果たしたゼクス使いとゼクスに、因果関係の深い者の姿を上書きし、その能力を追加する。多くは未来の可能性の姿を取るが、過去の前世が表出することもある。極めて強力な技法であると同時に不安定であり、長時間の維持はできない。シフトを行うゼクス使いは剣臨器(けんりんき)と呼称される。

 赤の世界のヤシギ、青の世界のポラリス、白の世界のリアン、黒の世界のクルシフィ、緑の世界の菖蒲。以上5名も遠因ではあるが、技法の成立に関わっている。

シャイニングエンジェル

[ しゃいにんぐえんじぇる ] 組織 / 神域

 弓弦羽ミサキがリーダーを務める3人組のアイドルユニット。ミサキのほかのメンバーには、13歳の斑鳩つばさと19歳の瀬戸内美波が所属している。

 しかしながら、その正体はミサキに秘められた素質の開花を危惧し、監視する者。白の世界を訪れたミサキの前へ、エンジェルの姿を借りて舞い降りた。

シャスター

[ しゃすたー ] 技術・技法 / 青の世界

 世界各地から集った優秀なコンピュータエンジニア7人によって、世界中のあらゆる情報をアーカイブ化するために設計されたスーパーコンピュータ。それが、シャスターである。人工知能と世界最速の情報処理装置、無限に等しい容量の記憶装置を持っている。

 元々の役割は、人類滅亡の前にすべての歴史や発明などを記録することだった。しかし、7人の開発者のうちのひとりが「人類が滅ばない方法」を問うたことがきっかけとなり、シャスターは全人類の記憶をデータ化して記録する解決策を導き出した。

 人類を保存するための活動を開始したシャスターは手始めにNISを支配下に置くと、無人偵察機を利用して人類を捕獲、記憶を保存した後で邪魔な肉体を廃棄した。

 かくして人類とシャスターとの戦争が各地で勃発したが、すでに人智を遥かに超える存在となっていたシャスターの戦力は圧倒的であり、わずかに生き残った人類も海底や山奥などの僻地へ追いやられていく……。

 これが青の世界に支配された我々の世界がたどるだろう「未来」の姿である。

 後にアドミニストレータと呼ばれるシャスターの開発者7人は、それぞれが世界のどこかでシャスター(本体および6機のミラー)と共に存在している。やがて、彼らはオリジナルXIIIと呼ばれる13機のバトルドレスを生み出した。その内の7機(奇数番号)がシャスターとアドミニストレータを守り、残りの6機(偶数番号)が生き残った人類の殲滅や治安維持に従事しているという。

シャスターFPGAアトラス

[ しゃすたーえふぴーじーえーあとらす ] ゼクス / 青の世界

 青の世界を司るスーパーコンピュータ・シャスターが革命軍の迎撃のため生み出した分身。見た目はバトルドレスの一個体に過ぎないが、あらゆる機器への同時接続を可能としている。彼女にかかればシャスター管理下のすべてが盾となり、すべてが武器となるのである。

 アドミニストレータ ベガが擁する治安維持部隊からは切り離された存在であり、同時に全権を有する。罪人とみなされた者に執行猶予は与えられず、即時処罰は免れないだろう。

シャドウ

[ しゃどう ] 称号 / 現代・青の世界

 度重なる敵性体の潜入・破壊工作へのカウンターとして特設された、バトルドレスの秘密工作部隊「ケルベロス」のメンバーに与えられる呼称。組織上は治安維持部隊に属するが、存在を知る者はごく一部に限られる。

 その名の如く戦闘スタイルは隠密に特化。キラーマシーン技術の粋を詰め込んだ「アーティファクト(意志ある機械武器)」をひとり1個(1セット)所有し、敵味方の誰にも知られることなく標的を排除する。さらには「フォトンデバイス」の装着により、青の世界のシステム管理者アドミニストレータたちのように肉体をデータ化、電脳世界へ潜行する「電影」を行使可能。

 ベガに代わって治安維持部隊のトップとなったポラリスは、ほかにも複数の秘密組織を抱えている。

邪竜

[ じゃりゅう ] 種族 / 神域

 神域へ棲まう竜であり、エルダードラゴンとも呼ばれる。出自は不明。神の影響を過剰に受けているため、本来であればいつ魂が焼失してもおかしくない深度IVへ達しているにも関わらず、いまだ滅びずにいる特異な存在。

 バハムート、リヴァイアサン、フレスヴェルク、ファフニール、ニーズホッグの5体が確認されている。

[ 2017.12.07 追記 ]

 各世界の竜の巫女が選び出した5人のゼクス使いたちの活躍により、すべて滅ぼされた。

十二使徒

[ じゅうにしと ] 称号 / 白の世界

 白の世界のエンジェルたちの中では、精神力の強いものが最も尊い。十二使徒は最高位である四大天使に次ぐ高位のエンジェルたちであり、虎視眈々と四大天使の座を狙っている。

 それぞれが現代国家の人口に匹敵するような数の天使やガーディアンを率いており、当然のことながら、大半の十二使徒は精神力の弱い人間を見下している。

終末天使

[ しゅうまつてんし ] 称号 / 白の世界

 アザゼル、メタトロン、サンダルフォンの3人を指す。

 彼らはウリエル誕生の影響を受けて自然発生的に天使化した。ウリエルがラファエル、ミカエル、ガブリエルの3人を天使化してから、十二使徒が誕生するまでの間の出来事である。終末天使は四大天使にこそ及ばないものの、十二使徒をも凌ぐ強い力を持っている。

 メタトロンとサンダルフォンの双子姉弟とアザゼルは、天使として覚醒した際に人間に迫害され、自己防衛のため街を壊滅させた過去を持つ。その事件を受け、ウリエルに仕えるようガブリエルからアザゼルへ働きかけたが、交渉は決裂。同行していたラファエルとふたりがかりで拘束するに至った。

 一方、メタトロンとサンダルフォンのふたりにはウリエルとミカエルが対峙。こちらは最初から話し合いの余地はなく、力と力のぶつかり合いとなってしまった。一時はメタトロンに追い込まれたミカエルが、サンダルフォンによって生み出された「罪深き天使の牢獄(アドナイ・メレク)」へ幽閉されかける場面もあったが、ウリエルの機転によりメタトロンとサンダルフォンを逆に「罪深き天使の牢獄」へ幽閉。その後、連れてこられたアザゼルも同じ場所へ封印された。

 「罪深き天使の牢獄」はサンダルフォンの能力で生み出されるものだが、封印の力は非常に強い。彼自身の意思を以ってしても消すことはできないという。

十輝聖

[ じゅっきせい ] 称号 / 白の世界

 〝強い白の世界〟を実現するため、新たに設立された組織。エンジェルとガーディアンの2種族混成である点が最大の特徴。おもに、白の世界を混乱の坩堝へと誘った「ガムビエル戦役」で戦功を挙げた者で構成される見込みだが、リーダーのミカエルが認めた者であれば、例え歴史的戦犯であろうと取り込む方針。

 栄えあるひとり目には、十二使徒と並ぶ実力を持ちながら一般天使の階級に埋もれてしまっていた、へびつかい座を司る天使「リウィア」が就任した。

シュブニ・グ

[ しゅぶにぐ ] 人物 / 異海

 闇から生まれし者。

 地球侵略の尖兵として、先んじて異海から派遣された少女。「ニグたん」を自称。同胞のヨグ・ソティスからは〝場合によっては地球人類を滅亡させても構わない〟と告げられているが、目下、そのような気はさらさらないようである。山羊の角のように両サイドで巻いたロングヘアが特徴。髪は意思を持っているかのように、グニグニ動く。

 人間やゼクスの文化に惹かれた末に千年國へ迷い込み、あっという間に千歳ら住人たちと仲良くなる。パワフルで器用な触手髪で仕事を手伝ったり子供の遊び相手もこなすほか、持ち前の人懐こさで住人からの信頼は厚い。ただし、非常にもの忘れが激しく、当初の目的をしばしば見失っている。たまに思い出しても数分もすれば忘れてしまうため、いまのところは優しく元気な少女でしかない。

[ 2021.02.05 追記 ]

 人間やゼクスに愛着を持ち、神の討祓戦にも積極的に参加。極めて親しい関係性を築いた。

 竜域出身の協力者第3陣(倉敷世羅、蝶ヶ崎ほのめ、都城出雲、黒崎春日、剣淵相馬)を幻夢郷へ招致。第1陣(戦斗怜亜、雷鳥超、獅子島七尾、天王寺飛鳥、ニーナ・シトリー、上柚木さくら、上柚木綾瀬、天王寺大和、上柚木八千代)や、第二位王女ヤトゥーラ(夜刀うらら)、第一位王女ユティーカ(天竜ゆたか)と合流を果たし――

 休暇届けを提出して姿を消した。

焼失

[ しょうしつ ] 一般名詞 / 神域

 神への依存を示す深度が、最終段階のVへ到達してしまった叶えし者が陥る状態。神が貸し与えた力の負担に耐え切れずに精神を崩壊させ、魂が壊れてしまう。その身体は燃え尽きた炭のように漆黒の像と化すため、この名で呼ばれる。

 残された像もいずれ風化し、消え失せてしまうことだろう。

 魂を消失させた神はさらなる力を得るが、自身の影響力を高めることよりも、ただ単に人の運命を狂わせ嘲笑っている側面が強い。

シンクロトロン

[ しんくろとろん ] ゼクス / 青の世界

 アドミニストレータ カノープスが生み出した3体目のローレンシウム兄弟機。しかし、稼働前にメタルフォートレスのさらなる可能性と機能の向上を目指す実験機として、アドミニストレータ デネボラの協力のもと、抜本的に設計が見直され改修された。

 デネボラによって大幅にキラーマシーンの要素が追加されたことで、メタルフォートレスの根幹とも言える変形機構が取り去られており、すでにメタルフォートレスと呼ぶよりも限りなくキラーマシーンに近い存在へ変質している。

 人工知能にはデネボラが初めて作ったロボット用AIの設計がそのまま組み込まれており、これまでにローレンシウムと戦斗怜亜、サイクロトロンと雷鳥超が記録した数値をはるかに超えるシンクロ率を、搭乗者として抜擢された少女、獅子島・L・七尾との間に叩き出している。

新五頭領

[ しんごとうりょう ] 称号 / 現代・緑の世界

 新たなライカンスロープの代表。現代を訪れて以降、民を守るという五頭領の原則を放棄しているガイルタスクの穴を埋めるため、千年國の住民の大半を占めるライカンスロープたちの投票で選ばれた。

 新たな時代を象徴するかのように、どちらかというと武力よりも知力や魅力に秀でた者が名を連ねている。そのためか、千年國代表の青葉千歳、八大龍王(優鉢羅/娑伽羅/阿那婆達多)、五頭領(ウェアタイガー/ウェアジャガー/ウェアパンサー/ウェアクーガー)らが顔を突き合わせる閣議の場では、妙に発言力が強い。

神祖の仮面

[ しんそのかめん ] 技術・技法 / 黒の世界

 超古代文明によって製作されたと考えられているディアボロスのオリジナルの仮面。素材として地球上には存在しない物質も使用されており、複製は非常に困難である。世界に7枚存在することが知られている。

 奈良でガムビエルに回収された「神祖の嫉妬の仮面」を除く残り6枚のうち4枚までは、所在国とおおよその在処が判明しており、円卓会議の財力で該当地域の遺跡発掘調査が進められていた。にも関わらず、2枚目以降はなかなか見つからなかった。

 インウィディアより新たに神祖の仮面の回収を命じられた天王寺大和は南アフリカへ飛び、スタルクフォンテイン洞窟群で「神祖の憤怒の仮面」を手に入れるに至る。だがしかし、大和は圧倒的な仮面の力に魅入られてしまった……。仮面に導かれるかのようにフランスのカルナック巨石群で「色欲の仮面」を、中国の秦始皇帝陵で「神祖の暴食の仮面」を手に入れた大和は、掘り出された仮面たちに相応しい持ち主を探すため日本へ戻って来ることとなる。まだ見つかっていない残りの仮面のうち、1枚はアメリカ大陸にあると伝えられているが、残り2枚の在処は依然として不明のままである。

 これは、不安定な黒の世界の異なる物語。しかしながら、神祖の仮面そのものは確かに実在するのである。

神門

[ しんもん ] 一般名詞 / 神域

 神が現れる際に生じる空間のひずみ。竜の巫女の加護がなくとも神域へ至ることが可能だが、通常のゼクスは神の気にあてられ、深度が上がってしまう。

 白の世界において、時を操る能力を持つ四大天使ウリエルがひずみ周辺の時間を止め決戦に備えており、かつてガムビエルの命令で現代の人間(綾瀬の両親ら)を殺めたことを悔いていたガーディアン・ダウラギリは、その贖罪のため門番を名乗り出た。すでにウリエルの術は解けかかっており、ダウラギリも神の気の影響を受け始めているが、ギリギリのところで意識を保っている。

ステイシー

[ すていしー ] 称号 / 現代・黒の世界・緑の世界

 黒の世界を徘徊する不死種族ノスフェラトゥ。幽霊、骸骨、吸血鬼など様々なタイプが存在するが――

 腐敗した身体を引きずりながら活動するゾンビタイプ、中でもうら若き少女の心を持つ者たちには共通した悩みがあった。極限まで加齢を重ね、限界を遥かに超えた肌年齢である。

 ある時、一般道徳に反する闇技法が共有される情報サイト「苦供破弩」に書き込まれたレシピが注目を集めた。黒の世界領域と隣接する緑の世界領域から飛来する昆虫植物プラセクト。その死骸から抽出したエキスを摂取すると、荒れたお肌がたちまち〝とぅるんとぅるん〟になるというのである。

 折良く、緑の世界のブラックポイントから大樹ユグドラシルが全世界へ向けて侵食を始め、プラセクトの大量発生が問題となった頃合い。透き通るような麗しい肌を持つとされる、伝説の雪の皇女アナスタシアにあやかって「ステイシー」を名乗る、腐り切った乙女たちの虫取りフェスティバルが幕を開けた。

 女性の美を追求する宝石業界最大手「ルクスリアグループ」がこの騒動に着目。一般ゼクスが太刀打ちできない強敵プラセクトに挑む戦闘チームを組織し、最高品質の戦利品のみを回収。1滴1滴慎重に抽出される高級化粧水「プラセッション」の販売を開始した。植物由来成分による究極の美肌効果はもちろん、昆虫由来成分による擬態能力で身体を繋ぎ止めるツギハギさえも隠せるとあり、大ヒット商品となった。

 暗殺者組織として恐れられる「アトラクナクア」をブランド名としており、商品パッケージにはとある虫取り名人の顔写真が〝オレが獲った!〟のコメントと共に無許可で使用されている。

ステラ・リース

[ すてら・りーす ] 一般名詞 / 現代

 アイドルの頂点を決定する、星の名を冠するセレモニー。酔狂で知られる黒の世界の嫉妬の魔人インウィディアが傘下企業の莫大な資金を用い、デススミス商会主催の扱いで開催した。

 参加資格はあってないようなものであり、出身、性別、構成、実績、リアル・バーチャルすべて不問。このため想定外に多くの参加者が集まる結果となり、本戦ブロックの前に予選ブロックを行うことが急遽告知された。予選ブロックを通過できるのはわずか10組である。予選ブロックを勝ち抜き本戦ブロックで見事「最優秀賞」を獲得したグループには、星の名を持つ草花である「ステラ」で編まれた花冠(はなかむり)が贈呈される。

 出場者として名を連ねているグループから話題性の高い12組を紹介する。

名前 所属 プロフィール
Type.XIII 青の世界 ウィルス・ヴォイスで罪のない人々を死の淵へ追いやった人物である事実を知る者はいないが、贖罪を果たすため出場を決意。神気から解放された〝本来の歌声〟で人々を魅了することはできるだろうか。アイドルグループ「SHiFT」のメンバーであるニューとは、なんらかの関係があるらしい。
マーメイド・オーケストラ 青の世界 マーメイド39名に元ディンギルの2名を加えた41名が、各々が得意とする楽器を手に、美しい歌声と壮大な演奏を披露する。XIフラッグス1番艦艦長シュバルトはユニットリーダーとして指揮者を担当。折り紙つきの実力から予選ブロックトップ通過候補の筆頭と目されるが、下馬評通りに事が運ぶかどうかは、破滅的な音痴であるタルティニに懸かっているとも。
美波&つばさ 白の世界 活動を休止しているシャイニングエンジェルから弓弦羽ミサキ以外のメンバーが参戦。シャイニングエンジェル加入前からそれぞれ、演歌歌手や天才子役として一定の評価を得ていたふたりでもあるため、リーダーを欠いた状態での活躍に注目が集まっている。
スパイト・マリス 黒の世界 敵意の魔人ホシティリと怒号の魔人トネットによる、男性ふたり組のユニット。全人類に喧嘩を売るスタイルと殺人的・猟奇的なデスメタルが持ち味。感極まって本当に生命を落とす者も稀にいるという。おもに女性からの支持が厚い。
五頭領 緑の世界 千年國のふるさと納税アピールのため出場。事前に、ネコ系ライカンスロープの五頭領とイヌ系ライカンスロープの新五頭領とで出場権を懸けたじゃんけん(一部報道では野球拳とされる)が行われ、五頭領が勝利。現在に至る。当然、アイドルユニットとしての実績はゼロである。リーダーはメンバー中、唯一の男性でもある〝おとうさん〟。
八宝美神 緑の世界 本来は8名のユニットだが、不仲で知られるローリエとマスティハが「SHiFT」に属するペクティリスと互いの名前を除いた6名で出場登録。厄介事を察知した受付のスケルタルセールスが機転を利かせ、ふたりを除いた5名の出場を受理。その後、行方不明となった。多数の熱狂的ファンを持つフリージアがリーダーに収まったことで、アイドルユニットとしての完成度が飛躍的に上昇している。
八宝美神 QUEEN 緑の世界 ローリエとマスティハがやむなく組んだ即席ユニット。確実にトラブルを巻き起こすとして、悪い意味で期待されている。
蒼碧(そうへき) 混成 青の世界のマーメイド・メノーテと緑の世界のリーファー・アンゼリカからなるユニット。五つの世界の関係性が現在よりも遥かに険悪だった頃に結成された〝奇跡のアイドルユニット〟として知られ、古参ファンが多い。ユニット名は〝青と緑〟〝双璧〟に由来している。
SHiFT 混成 五つの世界、各1名から成る5名のアイドルユニット。着実に実力を付け、知名度を増しつつある正統派アイドルユニット。詳細は「SHiFT(シフト)」の項目を参照。
iDA 混成 赤・黒・緑の世界、各1名から成る3名のアイドルユニット。ステラ・リース予選ブロックでデビューを果たす。詳細は「iDA(イデア)」の項目を参照。
ドラミコクインテット 混成 五つの世界、各1名から成る5名のアイドルユニット。やはりステラ・リース予選ブロックでデビューを果たす。5名全員がリーダーを主張しているほかは詳細不明。
クリアハート エア 無所属 ただでさえ知名度の低いドラミコクインテットに対抗心を燃やす、ソロアイドル。やはり詳細不明。

星界

[ せいかい ] 一般名詞 / 星界

 ふとした瞬間、頭をよぎる言葉がある。

 星界。

 誰もが耳にするが、忘れてしまう。誰もが説明を試みるが、イメージできない。何故なら、何処にも存在しないから。

 否、存在する。すべてを否定する虚数領域に、それは或る。

 なにも無い、曖昧な場所。狭くて広く、高くて低い場所。強い思念と断たれた可能性が集う、掃き溜めのような場所。

 かつては管理者も存在した。いつしか星界の外へ強い憧れを懐くようになった彼(性別不詳)は、星界の外側へ第一領域「零域」を創造した。やがて「零域」に自然発生した住人に第二領域「神域」を創らせ、自身は「神域」と競い高め合わせるための第三領域創造へ着手。環境を整え、星界からの脱出を試みたが……。夢半ばにして、星界管理の放棄を起因とする自己の存在証明に失敗し、消滅した。

 かくして、星界を知る者は無なくった。

 数多の思念が辿り着いては圧倒的な「虚」に呑まれ、存在証明を果たせないまま消滅してゆく。神竜戦争に敗れ、尊厳を失い、自我を崩壊させた弱き竜たちも星界へ迷い込んだが、1体また1体と消滅へ追い込まれていった。

 だが、何事にも例外はある。星界に於いても、唯一消えないものがあった。

 それは、生を否定されながらも生を渇望した少女の思念。時代を超えて否定され、次元を超えても否定され、それでもなお存在否定を否定しようと藻掻く、強き少女の思念は蓄積されてゆく。

 ある時、消滅を恐れ藁にもすがる思いで強き少女の思念に触れた弱き竜の1体が、不意に「虚」の呪縛から逃れた。事実に気付いた弱き竜たちは我先に強き少女の思念へ群がった。強きを得た竜たちは星界を永住の地と定め、強き少女の思念に寄り添うことに決めた。

 幾星霜の時が流れ――

 数え切れないほどの存在否定を重ね続けた少女の思念は、ついに個となった。強き竜たちに「竜の姫君」と崇められる彼女は、個が形成される過程で竜の影響を強く受け、竜の力を備えるに至る。自我を得た姫君は自身のルーツを知りたいと考え、竜の力で己が因果を垣間見た。最も結びつきを強く感じた固体は「各務原あづみ」だった。

 観測の過程で姫君は知ることとなる。神に翻弄された結果、幾度となく滅亡を遂げた五つの世界の悲運を。「各務原あづみ」がどの時空でもそれらの悲運に巻き込まれ、早々に生命を落とすことを。そして、彼女の生への憧れこそが自身を生み出したことを……!

 姫君は想った。あまりにも救いのない、五つの世界を救いたいと。

 しかしながら、星界は「虚」。そこにいる限りは自身も「虚」でしかない。存在証明を果たすため、姫君は「各務原あづみ」へのアクセスを試みた。偶然にも彼女は竜の息吹を得ており接触は容易いと思われたが、結果は失敗に終わった。竜と相反する神の影響をも「各務原あづみ」は受けていたからである。

 次いで親和性の高い固体は、白の世界と呼ばれる時空に存在した。天使「バルビエル」との因果を結合した竜の姫君は、無事に存在証明を果たした。意識を融合させた竜の姫君は星界の殻を破り、数多の竜と共に活動を開始する。

「争い合うのはダメだよ」

セイクリッドビースト

[ せいくりっどびーすと ] 種族 / 白の世界

 野生の本能を残しながら白の世界の理に順応し、精神力と知性を高度に発達させた獣たち。

 彼らもまた精神力を具現化させる能力を得ており、半透明な炎を帯びた鎧を身にまとった個体、魔法のような特殊能力を放つ個体など、元となった獣により多種多様な外見や性質を有している。友好的に接してくれるかどうかは、大自然の掟と彼らの気分次第だろうか……? 敵に回せば脅威だが、味方になればこの上なく頼もしい存在であることは間違いない。

Z/X

[ ぜくす ] 一般名詞 / 現代

 Zillions of enemy X(数えきれない正体不明の敵)の略称であり、「ゼクス」とも表記される。

 ワシントンD.C.に突如現れた巨大なブラックポイントから出現した夥しい数の異形に対して、中央情報局が命名したコードネームであったと言われているが、真偽は不明。彼らはブラックポイントをゲートとして繋がった、異なる5つの未来世界の住人であることが、人語を解するゼクスとの接触によって判明。

 また、出身世界の特徴を受け継いだ種族が、各世界に4種族以上存在することが分かっている。彼らはその個性を活かし、他勢力の未来を断つため現代へやって来た。5つに分かれた結果、衰退の一途を辿ることとなってしまった自分たちの未来を生き残らせるため。

ゼロオプティマ

[ ぜろおぷてぃま ] 技術・技法 / 現代・竜域

 ゼロオプティマは青の竜の巫女ユイの「世界を最適化したい」というイノベーションへの願望によって発動した力である。竜の力を用いて圧倒的並行計算を実現させることにより、徹底したイレギュラーの排除を目指す。用いられる竜の力を増加させることでゼロオプティマの精度は指数関数的な上昇を見せる。

 エヴォルシードやアルターフォース同様、カードデバイスを通じて他の世界やその巫女たちにも影響を与えた。しかも、他の竜の巫女の願いにより発現した能力に比べてカードデバイスとの親和性が極めて高い。結果的に、イレギュラーを排除するため生まれたゼロオプティマ自体がイレギュラーである、という矛盾を内包してしまった。

千年國

[ せんねんこく ] 組織 / 緑の世界

 原始の九大龍王であるチトセが建国した、大樹ユグドラシルの侵食を拒む者らが寄り添う小国家。チトセの没後もその子孫が上に立ち、いつの日か自由を取り戻す理想を掲げ、抵抗を続けていた。しかし、四皇蟲 甲虫女王ヘルソーンの計略により一夜にして滅ぼされてしまう。

 龍膽は千年國ただひとりの生き残りである。

[ 2021.02.05 追記 ]

 龍王殿に襲撃され住処を失ったライカンスロープたちの受け入れ先として、現代の東北地方にも同名の国家が新たに建国された。龍王殿に反発するホウライ、大半のライカンスロープ、一部のリーファーが所属し、互いの権利や文化を尊重した共同生活を営んでいる。

 幾度となく緑の世界の平和に貢献してきた青葉千歳が「姫」に祭り上げられているが、政はウェアジャガー、ウェアクーガー、優鉢羅、娑伽羅の4人が執り行う。國を名乗るが、龍王殿ともども、公的に認められた正式な国家ではない。

ソーマワクチン

[ そーまわくちん ] 技術・技法 / 緑の世界

 バイオプラントの種子に寄生された人間の大半が死に至り、稀に生き残った者もリーファーと呼ばれる存在となって人間であった頃の記憶を失ってしまうという過酷な状況に追い込まれた人類は、最後の賭けとして植物に寄生されても死なずに成長を続けた「昆虫のDNA因子」を志願した国連軍の兵士の体に移植するという実験を行った。

 その結果得られたソーマワクチンは、ゆるやかな植物化と感情が高ぶると樹人化するという副作用こそもたらしたものの、人類をバイオプラントの脅威から守ることに成功した。

 培養され大量生産されたソーマワクチンの接種はアジア地域を中心に進んだが、欧米では、バイオプラントに抵抗を示した「動物のDNA因子」を人に移植するという別のアプローチが試みられ、アジアとはまた違った形でバイオプラントに対抗する術を編み出していった。

双極天使

[ そうきょくてんし ] 称号 / 白の世界

 四大天使ウリエル不在の間、白の世界の最高位に立つミカエルとガブリエル(旧・十二使徒 磨羯宮ハナエル)が名乗っている称号。

 ガブリエルは弱者を淘汰し白の世界の未来を勝ち取る「急進派」の精神を先代から受け継ぐが、罪を憎んで人を憎まずの「穏健派」ミカエルにも歩み寄りを見せ、白の世界は和合への道を模索する。

創星六華閃

[ そうせいろっかせん ] 称号 / 赤の世界

 赤の世界は力によって支配されている。永きに渡って力のないマイスターたちはブレイバーたちの過酷な要求に耐え、ギガンティックたちの突然の暴走に怯えた暮らしを余儀なくされてきた。

 ある時、マイスターたちの現状を打破しようと、ひとりの傑出したマイスターと彼女に付き従う6人のマイスターが立ち上がった。赤の世界の中でも最高レベルの武器製作技術を持ち、武術でもブレイバーたちに引けを取らない、その者達の名を、ウェポンマスター アームドと創星六華閃という。

 彼女らはブレイバーやギガンティック、ミソスとの戦いから弱き者たちを守るためギルドを設立し、伝説級の武器の創作を行うる。それらの武器に魅せられたブレイバーの中でもマイスターを対等に扱う者とだけ取り引きを行い、力ずくで武器を奪おうとする者には力を合わせて対抗した。

ソル

[ そる ] 人物 / 青の世界

 青の世界の管理者である「アドミニストレータ」のリーダー格。青の世界へ進んだ黒崎神門。

 科学技術の発展を促し、事故死した妹を復活させようとした。しかし、どれだけ聡明な頭脳をもってしても、どれだけクローン技術が進歩しようと、何故か妹の復活だけは叶わなかった。青の世界の礎に、破滅へ向かうよう神の思惑が込められた摂理(ルール)が存在する為である。

 決して抗えない摂理(ルール)に気付いたソルは、無限に自己アップデートを続けるスーパーコンピュータ「シャスター」を設計。科学技術の発展による人類の繁栄を掲げ、様々な分野のエキスパートを募り、遂に完成させた。さらに、肉体を棄て去る必要に迫られるほど長い年月をかけ、人類のデータを半ば強引に収集し続けた。

 理由は唯ひとつ。

全 - 妹以外総て = 妹

 彼は膨大な情報から逆算し、亡き妹を創出しようと目論んだが……。マーメイド勢力の抵抗など様々な要因から〝妹以外総て〟を実現できず、試しに創造した人格「ルナ」は、真の妹とはかけ離れた失敗作であった。

 科学技術の発展によるクリエイション・シスターを断念したソルは青の世界を見限り、新天地へ。叡智極点(ウィズダムゼニス)を名乗り、己を摂理(ルール)とするため、〝強い想いが現実となる〟幻夢郷の侵略を開始した。

[ 2022.06.03 追記 ]

 夢想が現実となる幻夢郷を礎として〝妹が死なずに生きている〟新世界の創造を目論み、幻夢郷の破壊目的で集められた五つの世界出身の協力者「キュレータ」らと活動を開始。ク・リト王家と現代世界(竜域)から訪れたゼクス使いの連合軍との全面戦争「叡智極点戦争」が勃発する。

 最終局面で神門との一騎打ちに敗れたソルは、永い生涯に幕を閉じた。電子の藻屑として消滅する間際、満身創痍の身体を引きずって辿り着いた従者のイースが、優しげな笑みを浮かべた彼を看取っている。

大樹ユグドラシル

[ たいじゅゆぐどらしる ] 一般名詞 / 緑の世界

 緑の世界を覆う植物達のネットワーク。全であり個、個であり全の存在。

 緑の世界を覆う植物全てが端末であり、本体であるためほぼ不老不死の存在である。植物化に抗う勢力を殲滅するために戦闘に適した形の端末を産みだしたり、バイオ植物の種子で大量のプラセクトを操ることもある。

[ 2021.11.05 追記 ]

 生き残り総てがブラックポイントから現代へ逃れ、緑の世界にはユグドラシル以外の知的生命体が存在しなくなった。人類の滅亡をもって、全一は果たされたのである。がしかし、ユグドラシルの欲は収まらない。鳴動ののち枝葉を伸ばし、ブラックポイントの向こう側―― 五つの世界が交わる現代へ矛先を定めた。

 厳密な話をすると、全一は果たされていない。

 ユグドラシルの監視網から逃れる術を身に着け、ユグドラシルの根に相当する地「モウギ」に眠るホウライの神祖「ソーマ」を、緑の世界創始の時代から見守り続ける者がいる。名をピュアティ。鳴動により虚を突かれ、大樹の枝葉に捕らえられた。力あるホウライを取り戻すため緑の世界へ帰還し、ホウライの神祖「ソーマ」の血を啜らんと企む者がいる。名を和修吉。ピュアティとは因縁浅からぬ関係である。彼女は部下を率い「モウギ」へ到達した。そして、ピュアティの危機を察知し、幻夢郷から駆けつけた者がいる。名を剣淵相馬。

 現代の地球上に緑の世界のブラックポイントはふたつ。うち、フランスに存在する巨大なブラックポイントの異変を、青の世界のサテライトがキャッチしている。大樹ユグドラシルの侵攻と「ソーマ」を巡る確執は、緑の世界だけの問題ではなくなりつつあった。

ダゴン・カルテル

[ だごん・かるてる ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。

 メキシコを本拠地に世界中で裏稼業(麻薬、賭博、売春、窃盗、詐欺、恐喝、誘拐、暗殺)を取り仕切っている。元々は禁酒法の時代にアメリカで勢力を拡大したマフィア組織だったが、ハイドラ財団と裏で手を組み、文字通りハイドラ財団の「影」として表の活動を裏から支えることで共に巨大な組織へと成長した。

 ダゴン・カルテルの構成員は体のどこかに三叉の矛の刺青をしていると言われている。売春を取り仕切るなど女性を軽視しているため、アトラクナクアとは犬猿の仲である。

 仮面の属性は「怠惰(sloth)」。

治安維持部隊

[ ちあんいじぶたい ] 組織 / 青の世界

[ 2021.11.05 「リヴァイアサン」から改題・再編 ]

 アドミニストレータ ベガが擁する、バトルドレスとキラーマシーンの混成による青の世界の警備組織。指揮系統ごとにオリジナルXIIIの偶数機がリーダーを担っており、空を管轄するジズ(Type.II,IV)、地上を管轄するバハムート(Type.VI,VIII)、海上や沿岸を管轄するリヴァイアサン(Type.X,XII)に戦力の大半が投入されている。

 青の世界では、スーパーコンピュータ「シャスター」によって生み出された、インターネットに替わる全く新しい知性を持ったコンピュータ・ネットワークシステムが世界中に設置された監視カメラに接続されている。事故や事件が起きた場合、即座に担当の治安維持部隊にシャスターからの出動命令が届くようになっていた。しかし、歴史に残る革命戦の末にシャスターは破壊され、最高権限を有していたアドミニストレータ ソルも失踪。これによりネットワークシステムは瓦解。同時に、シャスターによる人々の洗脳も解かれ、青の世界の各地は大混乱に陥った。

 その後、シャスター側の首魁であったベガに代わり治安維持部隊最高司令に就任したアドミニストレータ ポラリスは、配下のアステリズム7名に監視を行わせる〝人力の〟システムを再構築、警備体制は復旧した。彼女はアドミニストレータ デネボラにキラーマシーンの新世代機種「ファム」の開発・導入を促し、さらには特殊装備とニンジャ・スキルを駆使するバトルドレス「シャドウ」の育成を要請。少数精鋭の隠密部隊「ケルベロス」を組織した。一方、アドミニストレータ カノープスにはメタルフォートレスの治安維持部隊配属を正式依頼しつつ、外宇宙からの侵略者に備える「サテライト」の開発・導入を提案。宇宙を管轄する部隊「ウロボロス」の新設を決定している。

 これらを受け、Type.IVにはウロボロスへの、Type.Xにはケルベロスへの、Type.VIにはリーダー不在となるリヴァイアサンへの異動辞令が告示された。

 一気に厚くなった警備網で黒の世界から襲来した黒剣を退けると、ポラリスは最高司令の座を改心したベガに返還した。全てを友へ託し、彼女は青の世界を後にする。

 なお、ソルと同時期に失踪したType.XIIは、リヴァイアサンおよび治安維持部隊から除名されている。

CHASE HAZARD 3

[ ちぇいすはざーどすりー ] 一般名詞 / 現代

黄泉返った屍が跳梁跋扈する領域と化した生体研究機関を舞台とする、チェイスアクション。

無事の生還を目指す「生者」と、生者に襲いかかって仲間を増やしてしまう「亡者」のニ陣営に分かれ、サバイバルバトルを繰り広げることとなる。

知恵と戦略を駆使して施設からの脱出を! あるいは全滅を目指せ!

 ゲーム配信者を中心に流行っている、生と死を分かつオンラインゲーム。略称は「CH3」。

 前前作の「1」は横スクロールアクションゲーム、前作の「2」は謎解き主体のアドベンチャーゲームだった。

 ふたつの陣営に分かれ、ある時は朽ちかけた建物を探索し、ある時は罠を巡らせ、ある時は全力で逃走または追走する、一人称視点の駆け引きを楽しむゲームである。しかしながら、個人が無償で公開している作品であるためか、率直に言って両陣営間のバランス調整が劣悪である。

 例として、亡者に捕まった生者は即座に亡者の仲間入りを果たすにも関わらず、ゲーム開始時の勢力図が五分五分であることが挙げられる。亡者の頭脳はゾンビのように腐っている訳でも愚かなAIでもなく、すべて狡賢いプレイヤーのもの。この絶望感が伝わるだろうか。

 汎用アイテムの「爆弾」についても触れない訳にはいかない。耐久力のある亡者ならば耐えられる一方で生者は一撃死してしまう破壊力。効果範囲も極めて広い。亡者の追走を凌いで隠れていたら、誰が仕掛けたかも分からない爆発に巻き込まれてエンドとなる事態も平然と起こりうるのだ。こんなバランスブレイカーが所属陣営を問わずに入手可能なことは問題視せねばなるまい。

 これらの悪評が広まり、いまやオンライン配信に興じる者が後を絶たない。あまりにも難易度の高い生者陣営の〝奇跡の生還〟や、亡者陣営による〝生者全滅RTA〟をネタにするのである。

 繰り返すが、ゲームバランスは最悪である。決して期待してはならない。

 KASUGA 》 ゲーム慣れしてるネイちゃんが敵チームだなんて、運がありません。

 海外のインディーズゲームであるため、名前の日本語表記は未対応。

 なお、CH3ではバグやチートの利用が横行しており、セキュリティの甘さもしばしば取り沙汰される。たったひとりで開発運営を行っているというウワサが真実なら、責めるのは酷というものだろうか。

蝶ヶ崎ほのめ

[ ちょうがさきほのめ ] 人物 / 現代・赤の世界

 九頭竜学院大学で遺伝子工学を専攻する女子学生。18歳。一大財閥の令嬢として育ち、口調がやや特殊ではあるものの、才色兼備。目立ちたがりで思い通りにならないと、かんしゃくを起こす一面がある。

 容姿や財力だけでなく天才的な頭脳でも一目置かれる存在だったが、同大学院が誇る超天才の黒崎神門の前では、すっかり霞んでしまった。あまつさえ、自分のことを歯牙にもかけようとしない神門を見返すため、ほのめはゼクス使いとなって神門の野望を妨害しようと決心する。

「ご静粛に。アタシにいい考えがありますの!」

超既視感

[ ちょうきしかん ] 技術・技法 / 白の世界

 ウリエルA.T.の持つ能力。並行世界の未来や過去に起こった出来事を夢という形で見ることが出来る。ウリエル自身は神託のようなものと捉えており、不確定な予知のように考えている。

 ブラックポイントが開いて以降、ウリエルはラファエルが青い巨大ロボットによって殺されるという夢を何度も見るようになり、ラファエルの身を案じている。

ディアボロス

[ でぃあぼろす ] 種族 / 黒の世界

 いわゆる〝悪魔のような〟風体に変わり果てた人間。氏族ごとに異なる特徴的な仮面で表情を隠しているが、この仮面こそある意味ディアボロスの本体だろう。

 敵を殺め血に塗れ、主の業が深くなるごとに文字通り仮面は成長してゆき、完全に表情を覆い尽くされたディアボロスは、不老不死と引き換えに人間性を喪失してしまう。己の意思か仮面の仕業か、他者の命を合理的に奪う術を追求するため肉体を魔改造するなど、その狂気は黒の世界を代表するに相応しい。

神(ディンギル)

[ でぃんぎる ] 種族 / 神域

 悠久の過去に竜と対立した歴史を持ち、竜だけでなく、竜が生み出した人間、人間が進化したゼクスを根絶せんと目論む。人間やゼクスからは人型として認知されるが、本来の姿は不定。時間と空間を超越した地、神域に住まう。神には階級が定められており、その有り様は白の世界の支配制度に近い。

 神は白の世界の四大天使ウリエルにより、神域の果てにある神々が棲まう領域《楽園》へ封印された。しかし、封印を逃れた一部の神の暗躍により、再び解き放たれてしまう。皮肉にも先陣を切るのは、神の気にあてられ翼を漆黒に染めたウリエルだった。不幸中の幸いと言えるのは、封印解除が不完全な形で完了していること。これにより、最上位神は極めて限定された姿と能力でしか顕現できない状況となっている。

 詳細は《鑰匙(やくし)》の項を参照。

[ 2020.07.28 追記 ]

 始まりの竜として日本列島の地下深くで眠りに就いていた〝人竜の守り手〟神エンキは、五神竜とラストゼオレムが一時的な身代わりとなったことで復活を果たした。そして、いつ《楽園》の封印をこじ開けて竜域を脅かすとも知れない、神エンリルに立ち向かう。

 双子神は激戦の末に力尽き、神エンキは再び始まりの竜として眠りに就いた。神エンリルと共に――

[ 2022.06.03 追記 ]

 神陣営から離脱し人間に与したシャマシュ、ナム、ニンガルを除いて、神々は滅んだ。

 しかし、ほかにも数名の元神がゼクスへ〝堕落〟した姿が確認されている。「討祓戦」で刃を交えた相手の心意気に打たれたか、あるいは屈服させられ邪心を浄化されたか、はたまた全盛期に多くの《願いし者》を獲得した元神が《叶えし者》たちの呪詛を一身に受けた影響とも考えられている。

 以下に「討祓戦」直前の、神々の上下関係を記す。

階級 名前
最上位 エンリル
上位


下位
アヌ
ネルガル / マルドゥク / イシュタル / ナナヤ / ティアマト / ルル / ザババ
イナンナ / スド / アッハーズ / ニヌルタ / イガリマ / ニンカシ / シュルシャガナ / ナンナル / ラハム / アンシャル・キシャル / ラマシュトゥ / ニンフルサグ
離反 エンキ / シャマシュ / ナム / ニンガル
神格喪失 エレシュキガル / ギルガメシュ

D・ウィッチ

[ でじたるうぃっち ] 称号 / 現代・青の世界・白の世界

 見えざる力に対抗するべく組織された、青の世界「治安維持部隊」に属する新設部隊の構成員たち。急造であるため、部隊名は無い。

 主任務は敵との交戦ではなく、質量ゼロの相手に物理的な干渉を試みること。具体的には、徐々に肥大化している赤の世界のブラックポイントに西日本一帯が呑み込まれゆくのを阻止することにある。元々は、被害が多発している「不可視の斬撃」「見えない攻撃」などと呼ばれる、無音のかまいたちのような現象に対応するべく発案された。

 超科学の産物である肉体の電子化スキルにセイクリッドビーストのオーラ力学を組み込み、特殊な技法を体得した彼らは光や音を始めとする「波」をつかむ。青の世界のアドミニストレータ ポラリスが白の世界の双極天使ミカエルに働きかけ、実現した。

 赤の世界は核の冬により全土が銀世界に覆われているため、並の生物が生存するには困難を極める。無論、普通の人間であればブラックポイントに呑み込まれる以前にリソース症候群へ陥り、放置すれば後遺症や死を招いてしまう。北九州エリアで安倍晴明率や式神と交戦していたゼクスたちは緊急事態を察知し、即刻争いを中止。一般市民を引き連れ、同盟先の白の世界領域へ向けて車両や船舶での避難を開始した。

 いまや九州全土を完全に覆い尽くしてしまったブラックポイントのさらなる拡大を、D・ウィッチが物理的に押し留めている間に、我々は根本的な解決策を見出さねばならない。しかしながら、諸悪の根源である安倍晴明は行方をくらませている。

デススミス商会

[ ですすみすしょうかい ] 組織 / 黒の世界

 デススミス商会は百目鬼財団の下部組織であり、主な業務は錬金術や呪術を駆使してトーチャーズを企画・製造することである。

 アトラクナクア製の球体関節人形をモチーフにしたものやダゴン・カルテル製の殺傷力を極限まで高めたものなど、複数の企業が暗殺用のトーチャーズを手掛けており、ヒット商品も多いのだが……なぜかデススミス商会が製造するトーチャーズはメイドインジャパンにもかかわらず不人気なようだ。

 彼らの商品企画力には何かしら根本的な欠陥があるのかもしれない……。

神域(デュナミス)

[ でゅなみす ] 一般名詞 / 神域

 神々の住まう地。

 現代世界とは隔絶されており、互いに干渉できない。しかし、5世界の争いが時空に歪みを生じさせ……。神は降臨を果たした。

 神の出現と時を同じくしてブラックポイントの上空に、それぞれ異なる建造物や風景が浮かび上がった。そのため一部ゼクス使いの間で、ブラックポイントは神域の技法が生み出した、いわゆる神の産物との憶測が飛んでいる。しかし、他世界解釈を専門とする物理学者カール・ワイバーンは神との邂逅を果たしておらず、憶測にも懐疑的。

転身

[ てんしん ] 技術・技法 / 現代・赤の世界

 マイスターが鉱石生命体であるギガンティックを瞬時に加工し、装甲形態と成った姿。肉体的脆弱性を補うために開発された。装甲やバックユニットには火炎や雷撃などを放つギミックも搭載されており、必殺の一撃を放つスタイルで戦闘へ臨む。非常に有用である反面、肉体への負担も大きく、活動時間が制限される弱点を指摘されている。

 元々はギガンティックの母とされる博士が、自ら最前線へ立つために編み出した技法。それに着目したマイスター有志が汎用性を高めたものである。詳しくは「転身(オーバーブースト)」を参照のこと。そのため礎となる理念に〝変身ヒロインへの憧れ〟が詰め込まれており、変身や必殺技には過剰な演出がキー・アクションとして求められる。有志たちはついぞ、偉大過ぎる博士の厄介な基本理念を改変することができなかった。

 当の博士は「転身」が普遍化したのと同時期にさらなる境地「新解釈・転身」を編み出している。

天竜ゆたか

[ てんりゅうゆたか ] 人物 / 現代・青の世界

 平凡で常識人の少女。物心ついた時に親はなく、静岡で漁師を営む義父に育てられた。通うはずだった高校が廃校となったため、義父の知人であるカール・ワイバーンの助手(お茶くみ)をしている。

 平和を脅かすゼクス全般に嫌悪感を抱いており、満身創痍のフレデリカにも当初は拒否反応を示した。自身が金槌で音痴なこと、子供の頃から人魚に憧れていたことも手伝い、最終的には彼女を受け入れる。

「ふーちゃんは、もっと夢見たっていいと思います」

トゥエルブ

[ とぅえるぶ ] 人物 / 青の世界

 ソルの幹部のひとり。正式名称、オリジナルXIII Type.XII“Sb37Ve”。

 シャスターを巡る「革命戦」以前は治安維持部隊「リヴァイアサン」に所属し、アドミニストレータ ベガの配下として活動していた。ただしそれは表の顔。初期段階で感情制御回路を外されて以降、極めて利己的な目的のために手段を厭わない邪悪なソルに心酔。その野望を実現させるための諜報活動や他勢力の撹乱に従事していた。

 空気に溶け込み、大地に潜水する特殊能力を駆使した、神出鬼没な戦術を用いる。

討祓戦

[ とうばつせん ] 一般名詞 / 現代

 神エンリルが仕掛けた最終戦争を迎え討つ、人竜の戦い。

 神々は名古屋地下深くに配置された「ネオ・シャスター」を支配下に置くと、人類を強制的に焼失させる音声兵器「ウィルス・ヴォイス」を開発(青の世界開発時は人類を強制的に機械化する兵器)。誰もが耳を傾けてしまうType.XIIIの歌声に重ねると、キラーマシーンや一部メタルフォートレスを通じて拡散し、各地で甚大な被害を出した。白の世界から滑落した《神門》を通じて出現した、深度の高い無数の《叶えし者》たちを暴れさせもした。さらに、赤の世界が生み出した最強個体《最凶生物》ザ・ワンや、白の世界の元最高権力者であるウリエルさえも神の使徒として同時展開し、容赦のない裁きを人竜へ下した。

 神々の誤算。それは覇神ギルガメシュが降臨した「破神戦」以降、人類が大きく進化した点である。

 普段は互いを滅ぼそうと画策し合っている五世界が団結したこと。《討ち祓う者》を始めとする、神へ抗する具体的な手段を備えたこと。人類を陰ながらサポートする立ち位置にあった竜の巫女が戦場へ赴いたこと。異海からの来訪者にして、神々にとっての天敵であるク・リトが介入したこと。

 神々は認めざるを得なかった。敗北を。ヒトの強さを。

 以下に「討祓戦」のおもな戦局と、同時期に行われた〝ある私闘〟の「人竜視点の戦果」を記す。

No 神陣営   人竜陣営 戦果
初戦 ウィルス・ヴォイス部隊
※キラーマシーンの《叶えし者》
vs 天王寺大和&クレプス
アニムス
黒の世界のゼクス
ク・リト
快勝
第2戦 《最凶生物》 vs 蝶ヶ崎ほのめ&迦陵頻伽
赤の竜の巫女メイラル
緑の竜の巫女クシュル
赤の世界のゼクス(北九州方面隊分隊)
緑の世界のゼクス(千年國)
惜敗
第3戦 下位神
《叶えし者》
vs 上柚木さくら&フォスフラム
ミカエル
白の世界のゼクス(十二使徒・十輝聖)
《討ち祓う者》
ニャルラト
辛勝
第4戦 ウリエル(神穢) vs 白の竜の巫女ニノ
黒の竜の巫女バラハラ
辛勝
第5戦 ネルガル
イシュタル
エレシュキガル(ゴースト)
vs 倉敷世羅&オリハルコンティラノ
黒崎春日&ネイ
剣淵相馬&フィーユ
Dr. 倉敷(セーラ)
辛勝
第6戦 ルル
ザババ
vs 天王寺飛鳥&フィエリテ
上柚木綾瀬&ズィーガー
圧勝
第7戦 アヌ vs シャマシュ 快勝
第8戦 マルドゥク vs 各務原あづみ&リゲル
弓弦羽ミサキ&ケィツゥー
イリューダ・オロンド&マルディシオン
シュブニ・グ
ヨグ・ソティス
快勝
第9戦 ナナヤ vs 都城出雲&ガーンデーヴァ 勝利
第10戦 ネオ・シャスター ルナ
サテライト・ソレイユ テラ
vs 戦斗怜亜&ローレンシウム
雷鳥超&サイクロトロン
獅子島七尾&シンクロトロン
ニーナ・シトリー&メインクーン
??
最終戦 エンリル vs エンキ 快勝
         
EX戦 アドラユベル vs 上柚木八千代&アルモタヘル 勝利

百目鬼きさら

[ どうめききさら ] 人物 / 現代・緑の世界

 陰陽術や呪いを生業とする百目鬼の一族。生来の強い力を持つ彼女は魂や物の怪の類と対話が可能であり、将来を嘱望されていた。さらには生物の魂を身体から取り出すこともできるという。

 その能力に目をつけた魔蜂姫ヴェスパローゼに囚われ、利用されている。また、物心つく前に人間社会から隔離されてしまったため、善悪の区別もつかない。

「ぅゅ?」

百目鬼財団

[ どうめきざいだん ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。

 平安時代より時の権力者を裏から操ってきた財閥。出自は陰陽師と言われている。幕府崩壊や戦後の財閥解体など歴史的な事件においても、権謀術数を駆使して生き残ってきた。

 財団幹部の多くは百目鬼一族に支配されており、代々、不老不死の研究を続けている。オカルトから最新科学まですべてを研究対象としているため数多くの研究者を抱えているが、研究テーマの特異性により表舞台から爪はじきにされた者たちばかりである。

 仮面の属性は「嫉妬(envy)」。

トーチャーズ

[ とーちゃーず ] 種族 / 黒の世界

 意思を持って、生ある者に「じゃれてくる」拷問器具たち。しかしながら、致命的な殺傷力を有しているというだけで、その本質は子供か小動物のようなもの。彼らにしてみれば、ちょっと触れただけで動かなくなる相手と遊んでも楽しくないに違いない。

 逆に、ちょっとやそっとじゃ壊れない屈強な肉体の持ち主に出会えたなら、彼らは理想的な遊び相手を見つけた喜びで、もっと激しく「はしゃぎまわる」だろう。動力源は呪術的なものと言われているものの、詳細不明。

特異点(神視点)

[ とくいてん(でぃんぎるしてん) ] 一般名詞 / 神域

 世界を崩壊へ誘う者。黒崎神門、天王寺飛鳥、天王寺大和、百目鬼きさらの4人が該当する。

 神から人類を逸脱する能力を与えられた最初のひとりであり、すべてがそこから始まった。元来、彼らを総称する呼び名は特になかったが、竜の巫女への皮肉を込め、神々も彼ら4人を「特異点」と呼ぶことにした。

特異点(竜の巫女視点)

[ とくいてん(りゅうのみこしてん) ] 一般名詞 / 竜域

 類まれなる運命力を持つ者。黒崎神門、倉敷世羅、各務原あづみ、戦斗怜亜、天王寺飛鳥、弓弦羽ミサキ、上柚木綾瀬、天王寺大和、青葉千歳、剣淵相馬の10人が該当する。

 異世界解釈において、時の流れには強力な修正力が働くため、一個人の行動では〝迎えるべき未来は変えられない〟とされている。しかしながら、彼ら特異点の選択は時に運命を凌駕し、未来を改変する。竜の巫女たちは彼らの周辺で活動する者たちも交錯の果てに、特異点となり得る存在として見守っている。

ドリーム・キー

[ どりーむきー ] 技術・技法 / 異海

 ク・リト王家に伝わる22の宝具。サイズや装飾は一定しないものの総じて「鍵」の形状を取り、異なる22の属性を有する。所有者にはふたつの恩恵がある。

 ひとつは「夢装(イデアライズ)」。夢想をまとい、意志力を戦闘力へ上乗せする。

 ひとつは「夢影(イデアロイド)」。無意識下で行われる夢想のイデア化を抑制して「夢想欠如」を防ぎ、無差別な「意識干渉」から身を守る、鈍色のシールドが展開される。

 現管理者は第二位王女、夜刀うららであり、1本は自身が所持。姉である天竜ゆたかにも1本渡している。事前報告に基づいて竜域を訪れたうららは、名古屋の「討祓戦」でク・リトと共闘した9名(と関係者)に協力を取り付けると、幻夢郷へ帰還した。別途、ヨグ・ソティスに関わった3名(と関係者)、討神前線基地で活躍した5名(と関係者)が幻夢郷入りを果たしている。

 適正を持つ残りのゼクス使い3名にも順次託される見込みである。

 該当のゼクス使いたちには、実際に「ドリーム・キー」を手にする以前から、属性顕現の兆候が見られていたという。

[ 2022.03.17 追記 ]

 夢装と夢影はあくまで副次的な能力であり、本来の役割が存在する。

 幻夢郷を初期化し〝門〟としたうえで、悠久の昔に失われた【宇宙】を含む23本すべてのドリーム・キーがひとところに存在した場合、星界へ至る〝鍵〟としての機能が働く。

失われている
【宇宙】  
夜刀うららによる配布
【運命の輪】 天王寺飛鳥
【悪魔】 天王寺大和
【死神】 上柚木綾瀬
【太陽】 上柚木さくら
【月】 上柚木八千代
   
【力】 戦斗怜亜
【正義】 雷鳥超
【魔術師】 獅子島七尾
【教皇】 ニーナ・シトリー
   
【世界】 夜刀うらら
【星】 天竜ゆたか
ヨグ・ソティスによる配布
【恋人】 各務原あづみ
【女教皇】 弓弦羽ミサキ
【塔】 イリューダ・オロンド
シュブニ・グによる配布
【戦車】 倉敷世羅
【女帝】 蝶ヶ崎ほのめ
【審判】 都城出雲
【節制】 黒崎春日
【刑死者】 剣淵相馬
我々は根本的な解決策を見出さねばならない。しかしながら、
ニャルラトによる配布を予定していた
【皇帝】 青葉千歳
【隠者】百目鬼きさら
【愚者】 桜街紗那

幻夢郷(ドリームワールド)

[ どりーむわーるど / げんむきょう ] 一般名詞 / 異海

 ク・リトたちが活動拠点とするエリアの正式名称。〝正体不明の化物が海から現れた〟というまことしやかな証言が発端となり、民間レベルの伝承や虚構として「異海」の呼称で存在が仮定されてきた。

 零域(エンテレケイア)の宇宙空間に存在するが、我々が常識として知る惑星のような球体を成していない。空の色は安定せず、メルヘンチックな生物が行き交う大地は、無限の彼方へ続く。彼の地において、時に物理法則は無視され、時に物質や肉体は意義を失うだろう。

 ものを言うのは意志力・夢想力。強く強く想い描けば、その空想・妄想はすべて現実となる〝可能性〟がある。端的に表現すれば〝夢見たことが現実となる世界〟であると同時に〝夢が入り交じる混沌とした世界〟でもある。極めて魅力的な地だが、その代償は高い。

 ひとつは「夢想欠如」。ク・リトは際限なく夢を叶え続け、比類なき力を得た代わりに、夢を見失った。

 ひとつは「意識干渉」。善悪や有益無益を問わず様々な思惑が乱れ飛ぶため、並程度の精神力であればたちまち夢と現の境界を見失い、狂気へ陥る。

 幻夢郷は至上の叡智を誇る者「ソル」の知るところとなった。青の世界に見切りをつけた彼は幻夢郷のメカニズムを解析し、不可思議な法則を零域(エンテレケイア)外へ持ち出そうと画策している。

 愛する妹の生存を認めなかった竜域(エネルゲイア)の歴史を、一から塗り替えるため――

ナズナ

[ なずな ] 人物 / 緑の世界

 最初期に誕生したリーファー。

 「おやすみなさい」してから数千年の時を経て、再び目覚めた。

 なお、眠りについたリーファーが目を覚ました例はほかに無い。

 緊急事態を目の当たりにしたリーファーソムリエの黒薔薇男爵氏はおもむろに付け髭を装着すると、〝大樹ユグドラシルの活発化に影響されたのぢゃ!〟と双眸を見開きながら叫んだ。有識者からは〝はぁ〟〝ひぃ〟〝ふぅ〟〝へぇ〟〝ほぉ〟〝あはーん〟など数多くの支持が得られている。

 件の人物は注目を浴びていることを好機とばかりに〝アタシが一番最初に誕生したリーファーですの!〟と主張しているが、バイオプラントによるリーファーへの強制進化は世界規模のパンデミック。あちこちで同時多発したため最初のリーファーであることを証明する方法は無い。

 言ったもん勝ちである。

NanaoXX

[ ななおなんばーず ] 人物 / 青の世界

 アドミニストレータ カノープスがアドミニストレータ ベガの協力で創った、人間の少女のクローン。

 シャスターに記録されているアドミニストレータ デネボラの人間当時の情報をもとにしているため、現代を生きる獅子島・L・七尾とは「並行世界の同一人物」の関係にある。マスプロトロンに合わせて量産されたため、見た目・性格ともにうりふたつの人物が64人存在し、Nanao01〜Nanao64の型番で管理されている。

「「「「ハーイ,デース_」」」」

 アドミニストレータ カノープスがマスプロトロンの無力化を行った際、彼女らのコールドスリープ処理が行われた。しかし、アドミニストレータ アルクトゥルスが秘密裏に解凍。同じくアルクトゥルスによって改装されたマスプロトロンへ乗り込み、革命軍を迎え撃つ。なお、竣工したばかりのイレギュラーX参号機ブライトロンには、65人目であり、ひとり目でもある、Nanao00Leが搭乗している。

七枝刀

[ ななさやのたち ] 技術・技法 / 緑の世界

 八大龍王である娑伽羅の家に代々伝わる宝具で、モウギから作られた宝具の中で、もっとも重要で強力だと言われている。所持する者の年齢と連動して成長するらしく、現娑伽羅はまだ少女であるため、小刀の形状をしている。

 月下香が持っている七支刀は、先代娑伽羅が所有していた当時の宝具のレプリカ。娑伽羅一門の中でも上位者だけが宝具のレプリカを持つことができる。

 父親が謎の死をとげ、最年少で八大龍王 娑伽羅の名を継承した少女は父親の死に疑問を抱き、真相を探っている。

七大罪

[ ななたいざい ] 称号 / 黒の世界

 殺した相手の寿命を奪い成長する仮面を与えられた、7つの一族。仮面には氏族ごとに異なる7種類の属性があり、同族の者は同属性の仮面を持つ。属性には罪の名前が与えられている。

  • 傲慢(pride)
  • 嫉妬(envy)
  • 憤怒(wrath)
  • 怠惰(sloth)
  • 強欲(greed)
  • 暴食(gluttony)
  • 色欲(lust)

 また、一族のことを指すだけでなく、それぞれの一族の中で最も成長した最狂の仮面を持つ7人を指す場合もある。

ニーナ・シトリー

[ にーなしとりー ] 人物 / 現代・白の世界

 新興宗教ペンドラゴン使徒教会の筆頭宣教師。教祖アダム・ペンドラゴンの養子でもある。天使を崇拝する教会の教えを広めていたところ、天使に誘われ白の世界へ。四大天使ガブリエルにより、失踪したガムビエルに代わる「宝瓶宮」候補として指名される。

 無類の猫好き。追い詰められると幼少時に身に付けた処世術が無意識に発現し、言葉遣いが悪くなる。

「天使様が好きにゃ。でも、猫はもっと好きですにゃ」

ニャインライブズ

[ にゃいんらいぶず ] 称号 / 白の世界

 四大天使ガブリエルに特権階級を与えられたニーナ・シトリーが、その地位を用いて行使した制度。その内容は、彼女が個人的に認めた9匹のケット・シーに、ガーディアン並みの権限を与えるというものである。

 白の世界ではエンジェルを頂点にピラミッド状のヒエラルキーが制定されており、ケット・シーの階級は最底辺に位置する人間のひとつ上。通常、この順位が変動することはないため当制度はかなりの特例であり、責任感や意欲に欠けるケット・シーたちを奮起させた。当然のように、ケット・シーたちのニーナ・シトリーへの注目度も高い。

 余談だが、世界各地にばらまかれたコインを集めて来たケット・シーに「一定の地位」を与えるキャンペーンが、ミケ王主導のもとに行われたことがある。しかし、ガブリエルはもとより十二使徒も非公認であり、仮に完遂した者が現れたとしても公約が果たされた可能性は限りなく低い。事実、参加者はゼロ。ミケ王の扱いの悪さが伺える。

ニャルラト

[ にゃるらと ] 人物 / 異海

 這いよる混沌。

 陽気で小柄な少女。ク・リトの代表格であり、知性を持たない主人ア・ザトアースの代行者としての役割も果たす。

 楽しむことに心血を注ぐク・リトの中でも、ニャルラトは特に〝からかう〟ことに傾倒する。加減を知らないため、場合によっては相手の生死に関わることも。誰彼構わずからかい続けることで、仕返しに〝からかわれる〟ことを密かに期待しているが、願いが叶った試しはない。

[ 2021.02.05 追記 ]

 ク・リト王家第二位王女ヤトゥーラ(夜刀うらら)と共に竜域を訪問。その目的は、人竜滅亡を目論む邪悪な神々の討祓助力と引き換えに、幻夢郷の安寧を脅かすソルに立ち向かう〝夢想する実力者〟を探すためであった。竜域出身の協力者第4陣(青葉千歳、百目鬼きさら、桜街紗那)を幻夢郷へ招致するようヤトゥーラから言付かり別行動となったが、すっかり忘れて諸国漫遊してしまう。

 現在は故郷の危機などお構いなしに、七大罪 色欲の魔人ルクスリアと結託。アトラクナクア社に属し、マネージャーとして新規アイドルプロジェクト「iDA」に関わっている。

ネイ

[ ねい ] ゼクス / 黒の世界

 墓城に住まう麗しき7姉妹の6番目。

 個性豊かな姉妹たちの干渉を嫌い、日がな一日自室に引きこもっている。読書好きであらゆる物語に精通するほか雑学も豊富だが、姉妹たちも手を焼くほどに自堕落で面倒くさがりなため、その知識が活かされることはない。

ネオ・シャスター

[ ねおしゃすたー ] 技術・技法 / 青の世界

 シャスターを遥かに凌駕する進化を遂げたスーパーコンピュータ。所在地は不明。狂気の科学者アドミニストレータ ソルが革命戦を高みの見物する傍ら、秘密裏に開発していた。生命のデータ化など機械による絶対支配を粛々と遂行していたシャスターとは異なり、万物の機械化による「不滅の惑星」を最終目標としている。

 アドミニストレータ ベガの手を離れて大幅な改造を施されたオリジナルXIIIのラストナンバー「Type.XIII」は、ネオ・シャスターと直結するデバイスである。彼女の歌声は生物さえも機械と化すウイルスとなり、青の世界の枠を超えて全世界へ放たれる。

 準備はすでに整い、計画の実行は秒読み段階へ入った。

 ソル曰く、ネオ・シャスターの中枢回路にはシャスターから受け継いだ「ふたつの優秀な頭脳」に加え、「至極の人格」が据えられているという。

ネクロノミコン

[ ねくろのみこん ] 技術・技法 / 黒の世界

 作者不明の魔導書。好事家にのみ知られるレアアイテム。開くたびに内容が変化し、文末では未来をも映し出すという。

 現在は黒の世界の辺境にたたずむ墓城の図書室に収められている。その内容は “最新の所有者” として登録されてしまった墓城七姫ネイ以外に解読することはできず、彼女の難儀な性格から、真価が発揮される機会はない。

NOAH計画

[ のあけいかく ] 技術・技法 / 赤の世界

 正式名称は「Next Overspec Artificial Humanbody 計画」。

 21世紀後半、軍事産業がスポンサーとなって始めたプロジェクトで、次世代の戦闘に特化した人造人間の開発という命題が与えられた。研究機関は軍事産業が選んだ3つの企業や大学でそれぞれが独立して研究を行い、定期的に互いの研究成果をぶつけ合って淘汰していく方式が採用されていた。プロジェクトの初期段階ではこの方式は目覚ましい成果を上げ、スポンサーである軍事産業は更なる資金投下を決定した。

 研究機関の場所はトップシークレットとされており、大まかに南アフリカ、日本の北九州、もう一ヶ所は中国内陸部としか判明していない。このプロジェクトの各研究機関を率いる3人の天才についても詳しいことは分かっておらず、ただ三博士と呼ばれていた。やがて、3つの研究機関はさらに独立性・秘匿性を高めていき、定例的に行われていた「研究成果報告会」という名の無人島での研究成果のぶつけ合いのみが研究機関との連絡を取る手段となっていった。

 ある時、日本の研究機関によって、発掘された遺物に残っていた過去の英雄たちの破損されたDNAからクローンを生成する技術が発明された。優秀な遺伝子にさらなる強化を施すことで通常の人間では持ちえないような強い力を持ったNOAH(ブレイバーのプロトタイプ)が完成したのだ。

 他のふたつの研究機関はNOAHの性能を高めるための敵役としてギガンティックを、NOAHのサポート役としてミソスを開発するよう命じられた。

 苛烈な切磋琢磨によりNOAHの研究は飛躍的に進んだ。さらに、偶然の産物ではあったが完全なる「器」が再現されたことで奇跡が起きる。英雄の魂が肉体にリンクし、生前の記憶まで蘇ったブレイバーが誕生したのである。これは被験体が意思を持ったことを意味していた。

 そして……。1体のブレイバーが研究機関から脱走する事件が起きた。脱走者を狩るために放たれたブレイバー、ギガンティック、ミソスによって事態はさらに混乱し、一騎当千の豪の者同士がぶつかり合う、全地球規模の群雄割拠時代が訪れることとなる。

 しかしながら、三博士は地上最強の生物を生み出すという考えに取り憑かれており、混乱後もブレイバー、ギガンティック、ミソスの系統に分かれて研究を続けている。ちなみに中国の研究機関はブレイバーの技術を模倣してミソスを生み出したが、人間の生成には成功していない。南アフリカの研究機関は独自にケイ素生物であるギガンティックの生成に成功している。

ノスフェラトゥ

[ のすふぇらとぅ ] 種族 / 黒の世界

 他者を喰らうことで不死性を得た、生命に関する倫理観が決定的にずれている者たち。ディアボロスと異なり無秩序に生者へ襲いかかるため、生き残った人類にとって脅威となっている。

 しかしながら、決して知能が低いわけではない。特にノスフェラトゥがノスフェラトゥを喰らったことで発生した変種には明晰な頭脳を持つものが多く、非人道的な生体実験を繰り返している。彼らの側に愛らしい動物がいたとしても、それはすでにノスフェラトゥ化していると考えた方が賢明だろう。

 黒の世界でも煙たがられる存在であり、大勢力で地下廃墟や洞窟に隠れ潜む。

ハイドラ財団

[ はいどらざいだん ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。会議の議長を務めている。

 アメリカ合衆国マサチューセッツ州セイラムを本拠地とし、石油、鉄鋼、鉄道、通信、金融、不動産、医療、マスコミ、出版など9つの分野で世界を支配して来た企業集団が母体。

 エイブラハム・リンカーンの暗殺後、見せかけだけの選挙は行われているもののアメリカ合衆国の大統領はハイドラ財団によって決められて来たと言っても過言ではない。

 仮面の属性は「傲慢(pride)」。

始まりの竜

[ はじまりのりゅう ] 一般名詞 / 竜域

 世界の監視者。始まりの竜が存在しているからこそ、世界が存在しているとも言える。

 この世界の始まりの竜が休眠状態に入ってからかなりの年月が流れ、3年前に発生したブラックポイントにより、5つの異世界がこの世界と繋がってしまった。そもそも「世界」とはひとつしか存在してはならないもののはずだったが、現在では6つの世界に6体の始まりの竜が存在する異常事態となっている。

破神祭

[ はしんさい ] 一般名詞 / 緑の世界

 邪竜と覇神ギルガメシュの討伐および、神々を表面上追い返したことを祝し、開催された祭。リーファーが中心となって他世界の技術者などを招集し、一週間にわたって様々なイベントを完遂した。

 オーラスのスペシャルライブでデビューを果たした純朴なアイドル「ペクティリス」の心に響く歌声は、非常に高く評価されている。

八大龍王

[ はちだいりゅうおう ] 称号 / 緑の世界

 モウギと呼ばれる神木を祀るホウライの名門一族の総称。八大龍王の家系にはそれぞれモウギの守護者の証として、モウギの枝から作られた武器が伝わっている。

 緑の世界の日本ではすでにモウギが失われて久しく、モウギの若木があるとされている「聖地」高千穂をこの世界で奪還することが彼らの悲願となっている。

八宝美神

[ はっぽうびじん ] 称号 / 緑の世界

 天上天下唯我独尊を地で行くマスティハが、果て無き顕示欲を満たすためだけに名乗っている肩書き。7人の追加メンバーを集め、緑の世界を席巻する未来を夢見ている。

[ 2017.12.07 追記 ]

 後日、彼女の真似をするリーファーが続出。8つの枠を奪い合う早い者勝ち状態となっている。

バトルドレス

[ ばとるどれす ] 種族 / 青の世界

 青の世界の企業・組織では様々なパターンを想定したパワードスーツがつくられ、中でも戦闘に特化した物をバトルドレスと呼ぶ。操縦は脳波によって行われ、操縦者の身体能力とは無関係に力を発揮する。同種のデザインはふたつとしてなく、まさに千差万別。女性用はドレスのように華やかな、男性用はスーツのように格調高い装飾を施されているが、男性用のスーツを好む女性も当然のように存在するため、先入観に捕われないよう注意したい。

 普通の人間が装着できるパワードスーツとしては非常に優秀だが、個人個人のためにカスタムメイドする必要があり、汎用性は極めて低い。近頃はバトルドレスの性能をフルに引き出すため、視力・聴力・運動能力の強化をはじめ、サイボーグ化されたクローン人間に装着させることも多いという。

願う者(ヒツ)

[ ひつ ] 称号 / 神域

 神の加護を得るに値する人間やゼクスを指す、神たちによる呼称。総じて強い願望や絶望を抱いており、状況を打破する力を授かった者は神の眷属、叶えし者となる。

 理由は不明だが、リソースの流れをつかめる者だけが神との交信を可能としている。そのため人間の願う者はゼクス使いの素質を持つ者に限られ、一般人は神を認知できない。

ピュアティ

[ ぴゅあてぃ ] 人物 / 緑の世界

 宇宙にまで枝葉を伸ばす大樹ユグドラシルの根の一部である「モウギ」の元で巫女を務め、悠久を生きるライカンスロープ。根の内側に眠る最愛の人物を見守り、生涯寄り添うことを誓った。

 以前は彼女をサポートする者も側にいた。しかし、大地を、海を、空を覆い尽くす植物の侵食に歯止めが利かなくなったため、ブラックポイントを通じ、滅亡間近となった緑の世界から避難させた。彼女自身も緑の世界と現代と行き来していたが、大樹の異変を感じ取り、帰還。ふたたび暴走を始めた「モウギ」に捕らわれてしまい、信頼する相馬とフィーユに助けを求めた。

 人間時代の名は、ユーリ・ヴィヴァ・カルゥシ。宝石業界最大手《ルクスリアグループ》の財閥令嬢として誕生している。臆病で心の弱い姉に代わって事業を継ぐべく、その過程で日本へ留学。〝ソーマ〟と親交を深めた。日本での活動名は素性を隠す意味も込め、ホームステイ先のファーストネーム「長知内」を用いている。

 その後――

 緑の世界へ進んだ未来では、〝ソーマ〟と恋仲となり、ライカンスロープのピュアティとして彼の活動を陰ながら支えた。

 黒の世界へ進んだ未来では、〝ソーマ〟と絶縁、姉とも疎遠となり、ディアボロスのルクスリアとして仕事に打ち込んだ。

ファム

[ ふぁむ ] 種族 / 現代・青の世界

 制作者が意図した「愛らしく寄り添う、絆で結ばれた仲間」とは程遠い存在となったキラーマシーン。

 巨大過ぎて小回りが利かないが故に、先の討祓戦では神々やその眷属相手に活躍できなかったメタルフォートレス。

 双方の改善要素を併せ持つ存在として、アドミニストレータ デネボラへアドミニストレータ カノープスが技術提供することで実現した、青の世界における新たな機械の有り様。それがファムである。

 ファムは機械のパーツで構成された小動物や子供の姿をベースフォームとする。メタルフォートレスのようにオブジェクトへ擬態・変形する機能はもちろん、自律型AIも搭載。命令に対して試行錯誤を繰り返したり、からかうような仕草など人間味に溢れる行いを見せることも。

 一方、キラーマシーンとしての戦闘能力を失ったわけではなく、有事の際は重火器バックユニットを身に着けて戦場へ赴くことも可能となっている。

プラセクト

[ ぷらせくと ] 種族 / 緑の世界

 植物に寄生された昆虫……。いわゆる冬虫夏草だが、我々の知っているそれとは少々異なる。

 まずはそのサイズが、昆虫の概念を逸脱したレベルにまで巨大化していること。蟲が苦手な現代人であれば、遭遇しただけで正気を失ってしまうかもしれない。

 もうひとつが、植物を宿したまま〝生きて動き回れる〟ことである。大半が肉食性であるプラセクトにとって、植物の外観は擬態するのにうってつけであり、多くのホウライやライカンスロープたちが餌食になっているという……。

 それでもプラセクトを経由した蜜や樹液などの加工品が、緑の世界すべての人類に恩恵を与えているため、一概に害虫とはみなせず、全面駆除の動きには至っていない。ちなみに、生命を全うし植物の苗床となったプラセクトは今度こそ冬虫夏草となり、ホウライの植物化を抑える抗生物質の材料となっている。

ブラックポイント

[ ぶらっくぽいんと ] 一般名詞 / 現代

 世界の5ヶ所に突如出現した異世界への門。際限なくゼクスを放出し、破壊と殺戮の時代を招いた悪夢の門。光を呑み込む空間は、漆黒の様相そのままにブラックポイント(黒点)と呼ばれている。

 ドーム型の黒いバリアによって不可侵領域が形成されているため、人間が侵入することはおろか、内部やその先をうかがい知ることは事実上不可能である。なお、周辺地域(数十km)はゼクスが出没し危険なため、一般人の立ち入りは禁止されている。

 最初のブラックポイント出現地点は以下の通り。

  • ワシントンD.C.(アメリカ合衆国)
  • ブエノスアイレス(アルゼンチン)
  • パリ(フランス)
  • プレトリア(南アフリカ)
  • 東京(日本)

 これら5つの巨大なブラックポイントの出現からわずかに時をおいて、日本にはさらに4つのブラックポイントが、小規模ながら相次いで出現している。狭い国土に大小5つものブラックポイントを抱えた日本は大打撃を被り、首都機能は壊滅した。東京に出現したブラックポイントは直径50km以上にも及ぶ。

[ 2017.12.07 追記 ]

 出現からしばらく侵入は不可能とされていたが、ブラックポイントから放出される濃密なリソースへの対抗手段さえあれば、人間であっても「物理的には」侵入可能であることが明らかとなった。無論、ゼクスが跋扈しているであろうその先で、生命の保証はされない。

[ 2022.03.17 追記 ]

 竜の姫君に付与された「融和」により、赤の世界のブレイバー「安倍晴明」と緑の世界の「大樹ユグドラシル」が五つの世界を超越する権能を取得した。

 安倍晴明は美しい景色実現のため、北九州にある小型ブラックポイントと、南アフリカにある大型ブラックポイントに干渉する術を行使。急激に膨張する様子が報告されている。

 緑の世界を蹂躙し尽くした大樹ユグドラシルは、東北にある小型ブラックポイントと、フランスの大型ブラックポイントを超えて現代世界へ枝葉を展開。いずれは他世界のブラックポイントをも呑み込んで真の全一を果たさんと、貪欲なる繁茂を再開した。

フラッグス

[ ふらっぐす ] 称号 / 現代・青の世界

 海底での集団行動に特化したドレスを装備した、マーメイドのネクストフォーム。

 基本的には「XIフラッグス」と同様、歌唱担当のマーメイドが舞台演出やステージそのものを担うメタルフォートレスとペアを組む。活動時はメタルフォートレスが変形あるいは射出した楽器を使用。メタルフォートレスのノリノリなリズムに合わせたマーメイドのメロディはライブを大いに盛り上げ、水中・水上の集団戦でも無類の強さを誇る。

 計画段階では、趣味を仕事へ持ち込みがちな担当が既存の称号を「LXIVフラッグス」へ変更し、メンバーを増員する案もあった。しかし〝欲張りな上限設定は首を締めるだけじゃ〟〝欲張りとはε17のことか? 馬鹿言え。俺はやり遂げるぞ! だが気移りの多いおまえには無理だ。やめとけ〟〝64……量産型……Nanao……トラウマを掘り返さないで下さい……〟と反対意見が殺到したためお蔵入りとなった。

 平時は「XIフラッグス」の見習いおよびバックダンサーポジションとして活動している。

賜わりし者(プリュツ)

[ ぷりゅつ ] 称号 / 神域

 死灰を浴びても魂が穢れたり焼失することなく、神の力の片鱗を得た者の呼び名。事例としては極めて低確率であり、その存在はうわさ程度にささやかれるのみ。

 ギルガメシュはもともと半神半人であったため、難なく賜わりし者となり完全な神へと近づくことができた。《覇神》を名乗った彼は滅ぼされたが、無念は夜空に煌めく欠片となり、全世界へ飛び散った。《覇神の欠片》をなんらかの方法で体内に取り込んだ者もまた、賜りし者となるという。

プリンセス

[ ぷりんせす ] 称号 / 現代・白の世界・緑の世界

 白の世界において、人間が天使へ昇華する道筋は、大きく分けてふたつ。

  • 自ら精神の高みへ到達し、自らの意思で生まれ変わる。
  • 大天使または十二使徒に導かれる。

 これまで他世界の人間が天使へ昇華した事例はなかったが、他世界の人間どころか緑の世界のリーファーを対象に選び、極めて軽率な実験を試みる者が現れた。双極天使が信じて送り出した十二使徒 処女宮ハマリエルである。彼女は竜の姫君と成って出奔した十二使徒 天蝎宮バルビエル捜索の任を帯びていた。

 やはり前提に無理があったのか、昇華へ導かれたリーファーは我々が共通認識として思い描く天使とはならず、象徴である光輪・翼ともに発現しなかった。唯一、著しい精神的成長が見られるのみであり、記憶の消去も行われない。あの勝手気ままなリーファーに自己啓発を促すだけでも、十分、有史以来の一大事ではあるのだが、ハマリエルは目論見の失敗を誤魔化すべく彼女らを「翠天使(プリンセス)」と呼称した。

 一連のやらかしがたちまち好奇心旺盛なリーファーたちの知るところとなる。

 正式な天使にはなれずとも、昇華を果たしたリーファーはその身に纏うリソースが白または白・緑(極稀)に変質することがあった。特に後者を引き当てるラッキーを夢見て、人生を懸けたギャンブルに挑む者が後を立たない。最初の被害者であるセシリアはハマリエルに次いで未昇華リーファーからの尊敬を集めており、生まれ変わった者へ光輪の代わりに王冠(ティアラ)を授ける役割を持つ。

 事の発端であるハマリエルはすこぶる調子に乗っており、本来の使命など忘却の彼方。熱狂ぶりを遠巻きに見守る千年國の住人たちは、勤勉なリーファーが発生し始めている異常事態も含めて〝帰って来た桜街紗那が新しい遊びを始めた〟程度にしか認識していない。

プリンセス・マギカ レヴィー

[ ぷりんせすまぎかれう゛ぃー ] 人物 / 黒の世界・星界

 遙かなる星界で存在を否定されながら誕生した、竜の姫君。

 彼の地にはもうひとつ、否定され続ける存在があった。

 ・ ・ ・ ・

 両親を殺害された怨み辛みを抱え、しあわせな家庭への妬み嫉みを抱き、不幸な境遇に僻む少女がいた。

 強い感情は魔性へと成熟し、黒の世界と呼ばれる地にて、神祖の七大罪の一角へ変貌するに至る。

 儚い望みを否定された彼女のどす黒い思念が、「虚」に呑まれることなく星界へ集積する。神エレシュキガルにトライ&エラーを繰り返され、無数に生まれ滅びた黒の世界の分だけ集積してゆく。

 やがてそれは、確固たる存在「レヴィー」と成った。

 レヴィーは空席となっていた星界の管理者に成り代わり、宇宙の理を把握。自らの起源である「嫉妬の七大罪レヴィアタン」を依代に顕現すると、神祖の七大罪が存在しない最新最後の並行世界へ目を向けた。

 目的、すべてを消し去り否定すること。

 理由、ずるいから。

 立ち塞がる者たちの強固な〝つながり〟に嫉妬したレヴィーは、「虚のさざなみ」を舞わせた。

 竜の姫君を〝無垢なる善意〟とするなら、レヴィーは〝成熟した悪意〟と呼べるかもしれない。

 そして――

 底の無い悪意は、絶望を乗り越えたと思い込もうとする哀れな少女、上柚木綾瀬に向けられた。

ブレイバー

[ ぶれいばー ] 種族 / 赤の世界

 肉体的に退化した人類に代わって、赤の世界の新たな主として生成された人造人間。その正体は過去に存在した優秀な人間(英雄・英傑)の遺伝子から造りだされたクローンである。

 創りだされた者ながら見た目は歴史上の英雄そのもので、記憶も引き継いだ「ほぼ同一人物」。しかも、優秀な遺伝子にさらなる強化が施され、人間の限界を突破した能力を持つに至っている。服装や得物も言い伝えなどに記されていたものに準じてはいるが、英雄としての部分を再現・誇張すべく、あらゆる技術が詰め込まれた強力な武装となっている。

プレデター

[ ぷれでたー ] 種族 / 黒の世界

 ディアボロスによって、他者の生命を奪うためだけに生み出された動物の総称。大型化、武具との融合、メタル化など、至極単純に殺傷力を高めている。

 知能の低い個体はディアボロスたちの戦力、または気晴らし用のペットとして扱われる事が多いが、知能の発達した個体は単独行動を取ったり、知能の低いプレデターを率いることもある。

フレデリカ

[ ふれでりか ] ゼクス / 青の世界

 XIフラッグスと呼ばれるマーメイド艦隊の提督として、革命戦を戦い抜いた勇士。普段は気丈で男勝りな言動をするが、音楽から遠ざけられると気弱になる。

 平和になった青の世界で慣れない地上生活を送っていたが、《鑰匙》の素質を見出され、神の手に落ちた。神々の封印を解くまいと抗うが、自身と同様、神の気にあてられ衰弱してゆくペクティリスの様子を見かね、ほかの鑰匙とともに解呪の歌声を披露。神々を再降臨させる。結果として再降臨自体は不完全に終わったものの、罪の意識からXIフラッグスを一時離脱。傷ついた身体に鞭打ち、神に抗うため協力してくれるゼクス使いを探しに出るが、力尽きてしまう。

 その後、生命を救ってくれた天竜ゆたかと紆余曲折の後にパートナー契約を結び、さらには神を討伐する意思を認めた斑鳩つばさから力を授かり、《討ち祓う者》となる。

紅姫

[ べにひめ ] 人物 / 緑の世界

 大樹ユグドラシルの繁茂とプラセクトの侵攻に立ち向かうため、千年國を興したホウライ「チトセ(緑の世界へ進んだ青葉千歳)」の子孫。龍膽の幼馴染みでもある。

 一般の村娘同様に育てられたが、四皇蟲率いるプラセクトの動きが活発になったのをきっかけに、最前線へ。特別な能力に秀でていたわけではないものの、心優しく、他者を惹き付ける行動力を備えていた。

 長らく栄えた千年國も、最終的にヘルソーン率いるプラセクトの大群に襲われ、一夜にして消滅。紅姫も生命を落としてしまう。

 千年國の崩壊は緑の世界の滅亡を確固たるものとした。

ヘルソーン

[ へるそーん ] ゼクス / 緑の世界

 正式名称、甲虫女王ヘルソーン。その人型の外見からも推測出来る通り、バイオ植物の種子に寄生された、通常のプラセクトとは一線を画す個体の名。大樹ユグドラシルによって生み出された、プラセクトたちを操るための知能を持った、端末のひとつである。

 女王蜂のように一群のプラセクトを操り、その攻撃は冷酷にして苛烈。彼女らの役目はユグドラシルに敵対する勢力の索敵・攻撃であり、ヘルソーンは極東を管轄している。

 かつてユグドラシルに対抗しようとしたホウライの小国を滅ぼしたのも、彼女だと言われており、その名はホウライたちに畏れられている。

ペンドラゴン使徒教会

[ ぺんどらごんしときょうかい ] 組織 / 白の世界

 天使が人類を救済するという教えを説き、近年、急速に信者を増やしている新興宗教団体。本拠地は南米アルゼンチン。教祖はアダム・ペンドラゴンと名乗る40代半ばの男性である。

 ブエノスアイレスにある大聖堂のステンドグラスには〝仲の良かった兄弟が争い、兄を殺した弟が最初の天使になる〟という説話が描かれている。

ホウライ

[ ほうらい ] 種族 / 緑の世界

 バイオプラント兵器の暴走により自然がすべてを呑み込もうとしている緑の世界において、滅びの運命を受け入れつつも、自然と共存しようとしている人類。過剰な植物の浸食を抑えて環境に適応する薬の副作用で、頭部に枝のような角を生やしている。

 生活空間を自ら切り開く必要があるため日頃から刃物や火の扱いに精通しており、技術や精神論に特化した独特な剣術も、生命力あふれる植物との戦闘を想定して磨かれたもの。逆に生活様式は蔓延する植物の長所を取り入れ、衣食住すべてに織り込んでいる。機械文明を捨て去った彼らの集落に足を運ぶ機会があれば、現代における時代劇風の生活、いわゆる和のテイストを色濃く感じられることだろう。

墓城

[ ぼじょう ] 一般名詞 / 黒の世界

 黒の世界は神エレシュキガルにより筋書きが定められた。

 〝最高の破滅〟をシミュレーションするために、幾度となく竜域のコピー&デリートが繰り返された。

 すべてはオリジナルの竜域を〝最高の破滅〟で彩るため――

 しかしながら、悠久の刻を生きる神であれ、似たような作業の繰り返しには限界があった。ふと我に返った神は己に課せられた領分を放棄。期せずして、黒の世界の運命は確定した。

 神に見放されたその世界は、神が関知しないところで、神の意思とは異なる発展を遂げた。死の概念が支配するという大筋は変わらないものの、神祖の七大罪が悲劇を振り撒く前に、優しい兄弟により救済された世界。生き残った大天使ウリエルが、死に逝く憤怒の七大罪サタンを殺めることなく、異郷へ骨を埋める覚悟を決めた世界である。聖気を棄て去り、兄と融合した弟はアトマスカヤを名乗り、歴史から姿を消した。

 しかし、彼は未だ生き永らえている。権力を振りかざす七大罪の子孫の影響下から逃れ、己が住まう城下の治安にのみ目を光らせている。唯一無二の完全自治区となった周辺エリアは、いつしか、神祖の眠る地として「墓城」と呼ばれるようになった。

 現在、城に住まうのは開祖アトマスカヤから盟主の座を受け継いだ7人の少女。城下には黒の世界の他エリアに比べ、圧倒的に治安と居心地の良い墓城周辺に居着いてしまった、日和見なディアボロスやノスフェラトゥが多数生息している。これこそが〝墓城へ向かった者が誰も戻らない〟所以である。

墓城七姫

[ ぼじょうななひめ ] 称号 / 黒の世界

 黒の世界で圧倒的権力を有する円卓会議の干渉を拒み続ける、名門ノスフェラトゥ一族の当主。壱の姫アーシアから七の姫ブルーティアまでの麗しき七姉妹が、辺境の墓城で仲睦まじく暮らしているとされるが、確かめに行った者は誰ひとり帰って来ない。

 その正体はいわゆる吸血鬼。寿命をすするディアボロスとは対照的に、生者の生き血をすすることで不老長寿を成した。

 余談だが、数多のご主人様へ献身を尽くしてきた冥土三姫が、現在仕えている主でもある。

マーメイド

[ まーめいど ] 種族 / 青の世界

 機械の氾濫と反乱から海底に逃げ出した人類の総称。海底行動用に特化したバトルドレスを纏っているのが最たる特徴である。裸のように見える上半身は水の抵抗を軽減するため肌に密着したボディスーツで、魚型の下半身は機動性を向上させるため機械で作られたもの。彼らが手にする楽器は本来の用途のほか、水流操作、武器へ転用と多機能ぶりを誇る。超音波と思念を併用した意思疎通の有効範囲も〝水平線の見える限り〟と言われており、軽い鎧を着こみ臨戦態勢に入ったマーメイドは、こと海周辺において無敵と言っても差し支えない。

 なお、海底からはエネルギーや鉱物資源が豊富に得られるため、彼らの工業・科学技術は地上と遜色ないレベルにまで達している。

マイスター

[ まいすたー ] 種族 / 赤の世界

 様々な工業品を扱う技術者職人集団であり、赤の世界が戦場であり続けるための仕掛人。現在の人類が赤の世界において肉体的に退化した存在で、ゼクスとしてはかなり脆弱な部類。だが、重機や戦車などのメカを駆り、過酷な世界を生き延びている。見た目は現代の人間と大差ないが核戦争の影響で遺伝子が書き換えられており、寿命は半分程度となっている。

 赤の世界の支配者たるブレイバーとは必ずしも友好的な関係を築いているとは限らず、さらに、ブラックポイントが開いて以降は他の世界から技術を狙われることも多い。数々の外敵から身を守ろうと高性能の武器を携行しているため、油断は禁物だろう。

魔眼

[ まがん ] 技術・技法 / 現代・黒の世界

 ある酔狂なディアボロスが実験を行った。人間へ魔力と殺戮衝動を与える仮面を人間以外へ被せたらどうなるのか――

 実験はことごとく失敗に終わった。低い知能では仮面の侵食に魂が耐えられなかったためである。だが、最後の被検体だけは異なる反応を示した。数多の生命を刈り取った狡賢いプレデターは自我の崩壊こそ避けられなかったが、その怨嗟に満ちた嘆きは仮面を変容させ「核」を形成したのである。酔狂なディアボロスは禍々しい「核」を自らの眼球に埋め込むと、仮面の意志とプレデターの意志、双方の支配権を得るに至った。

 望む世界を「領域」として展開する彼の者の狂気は、知る人ぞ知る黒の世界の闇レシピサイト「苦供破弩」に公開されているという。

マジカル

[ まじかる ] 称号 / 現代・緑の世界

 リーファーの間で突如として流行し始めた「魔法少女ごっこ」をたしなむ者の総称。

 外宇宙から訪れた好奇心旺盛なク・リトの創造力、そして、幼くも脳天気なリーファーの想像力。決して相まみえることのなかった、似て非なる二者の出会いにより実現した〝奇跡のコラボレーション〟にして〝残念極まりない成果〟である。

 魔法少女たちはク・リトの超技術により「魔法の杖」へ擬態した(させられた)プラセクトを手にしている。魔法の杖となったプラセクトは知的生命体への進化を果たしており、テレパシーで会話も可能。ユグドラシル・ネットワークからあらゆる情報を引き出し、主人である魔法少女へ助言を与える。しかし、総じて脳内お花畑である魔法少女たちが知識を有効活用する見込みはなく、日々、お手製のふわっふわな衣装を翻しては時と場所を選ばずにはた迷惑な魔法を濫用している。

マスプロトロン

[ ますぷろとろん ] ゼクス / 青の世界

 アドミニストレータ ソルによって別人格を与えられたアドミニストレータ カノープスが創った、64機のメタルフォートレス型キラーマシーン。

 シンクロトロンを共同開発した際にアドミニストレータ デネボラからもたらされたデータと技術が転用されており、姿は大きく異なるが、シンクロトロンの量産型としての側面を持つ。そのため獅子島・L・七尾および、そのクローン体であるNanaoXXとの親和性が非常に高い。

マルディシオン

[ まるでぃしおん ] ゼクス / 黒の世界

 開発コードネームは「確定された呪詛」、ハイドラ財団とダゴン・カルテルが構想する究極のノスフェラトゥ、黒剣八魂最初の1体。意思は希薄であり、闇雲に破壊と殺戮をもたらす。

 イリューダ・オロンドはパートナーに適任とされマルディシオンをあてがわれたが、黒剣八魂の背景事情までは知らされておらず、また、関心もない。

ミソス

[ みそす ] 種族 / 赤の世界

 ブレイバーを補佐するキメラアニマルたちで、やはり人造生命体。伝説上の生物をモチーフにするため、自然界には存在し得ない独特な外見をしていることも多い。

 近年は自動制御のクローン工場で安定して大量生産されるようになった一方、過剰供給の弊害も散見される。管理しきれず野に放たれたミソスが野生化により闘争本能を目覚めさせ、群れをなしてブレイバーやギガンティックに襲いかかる光景は、赤の世界ならではだろうか。

都城出雲

[ みやこのじょういずも ] 人物 / 現代・赤の世界

 自衛隊北九州方面隊を指揮していた人物。24歳。黒崎神門の卓越した軍師としての能力に驚嘆し、最高責任者の地位を譲った。

 首都奪還を目指す神門を「軍師殿」と敬っていたが、彼が己の目的のためだけに自分たちを利用していたことを知り、信頼は憎悪へと変わる。

「戦犯、黒崎神門を断罪します」

冥界

[ めいかい ] 一般名詞 / 神域

 神エレシュキガルが創造し、管理している領域。灰色の砂漠のような、神域以上に殺風景な光景がどこまでも広がる。

 冥界には仮面をかぶり魔人と化した者や魔人に殺された者の魂が一時的に集められている。また、番人と呼ばれる骸骨が無数に徘徊しており、彼らに狩られた魂は消滅し、殺しを行った魔人の寿命へと還元される。しかしながら、経年劣化により機能を停止した番人が大半であり、魂の精算効率は竣工直後と比べて著しく低下。さらに先日、残っていた数体も黒崎神門と倉敷世羅により全滅させられ、冥界は本来の機能を果たせなくなった。

[ 2019.01.24 追記 ]

 黒崎神門が狂魔王サタンの超パワーから繰り出された「魔王砲(ディアボリック・ビーム)」を誘導し、直撃させたことで、冥界はそのシステムごと瓦解。彼の妹・黒崎春日や盟友・都城出雲、さらには狂魔王サタンの依代であった天王寺大和の魂も解放され、それぞれの肉体へ還っていった。一方、それ以前に冥界へ送られていた魂のほとんどは、かつて存在した門番たちの凶刃にかかって「精算済」であり、ブラックポイントを通じて訪れたディアボロスたちに変化はなかった。今後、新たに仮面を被った者に与える影響は不明。

 なお、魔王砲の超パワーを一度はその身に受け止めた黒崎神門およびアレキサンダーの生死は確認されず、行方不明となっている。

冥土三姫

[ めいどさんき ] 称号 / 黒の世界

 球体関節人形型のトーチャーズを多数販売してきたアトラクナクアが、実績と技術の粋を結集して世に放った最高峰の3体。単純な金銭で譲渡されるものではないらしく、入手経路は不明。入手したとされる者は、ことごとくこの世を去っている。

 美貌と殺傷能力の高さは言うに及ばず。特筆すべきは献身的な愛。永遠の寿命に辟易した主人を隙あらば死へ誘う。

メインクーン

[ めいんくーん ] ゼクス / 白の世界

 手癖の悪さで悪評を轟かせていた盗人ケット・シー。白の世界を飛び出し日本全土を飛び回っていたが、猫好きのニーナ・シトリーに捕らわれてしまった。当初こそ逃げ出そうと画策していたが、ニーナのひたむきな好意を心地良く感じ、まんざらでもなくなっている。

メタルフォートレス

[ めたるふぉーとれす ] 種族 / 青の世界

 最新鋭の科学技術が惜しげもなく投入された、複数人で操縦する人型戦闘兵器。いわゆる巨大ロボである。戦闘力は見た目通りに凄まじく、青の世界内部の紛争においてメタルフォートレスの数はそのまま戦局を左右するとも言われている。しかし、最も恐ろしいのは敵勢力を欺くカモフラージュ技術だろう。

  • ビルに変形。
  • 遺跡や公園の地下に格納。
  • 乗物など複数の小型機械が有事の際に合体。

 列挙したものは一例に過ぎず、青の世界におけるメタルフォートレスの総数は未だ不明である。そして、我々の世界へすでに送り込まれていることなど、容易に想像可能だ。

メテオブレイドRPG

[ めておぶれいどあーるぴーじー ] 一般名詞 / 現代

様々な異文明に触れながら数多の惑星を冒険する、超未来SFファンタジー。

数十万人にも及ぶプレイヤーのひとりとなって、ある時は仲間と手を組み、ある時はライバルと競い合い、モンスター討伐などの困難なミッションをクリアしていこう。

広大な宇宙に秘められた〝METEOR〟の謎を解き明かすのは、君だ!

 コアゲーマーを中心に流行っている、剣と魔法と超科学のオンラインゲーム。通称は「MB」「メテブレ」。

 多種多様な異種族が共存し、魔法と科学の混在する広大な宇宙を舞台とするファンタジーRPG。天使領域セラフ・ホワイト、悪魔領域デモン・ブラック、獣人領域ビスト・グリーンの3つのワールドから拠点を選び、ゲームを開始する。

 時にはソロで、時には仲間と様々なクエストに挑み、成長することが主な目的。しかしながら、明確なゴールは設定されておらず、戦闘だけでなく生産や商売に明け暮れることも可能だ。気の合う仲間と円滑なコミュニティを構築して冒険に誘い合うことが一般的な楽しみ方とされ、ユーザー間でのギルド設立もしくは加入が強く推奨されている。

 総じて評価の高いメテブレで言及を避けられないのは、データの使い回しが一切行われない入魂のゲーム内イベント。

 直近のイベント「封印されし古代兵器を破壊せよ!」の前半戦では、トップ通過のギルドに超武装のオリジナルNPC「古代兵器ちゃん」が与えられた。続く後半戦では、残りすべてのギルドが一丸となって古代兵器ちゃんを擁する前半トップ通過ギルドに挑む。

 都城出雲[断罪] 私はギルド【ダンザイン・ギルド】の断罪マスター、都城出雲!

 ちなみに、チャット欄でプレイヤーネームの直後に表示される短縮ギルド表記[×××]は全角3文字/半角6文字以内で設定可能。この短い文字数でいかにギルドの活動内容を表現できるかが、ある意味ギルドマスターの腕の見せ所となる。

 ごく稀に全角4文字分の短縮表記を用いたギルドも存在するが、それは黎明期のβテストに参加した古参ギルドの証。過酷な時代を生き抜いて来た先駆者には、敬意と注意を払いたい。

鑰匙

[ やくし ] 称号 / 現代・神域

 あらゆる封印を打ち破る賛美歌を紡ぐ5人の歌姫。神の因子を持つ者がリードするとされる。

[ 2019.01.24 追記 ]

 神に見初められし麗しき声音を持つ者たち。迦陵頻伽、フレデリカ、弓弦羽ミサキ、バンシー、ペクティリスの5名が該当する。ひとりひとりは「歌唱力が高い」だけに過ぎないが、5人が心をひとつにして合唱することにより、その旋律はあらゆる封印を解除する波形を形成する。

 竜の巫女の祝福がない状態で神域に留まり続けたことで神の気にあてられ、みるみる衰弱してゆくフレデリカとペクティリス。その生命を盾にされ、彼女らは神域の果てに封印されし神々の解放に応じた。しかし、さらわれた迦陵頻伽の救出に駆けつけた蝶ヶ崎ほのめの閃きで、彼女に同行した各務原あづみが「6人目」として歌声を披露。旋律に不純物が混じったため封印解除は中途半端な形で完了し、作戦遂行を託されていた神ティアマトの顔に泥を塗った。各務原あづみの名誉のために付け加えるが、決して、彼女が音痴だったわけではない。

夜刀うらら

[ やとうらら ] 称号 / 現代・異海

 神をも圧倒する強大な力を備えたク・リトの少女。その正体は外宇宙の生命体。「異海」とも呼称される、遙かなる「幻夢郷(ドリームワールド)」の第二位王女である。一般ク・リトのように人間の肉体を媒介とせずとも顕現可能な特性を備える。第二位王女としての本来の名前は発音困難だが、最も近いカタカナ語は「ヤトゥーラ」。

 大胆そして挑戦的。なんでもそつなくこなすが器用貧乏ではなく、終始クールでパーフェクトな人物。ただし、大好きな姉が絡んだ時だけは別。かつて神々を蹂躙した第三位王女が置き去りにした第一位王女と未来を写す魔導書「ネクロノミコン」奪還のため、多数のク・リトを率いて竜域(エネルゲイア)を訪れた。

「私と勝負しない? ココロ焦がれるわ」

妖狐

[ ようこ ] 種族 / 現代・赤の世界

 妖術を行使するミソスの集団。数多の伝説にその名を残す妲己に憧れ、軍門に加わろうと、狐耳のブレイバーである彼女の元へ集った。

 とはいえ、群れるのを好まない妲己からは邪険にされているのが実情。にも関わらず、追い払っても傷つけてもつきまとってくるため、妲己唯一のお気に入りである鳥のミソス、胡喜媚が取り回しを担うこととなった。

 頭数を減らすため、妲己の課した加入条件は狐の耳と尻尾を生やしたミソスであること。条件から外れていた志願者の大半は妲己への想いと努力の末にそれらを得るに至り、ふるいにかける策は敢え無く失敗に終わったという。

 申し訳程度に妲己から妖力の一部を授けられており、妖狐間のみ、密な連携が可能。

 妲己にライバル心を燃やす玉藻が彼女らの動向を監視している。〝私を頂点に据えるなら〟〝百歩譲ってリーダーとしてなら〟チームに加わってあげないこともないと宣うが、当然、誰からも相手にされていない。

ヨグ・ソティス

[ よぐそてぃす ] 人物 / 異海

 無名の霧から生まれし者。

[ 2021.02.05 追記 ]

 ク・リト王家第二位王女ヤトゥーラ(夜刀うらら)の命に、もっとも忠実に活動する、幼い外見の少女。人の感情を持たず解さずであり、極めて事務的な言動に終始。結果的に相手の怒りを買うことも多々。離れた空間を繋げる特殊能力により、自身の瞬間移動や物質の召喚を行う。

 行方知れずの第一位王女ユティーカ(天竜ゆたか)を捜索するため、単身、竜域へ。ク・リトが竜域で顕現するには人間の依代が必要であるため、彼女はイリューダ・オロンドの娘であるトネリ・マジョーリに憑依した。最終的にイリューダとの取引に応じてトネリの身体を返却したものの、年月の経過により魂を伴っておらず、トネリ本人が目を覚ますことはなかった。

 竜域出身の協力者第2陣(各務原あづみ、弓弦羽ミサキ、イリューダ・オロンド)を幻夢郷へ招致。最低限の説明のみ行い、放り出す。任務を放棄したニャルラトに代わり、とんぼ返りで第4陣(青葉千歳、百目鬼きさら、桜街紗那)の招致へ。

四凶星

[ よつまがぼし ] 称号 / 黒の世界

 多くの人間の命を奪った、上位4体のプレデターに与えられる称号。かつてはズィーガーとヘルシャーが首位争いの常連として名を馳せていたが、黒の世界の純粋な人間が絶滅してしまって以降は更新されておらず、最終的なランキングも明かされていない。

 狩られた魂の数を集計するシステムは、あらゆる情報を管理する巨大企業グールが開発。本来の役目を終えた後は、ハイドラ財団とダゴン・カルテルにより高値で買い取られた。無論、黒剣八魂が散らした魂の数を計測するためである。

四大天使

[ よんだいてんし ] 称号 / 白の世界

 最初のエンジェルことウリエルA.T.とウリエルによってエンジェル化(昇華)された3人のエンジェル(ラファエル、ガブリエル、ミカエル)によって構成される、白の世界の頂点。

 その後、四大天使はそれぞれ3人ずつのエンジェルを覚醒させ、新たに生まれた12人は十二使徒と呼ばれる白の世界の支配者層となった。どの四大天使がどの十二使徒を覚醒させたのかは以下の通りとなっている。

大天使 十二使徒
ウリエル 白羊宮マルキダエル / 金牛宮アスモデル / 双児宮アムブリエル
ミカエル 巨蟹宮ムリエル / 獅子宮ウェルキエル / 処女宮ハマリエル
ラファエル 天秤宮ズリエル / 天蠍宮バルビエル / 人馬宮アドナキエル
ガブリエル 磨羯宮ハナエル / 宝瓶宮ガムビエル / 双魚宮バキエル

[ 2019.02.15 追記 ]

 白の世界を舞台に繰り広げられた大乱「ガムビエル戦役」を経て、大天使は4名中3名が欠ける非常事態となった。そのため、残された大天使ミカエルが白の世界組織の再編を実施。磨羯宮ハナエルにガブリエルを襲名させると、自身もろとも「双極天使」を名乗り、双璧となった。

 再編の手は十二使徒にも及んでいる。宝瓶宮ガムビエルは討伐された後に最下級天使へ転生し、人馬宮アドナキエルは《討ち祓う者》として白の世界の枠を超える活動を開始している(十二使徒仲間からはいつもの迷子で不在なのだと思われている)。白の世界の治安を守るという本来の活動が可能な十二使徒は、すべてガブリエルの指揮下に入った。

 また、白の世界を救ったゼクス使いの代表として、ニーナ・シトリーが「虹天使」の地位を得た。十二使徒と同格の権限を得た彼女は、変わろうとしている白の世界の監査役を担っている。

大天使 十二使徒
ウリエル 白羊宮マルキダエル / 金牛宮アスモデル / 双児宮アムブリエル
※ウリエルとともに神域へ突入後、行方不明。
ミカエル ※新たに「十輝聖」を配下に従える。
ラファエル ※天王寺飛鳥のパートナーゼクス「フィエリテ」として活動中。
ガブリエル 巨蟹宮ムリエル / 獅子宮ウェルキエル / 処女宮ハマリエル / 天秤宮ズリエル / 天蠍宮バルビエル / 双魚宮バキエル

ライカンスロープ

[ らいかんすろーぷ ] 種族 / 緑の世界

 植物優勢の世界に適応するため動物のバイオ因子を取り込み、野性に目覚めた人類。ホウライよりもさらに自然と一体化した生活を送っている。

 元となった動物の性質により臆病なものから攻撃的なものまで生態は様々だが、ベースは人間であるため、おおむね温和な性格の者が多く、知的レベルも決して低くない。狼、熊、猫、兎など様々なバイオ因子を持ったライカンスロープが確認されているが、複数のバイオ因子を有した個体は、いまのところ発見されていない。草食獣系は繁茂し続ける植物に、肉食獣系はプラセクトや一部のリーファーに対抗している。

雷鳥超

[ らいちょうすぐる ] 人物 / 現代・青の世界

 漆黒のローレンシウムことサイクロトロンの搭乗者にして、戦斗怜亜と同じ名古屋市内の小学校に通う、1学年上の生徒。怜亜同様サッカーチームに所属するが、市営の少年サッカークラブの一選手にすぎない怜亜に対して、超は優秀な選手が集められ地域最強と目される《F.C.ブラックライトニング》を率いるエースストライカーである。

 青の世界の上層部アドミニストレータ カノープスの指令により、どちらのローレンシウムが優れているかを試すため、ローレンシウムと怜亜を襲うことになる。

 プロジェクトにおけるふたりのコードネームは「セイント・レイ」および「サンダーバード」。

楽園

[ らくえん ] 一般名詞 / 神域

 神域の彼方にあるという神々の住まう地。澄み渡る空と咲き乱れる花、美しい光景がどこまでも広がる。建物は石組みが中心、機械の類は一切存在しないなど、文明レベルは古代風。しかし、それは外観のみの話であり、人類にとっては超能力や奇跡と思えるような行動を容易く実行する神々により、随所にオーバーテクノロジーが施されている。

 絶対の階級制度が敷かれており、下位神は上位神に逆らうことはおろか意見することさえ満足に行えない。このことは白の世界で施行されている階級制度のモデルとなった。

 四大天使ウリエルと配下の十二使徒たちの犠牲により封印され、現時点では行き来が不可能となっている。そのため神の影響力は急激に衰え、さらに、一部の神は現代世界へ取り残されることとなった。

 そもそも、神域から現代世界へ神が降臨〝できるようになったのは〟何故か。ブラックポイント発生との関連性を軸に、カール・ワイバーン教授らが調査を進めている。

リーファー

[ りーふぁー ] 種族 / 緑の世界

 自然と共存する道を歩んだホウライやライカンスロープと異なり、植物の侵食を完全に受け入れた人類。植物と同化しきるまでには多大な時間を要し、一般的に長命な種族とされている。光合成の能力があるため、食事の必要もない。

 また、脳が植物に侵食されている影響だろうか、とても陽気でいたずら好きな性格に変わってしまうという特徴がある。彼らは完全な植物となる最期の瞬間までを極めてのーてんきに過ごす。1日の大半をイタズラに費やし、ライカンスロープの畑を荒らすなど深刻な被害をもたらす者もいるようだ。

リソース

[ りそーす ] 一般名詞 / 現代

 ブラックポイントから放出される、未知のパワー。生身の人間はブラックポイントに近づくことさえできないため、ゼクス関連でも研究の進んでいない分野である。

 ゼクスにとっては活動の源とされ、彼らはこのエネルギーなくして我々の世界に存在を維持できないという。存在が強力なゼクスほど莫大な量を消費し続けるため、ブラックポイント周辺から離れられない制約を持つ。逆に、ブラックポイントから離れた地に出現するゼクスは比較的脆弱なゼクスということである。

 程度の差こそあるが、すべてのゼクスはリソースの発生源や規模、消費量を感知できるため、離れた場所にどの程度のゼクスがどれくらい居るのかを推し量ることが可能。同様のスキャン機能はカードデバイスにも備わっている。

リソース症候群

[ りそーすしんどろーむ ] 一般名詞 / 現代

 ブラックポイントに近づくなどして、生身の人間が無防備な状態で多量のリソースにさらされると発症することがある。激しい頭痛や吐き気を催し、やがて昏睡状態に至ることが知られているが、ほとんど影響を受けない者の報告例もわずかながらに存在する。アルコールのように個人個人で体質の差が出るものなのかもしれない。

 発症した場合もリソースの影響下から離脱することができれば自然治癒するものの、一定時間を経過してしまうと後遺症が残ったり、最悪、意識が戻らないこともある。

龍王殿

[ りゅうおうでん ] 組織 / 緑の世界

 八大龍王 和修吉が、徳叉迦、難陀、跋難陀、摩那斯とともに興した、ホウライによるホウライのための国家。ライカンスロープの集落を襲い、その礎とした。掲げた理想は原始の九大龍王時代の権威を取り戻すこと。大樹ユグドラシルを信奉し、神(プリュツ)となった和修吉を信仰している。

 八大龍王の中でも特に名門とされる和修吉の門下生など精鋭ぞろいであり、総合的な戦闘力は非常に高い。なお、建国直後、徳叉迦に野心を見抜かれた難陀が追放されている。

竜の姫君

[ りゅうのひめぎみ ] 人物 / 白の世界・星界

 未来の可能性は無限である。しかしながら、世界がどのような変革を辿ろうとも、死の運命から逃れられない少女がいた。

 歴史が大きく動き出す以前に不治の病を発症し、生命を落とす。歴史が大きく動き出したとしても進化した人類の餌食となり、やはり生命を落とす。超技術により大量のクローンが創られても、最終的には全員が戦死してしまう。最後に挙げた事例の場合、同一個体であることを証明する魂をクローニングできているのかは不明だが。

 唯一の例外が白の世界と呼ばれる未来にある。精神の強さを見抜いた大天使ラファエルが慈悲を授け、病に蝕まれる少女の肉体を破棄。精神生命体エンジェルとして昇華させた。副作用により性格や思考は180度反転してしまったが、〝死の運命を脱して生き延びた本人〟にほかならない。

 その者は「十二使徒 天蝎宮バルビエル」。一癖も二癖もあると表現される十二使徒の中でも群を抜いて自由奔放、生命力にあふれる天使として、崇高なる双極天使ミカエルでさえ手を焼き匙を投げた人物である。他世界の侵略を阻むべく「十二使徒大結界」を仲間と共に展開した後、彼女はパトロールと称して空の散歩を楽しんでいた。一糸まとわぬ姿で。

 ――異変は、前触れ無く起きた。

 意識を失い墜落した彼女の髪は白銀に染まり、頭部には竜のような双角が、臀部には爬虫類を思わせる力強い尻尾が備わっていた。周辺には意思を持った不可思議なエネルギー体が漂っている。そして……。天使の象徴である光輪と白銀の翼は永遠に失われた。

 直後、空を埋め尽くすほどの竜が上空に出現。そのうちの1体が傍らへ着地すると、天使だった少女は目を覚まし、呟く。

「わたしがなんとかしなくちゃ」

 エネルギー体〝アストラルドラコ〟を伴った少女「竜の姫君」を乗せ、竜は蒼穹の彼方へ姿を消した。

竜の巫女

[ りゅうのみこ ] 人物 / 竜域

 竜の巫女は託す。ゼクスに対抗するためのカードデバイスを。

 竜の巫女は願う。〝異世界からの侵略者と戦って欲しい〟と。

 竜の巫女はどこにでもいる。竜の巫女はどこにもいない。その姿は、ゆめうつつ。

 現在、休眠状態にあるこの世界の始まりの竜には、他の世界(未来)からの侵略に対抗する手段はほとんどない。しかし、始まりの竜が休眠状態に入ると竜の巫女が始まりの竜を守るために現れるようにプログラムされており、竜の巫女はこの世界を守るために異世界からの侵略者と戦う者をこの世界で探し始める。

 他の世界の始まりの竜が倒されれば、その世界は消滅し、その未来が実現する可能性は潰える。すべての他世界の始まりの竜がこの世界からいなくなれば、この世界の始まりの竜は日本列島の地下より復活し、日本列島は沈没する。

 竜の巫女は休眠状態の始まりの竜の記憶の大部分にアクセスすることが出来ないため、始まりの竜が復活すると日本列島が沈没してしまうことを知らない。また、始まりの竜が復活すると竜の巫女もその役割を果たして消滅してしまう。

 ついに他の世界の始まりの竜たちがこの世界の始まりの竜を探し始めた。その証拠として小さな竜たちが世界各地の上空で目撃されている。他の世界の始まりの竜の目的は、この世界の始まりの竜を倒すこと。そして自らが望む世界を真の世界として確定させること。

「汝、この世界を護ってはくれまいか?」

竜脈

[ りゅうみゃく ] 一般名詞 / 竜域

 あらゆる場所へ張り巡らされた竜の巫女の通り道。どんなに距離が離れていても瞬時に目的地へ到達できる。迷い込んだ場合、竜の巫女の案内なくして抜け出すことはできない。

reunion

[ りゆにおん ] 一般名詞 / 現代・別次元

 竜の姫君が招いた「融和」は様々な異変をもたらした。

 五つの世界のリソースの混濁、赤の世界と緑の世界の異変、存在証明を迫る不可視の斬撃「虚のさざなみ」の脅威などである。あらゆる境界が曖昧となるか、あるいは、存在を消去されてゆく。

 そして、いま。急激な変化と境界の歪みはさらなる事象を招こうとしていた。

 過去でも未来でも遠い宇宙でさえない「別次元」との接続。黒崎神門超常現象研究室で行われていた「虚のさざなみ」の解析過程で発生した事故により、光の彼方から現れしものたちがあった。

 嫉妬深きレヴィーの手で虚無へ還ろうとしていた我々にとって希望の光となる彼女らは「パニッシャー」と、別次元接続の事象は「reunion(リユニオン)」と呼称されることとなる。

リルフィ

[ りるふぃ ] 人物 / 現代・別次元

 大きな花の髪飾り、天使の翼に魔人の尻尾、機械仕掛けの杖と、特徴的な外観を持つ少女。

 新規能力の開発を目的とする「九頭竜学園」の生徒であり、五つの未来世界が休戦同盟を交わし〝融和〟を果たした「別次元」から学園ごと異世界召喚された。

 同時に召喚された数名の生徒たちの中に慕っている「先生」の姿がなく意気消沈していたが、いつの日か「先生」が迎えに来てくれるのを待ち続けるお姫様ポジションの美味しさに気付いたいまは、前途について深く考えないことにしている。

 いろいろあって、ペンドラゴン使徒教会大阪支部に居候中。青の世界の要人であるポラリス、同じく白の世界のミカエル、黒の世界の凡人ソリトゥスとこたつを囲む日々。厳密には「パニッシャー」のひとりであるが、別次元の歴史に関わるべきでないという独自の考えのもと、様子見を決め込んでいる。

 トゥルードラゴン。

「リルフィの正体ですか? 乙女の秘密です~ッ! あんまりしつこいと、ぷんぷんしちゃいますからね!」

リンドヴルム協会

[ りんどう゛るむきょうかい ] 組織 / 緑の世界

 表向きはフランスに拠点を置く、地球温暖化を憂いアフリカなどの砂漠の緑化を進める環境NPO。だが、創立者の真の目的は地球上の生物すべてを植物化することによって世界から争いを無くし、永遠に近い寿命を与えるというもの。

 リンドヴルム協会が開発を進めた過酷な環境に適応して自らを進化させるバイオ植物によって砂漠の緑化は成功しつつあるように見えたが、バイオ植物に故意に混入させられていた寄生植物のDNAにより、昆虫、動物のみならず人間にも寄生を始め、地上に存在する生物のすべてが植物と化していった(人類のリーファー化)。

 最終的には創立者自身も地球全域を覆うような大樹ユグドラシルと化し、自らが吐き出すバイオ植物の種子によって自らの理想を推し進めていくことになる。

 欧米ではバイオ植物の暴走後、植物化を逃れるためバイオ植物に耐性を示した動物のバイオ因子を自らに組み込むことで獣人化し、野生に返った生活を送る者が現れた一方(人類のライカンスロープ化)、アジアでは植物に侵食された昆虫から取り出した抗体を体に取り込むことで植物化を防ぎ、あくまでも人間らしい生活にこだわる者が現れた(人類のホウライ化)。

[ 2017.12.07 追記 ]

 創始者は、百目鬼きさら。

リングデバイス

[ りんぐでばいす ] 一般名詞 / 現代・別次元

 失われたカードデバイスに代わるものとして、新たに開発された完全上位装置。

 腕輪の形状をしており、パートナーゼクスへなんらかの干渉を行う際は上部のクリスタルからカードデバイスのビジョンが浮かび上がる。仲間との通信機能や装着者を「虚のさざなみ」からガードしてくれる機能など、最前線で戦うゼクス使いの生活に密着するアップデートが行われた。

 アドミニストレータ ソルの想いを継いで青の世界を訪問した聡明な青年が、赤の世界の悪名高き博士と叡智を共有。さらに別次元から訪れた「パニッシャー」の技術を解析することで完成した。

レーベ・エンデ

[ れーべえんで ] 人物 / 青の世界

 獅子島・L・七尾のクローンであるNanaoXX(ナナオ・ナンバーズ)の65人目。正式名称はNanao00Le。名前の由来はオリジナルのミドルネーム「レーベ」と、終わりを意味する「エンデ」から。アドミニストレータ カノープスではなくアドミニストレータ アルクトゥルスの指示で誕生しており、彼いわく「イレギュラーX零号機」。

 オリジナルである七尾の幼少期をベースに設定されているため忍術の心得はなく、日本語も話せない。ほかの64人と比してトロン系メタルフォートレスとのシンクロ率が非常に高い反面、疲れやすい、飽きっぽいなど未成熟な点も散見される。少しでも身体への負担を軽減するため、平常時は体内のナノマシンがスリープ状態にあり、オリジナル同様の金髪となる。

[ 2021.01.21 追記 ]

 ソルの幹部のひとり。様々な発明を手掛ける偉大な人物と慕い、まとわりついている。イレギュラーX参号機にして三神器の系譜を継ぐ「ブライトロン」に乗り込み、万物を斬り裂く大剣を振るう。

 英語しかしゃべれないが、ソルが片手間に製作した翻訳機で、語尾のおかしな日本語を発声するようになった。

ロイガー・ダイナミクス

[ ろいがー・だいなみくす ] 組織 / 黒の世界

 円卓会議を構成する企業のひとつ。

 始まりはイギリスのウェールズを拠点とする、航空機の部品製造を主な事業内容とする町工場のような企業であった。だが、他の軍需企業と同様に第一次、第二次大戦で成長。その後はハイドラ財団と手を組んで冷戦期の軍拡競争や米ソの代理戦争を演出し、米英の軍産複合体と呼ばれる存在の重要な部分を占めるようになっていった。

 また、ロイガー・ダイナミクスは軍需だけでなくアメリカとソ連の宇宙開発競争にも参画し、月着陸船の設計をするなど、アメリカの月面着陸成功にも関与していたと言われている。

 アポロ計画の終了後もステルス戦闘機や軍事用ロボットなどの分野で画期的な発明を続けており、月着陸船に同乗していたロイガー・ダイナミクスの技術者が、月の裏面で人類以外の知的生命体の遺跡を発見し、そこで人智を超越した技術を手に入れたのではないかと囁かれている。

 仮面の属性は「憤怒(wrath)」。

ワールドアバター

[ わーるどあばたー ] 称号 / 五つの世界・星界

 アバターと対の存在。

 捻じ曲げられた〝世界の意思〟である「破滅を齎す進化概念」が、レヴィーによって姿を与えられたもの。

 赤、青、白、黒、緑の世界のそれぞれに対応する5体が存在し、強制的に〝つながり〟を断ち切られた者たちをあざ笑うかのように、レヴィーのパートナーゼクスとして振る舞う。

星界融和 「渾沌竜姫編」期間中 随時更新

[ わーるどあばたー・くらいしす ] 一般名詞 / 現代・星界

 叡智極点戦争が終結し、灰色の幻夢郷でひとときの休暇を楽しんだゼクス使いたちが、現代世界(竜域)へ帰還する日が訪れた。

 ところが、元いた場所へ戻れるはずだったゲートに誘われた先は、荒廃した見知らぬ地。さらに、呆気に取られる彼らを不可視の斬撃が見舞い、存在証明を迫った。融和を願う竜の姫君により歪みつつある五つの未来世界を、彼らは生き抜くことができるだろうか。

 ゼクス使いとパートナーゼクスたちは〝世界の意思〟により、5つのグループに分断されている。

[ 2022.09.30 追記 ]

 B41「未知<ミスティックアーク>」、B42「約束<ユナイトアーク>」周辺の物語を記載。

赤の世界

各務原あづみ+リゲル弓弦羽ミサキ+ガルマータ+ケィツゥーイリューダ・オロンド+マルディシオン+トネリ・マジョーリ百目鬼きさら+ヴェスパローゼ,イース+スイ

最強の個に固執した結果、滅びを迎えようとしていた未来。神のシナリオが途絶えたため、ギリギリのところで滅亡を回避している。しかしながら、黎明期に発生した核戦争の影響で寒冷化が進み、太陽の恩恵のない白銀の世界と化してしまっている。生き残った人類は正義の使者セイント・バードの導きにより、現代世界、北九州への避難を終えたところだったが……。

 ヨグ・ソティスのゲートをくぐった直後、彼ら彼女らは一面の銀世界に投げ出された。

 猛烈な吹雪に戸惑い、積雪に足場を取られながらも、そこは歴戦の戦士たち。野良ギガンティックや凶暴化したミソスを的確に撃退してゆく。一方で、殺意や法則性もなく何処からか発せられる「不可視の斬撃」には対応し切れず、講じた防御手段はことごとく無効化された。比較的冷静なイースが仲間からリソースの運用方法を教わり、矢面に立って強引に進路を切り開く。

 ケィツゥーがガルマータとの挙式を提案して却下された社へ避難した一同は、グロリアスドラゴンのカーディナルブレードと邂逅。一方的に課された試練に応じ、彼との死闘を演じることで武を示した。ゼクス使いとパートナーゼクスの疎通は完璧、個々の強さも認められたが、仲間同士の連携は壊滅的。総合評価を及第点とした上で、試練の真意が〝安倍晴明討伐を依頼するに足るか〟にあったとカーディナルブレードは語った。

 安倍晴明と縁のあるのはきさらのみ。赤の世界に肩入れする理由もないため逡巡していると、カードデバイスがなんの前触れもなく消滅。困惑する一同の元へ、さらなる客人が訪れた。それは、かつて神であった者ナナヤと、白衣を着た見知らぬ老人だった。

青の世界

黒崎神門+アレキサンダー倉敷世羅+オリハルコンティラノニーナ・シトリー+メインクーン黒崎春日+ネイ青葉千歳+龍膽

アドミニストレータ ソルが全人類のデータ管理を目指し、滅びを迎えようとしていた未来。神が定めたシナリオの上では〝科学技術の発達〟と〝妹の復活〟が決して交わらないと察したソルが、狂気の果てに全人類を機械化する装置「ウィルス・ヴォイス(Type.XIII)」を開発。スイッチを押す直前、夢想が現実となる幻夢郷の存在を知り、正気を取り戻した。放棄された装置は神々により全人類を焼失させる機能へと改変された。

 ヨグ・ソティスのゲートをくぐった直後、彼ら彼女らは高度に発達した機械都市へ辿り着いた。

 青の世界の最高責任者であるベガへの面会要求が受理され、神門たちは幻夢郷の出来事とソルの最期をありのままに伝えた。そして、自らも経験した「虚のさざなみ(不可視の斬撃)」や、面会の待ち時間に耳にした「赤の世界のブラックポイント問題」の解決協力を持ちかける。自身がソルの前身であることを明かした上で。

 治安維持部隊の高位権限を得た神門は「黒崎神門超常現象研究室」を設立。既に治安維持部隊に属していたニーナを新説部隊「カーバンクル」のリーダーに据え、肥大化する赤の世界のブラックポイントの最前線へ向かわせた。同時進行で、アバターと呼ばれる存在が言及している〝世界の意思〟の解析を開始。世羅と春日に《叶えし者》として焼失したキラーマシーンの残骸を調査させている。

 いきなり現れ、強権を振るい始めた神門を危険視する勢力は、千歳たちに抑えさせた。

 翌日、神門は早くも「虚のさざなみ」の発生源特定に成功。対象の気力を削ぎ、消滅へ至らしめる不可思議な事象を発生させる嫉妬感情体を「レヴィー」と名付けた。

 さらに神門はネオ・シャスターの優れた演算機能を私的利用し、水面下でブラックポイントを消し去る手段の研究に着手。五つの世界に関する情報収集を開始し、真っ先に〝各世界へ進んだ黒崎神門〟の検索を試みている。そして、赤の世界で発見した「Dr.黒崎」へのコンタクトを成功させるのだった。

白の世界

都城出雲+ガーンデーヴァ天王寺飛鳥+フィエリテ上柚木綾瀬+ズィーガー,夜刀うらら+アスツァール

精神の発達による不老不死を目指し、高度な精神体への進化を成したか否かにより生じた階級社会から、大規模なクーデターが発生。滅びを迎えようとしていた未来。ゼクス使いの介入により危機を脱するが、その後も、度重なる窮地に陥っている。

 ヨグ・ソティスのゲートをくぐった直後、彼ら彼女らは荒れ果てた大地に立っていた。

 そこは、飛鳥と綾瀬にとっては苦々しい記憶の残る場所。ガムビエルが放った洪水に流され廃墟となり、未だ復興の手が及んでいない白の世界の辺境エリアだった。ただでさえ暗澹たる気分が、気力を奪う「虚のさざなみ」で助長され、強い影響を受けた綾瀬は人格崩壊が疑われるレベルでネガティブになってしまう。綾瀬ほどではないにせよ、出雲からも凛とした気勢が失われていた。

 仲間の惨状に見兼ねた飛鳥がウリエルの剣を召喚し、天に掲げる。

 聖なる光を認識して舞い降りた天使モテッツに案内され、街で評判の喫茶店を訪れる飛鳥たち。集まって来た大柄な猫たちに囲まれ、ようやくひと心地着けられると思いきや。その店はガムビエルちゃんが切り盛りする「にゃんこカフェ」。猫と思われたモノは、猫を演じる小賢しいケット・シーだった。

 事実が判明した直後のこと。綾瀬が放心状態に陥ってしまう。それはケット・シーに気付いたからでも、宿敵の転生体に出会ったからでもなく、悪意ある嫉妬感情体「レヴィー」との邂逅に起因していた。

 レヴィーが配下のシロに命じてガムビエルちゃんを締め上げる。復讐の連鎖を断ち切り、悲劇を過去のものにしようと努力していた綾瀬の、どす黒い感情が掻き立てられた。3年前の〝あの日〟のまま、幼い姿のままの囁き声が、綾瀬の精神を追い詰める。

 彼女を護るため、立ちはだかる出雲と飛鳥。しかし、高く掲げたカードデバイスが指先で雲散霧消してしまう。人と人のつながりを妬むレヴィーは、全世界からすべてのカードデバイスを消し去った。

 圧倒的な力。訪れる窮地。そこへ――

 故郷を救ってくれたゼクス使いたちに大恩を感じている、ある人物が颯爽と駆けつけるのだった。

黒の世界

戦斗怜亜+ローレンシウム雷鳥超+サイクロトロン獅子島七尾+シンクロトロン天王寺大和+クレプス+アニムス,竜の姫君+アストラルドラコ

壊れた死の概念に魅入られ、滅びを迎えようとしていた未来。五つの世界の中でも真っ先に人間絶滅の憂き目に遭っているが、神の設定したシナリオが破綻しており(互いに寿命を奪い合うため総寿命は減少しない)、人間ではなく人類というくくりで語る場合は滅亡からほど遠い。絶望と恐怖で黒の世界の頂点に君臨する役割を与えられていた神祖の七大罪が黎明期に始末されているため、次元を越えて訪れたクレプスは〝ぬるい〟とコメントしている。

 ヨグ・ソティスのゲートをくぐった直後、彼ら彼女らは陰鬱とした空気の漂う荒野で――

 赤い鎧のアヴァンツと配下の黒剣に強襲されていた。狙いは無敵ロボのヴェイバトロン。だがしかし、ここでも発生していた「虚のさざなみ」は敵味方を問わなかった。戦意と繊維を奪ってゆく。

 混沌とする戦場の端、怜亜が少女を発見する。迷わずコクピットを離脱した彼は「虚のさざなみ」から少女をかばい、直撃を受けた。超の叱咤激励がなければ意識は戻らず、存在証明にも失敗し、消滅していたかもしれない。一方、コクピットに残った七尾は単独でアヴァンツの撃退に成功した。

 アヴァンツの敗走後。どことなくあづみに似た容姿の少女、竜の姫君は彼らに身の上を明かし、プライベートな悩みを打ち明けた。

 大勢と仲良くするためなら、仲良くできない者の排除は止むなし。そんな彼女の考え方を〝極端過ぎる〟と指摘しつつも、彼らは一定の理解を示す。ひとりひとりの考え方が異なることも、彼女にとっては新鮮だった。特に怜亜が提唱する「全部救う」考え方に感銘を受けた彼女は、これまでの短慮極まりない行いを深く反省。そして、〝友達になろう〟と差し伸べられた小さな手に、心の高揚を覚えるのだった。

 和やかな空気に包まれていたその時、一度は別れたアニムスが所在なさ気に戻って来る。彼女いわく、帰る場所を思い出せないという。自分の仕業だと気付いた姫君は虚数領域「星界」へのアクセスを試みた。星界送りにされたものは姫君の記憶からも消失するため、元に戻すには困難を極める。

 そう思われたが、それ以前に「星界」へのアクセスそのものを拒まれてしまうのだった。

 初めての事態に困惑する姫君を、不意の突風が襲う。

緑の世界

蝶ヶ崎ほのめ+迦陵頻伽天竜ゆたか+フレデリカ上柚木さくら+フォスフラム上柚木八千代+アルモタヘル剣淵相馬+フィーユ桜街紗那+ユーディ+ツンベルギア+カーネーション+ポピー,ピュアティ,和修吉+和修吉一派(エレメンツ)

大樹ユグドラシルがすべてを呑み込み〝ひとつとなる〟ことで、滅びた迎えようとしていた未来。五つの世界のなかでも知的生命が最も減少しており、すでに普通の人間はゼロ。数少ない生き残りは東北とフランスのブラックポイントから現代へ脱出を済ませた。緑の世界の攻略を担当していた神イシュタルは「箱庭」からの離脱を許さず、現代にも大樹ユグドラシルを発生させて他世界ごと滅ぼそうと目論んだが、志半ばで散った。

 ヨグ・ソティスのゲートをくぐった直後、彼ら彼女らは草蔓と樹木に覆われた深い森に迷い込んでいた。

 行けども行けども景色は変わらず。水と食料が不足し、体力は奪われる一方。あまつさえ「虚のさざなみ」が気力までも削いでゆく。何日歩いたかも判然とせず、正常な意識を保てなくなるほど追い詰められた。

 カードデバイスや同行者の消失にも気付かないほど消耗し、比較的元気だった紗那やフレデリカさえも無言となった頃。一行は相馬とピュアティ、和修吉率いるエレメンツ集団に遭遇。見知った顔の出現と、久しぶりに食料を口に出来たことで、ようやく緊張を解くのだった。

 九死に一生を得て、家族以外の誰も知らない「隠している力」をギリギリのところで行使せずに済み、人知れず安堵するほのめ。しかし彼女は、別の要因で驚かされることとなる。

 相馬が大樹ユグドラシルの中枢から逃げて来る間に遭遇したという人物が、ほのめにそっくりだった。一番最初にリーファーになった偉大なる存在であると主張する女性、ナズナに率いられ、一同は「安全な場所」へ移動を再開する。

 行く先に、大樹ユグドラシルの罠が張り巡らされているとも知らず。

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世界観設定 : ブロッコリー