STORY

2024.07.01 【 2024.07.01 update

DramaCD ブックレットの裏の裏

NC DramaCD04
「りげる★くらいしす」裏

2016.1.28 release

りげる★くらいしす

File. 1:

 あづみの病気を全快できるモウギなるものを求め、旅に出てからどれだけの日数が経っただろう。見せてもらったことはないが、あづみは東北を発って以来、日記をつけている。私も真似をして、記録をつけてみることにしよう。

File. 2:

 旅に同行してくれた青葉さんと龍膽さんは表裏の無い人物で、非常に心強い存在だったのだけれど……。はぐれてしまった。人目につきにくい瀬戸内海を行こうと瞳を輝かせて主張する青葉さんの意見を、きっぱり却下するべきだったのだ。ふたりは鳴門の大渦に呑まれてしまった。あのふたりのこと、死にはしないだろうけど……。

File. 3:

 神戸に立ち寄る。記録内容が多岐に渡るため、詳細は別ファイルにて。

File. 4:

 出雲大社へ立ち寄る。記録内容が多岐に渡るため、詳細は別ファイルにて。

File. 5:

 赤の世界の奴らに、あづみがさらわれた。離反した青の世界からの刺客は「A-Z」以降なく、通過した白の世界エリアでのいざこざもなかった。私に油断があったのだろう。感情が昂ぶるあまり途中経過をほとんど覚えていないが、はぐれていた青葉さんと龍膽さんも駆け付け、ことなきを得た。人と人の絆を、仲間の存在を、ありがたく思う。

File. 6:

 タクシャカさんのまじないの効果が切れたのか、久しぶりにあづみが発作を起こした。なぜだか薬も効かない。もうすぐモウギだから、それまで頑張れ、あづみ!

File. 7:

 モウギは単なる木の根。治癒の効果は無い。衝撃的な情報がもたらされ、目の前が真っ暗になった。誤情報を寄越したタクシャカへの怒りよりも、あづみの病状を改善する手立てが失われた焦りばかりが募る。……いや、ひとつだけ手段があった。私が青の世界へ投降すればいい。おそらく私は処分されるが、優秀なゼクス使いであるあづみは救われるはず。そしてまた、緑の世界へ害を為す駒にされるのだろう。それでも、生き延びてほしい。青葉さん、龍膽さん、黙っていなくなってごめんなさい。私は恨まれてもいい。でも、どうかあづみのことは……。

File. 8:

 私の処分が決定した。記憶消去とのことだ。あづみとの想い出はすべて無へ。リセット後は友人設定さえ失われる。なんだか寂しいけれど、やるせないけれど、悔しいけれど、心が張り裂けそうだけれど、あづみの生命には代えられない。私は、最良の選択をする。ただそれだけ……。

File. 9:

 さようなら、あづみ――

ショートストーリーの関連人物

リゲル 青の世界が派遣した、あづみのパートナーゼクス。オリジナルXIII Type.II-3。元々は感情制御プログラムを施されていたが、ポラリスの工作により解除された。いつしか人間以上に人間らしい感情を見せるようになり、いまやあづみの過保護者として暴走しまくっている。
各務原あづみ 青の世界のゼクス使い。類稀なる才能を持つが、生まれつき病弱だったため体力や一般知識は同年齢の者に比べて劣る。他人を疑わない善良な性格が仇となり、悪い大人に利用されてしまう。一時期は絶望から神の使徒に成り果て、青の世界を窮地へ追い込んだ。
青葉千歳 緑の世界のゼクス使い。困っている者を放っておけず、緑の世界の住人からの信頼は極めて厚い。〝小さな守護者(リトルガーディアン)〟とも呼ばれる。敵対したあづみの病気治療にも手を貸し、東北から九州への旅にも同行したほど。
龍膽 千歳に忠誠を誓ったパートナーゼクス。彼女に輪を掛けて義理人情に厚い。朴訥で乙女心をまったく理解しないため、よく千歳の逆鱗に触れては「!!(バコン!)」されている。一刀流・二刀流ともに卓越した腕前を見せる武人。
Type.I あづみの遺伝子を受け継ぐクローン「オリジナルXIII」の一番目。姉妹のうちで最もあづみ(AZumi)に近いため「A-Z(エー・トゥ・ゼット)」の異名を付けられた。アドミニストレータ ベガの忠実な尖兵であり、あづみを拉致するため接触した。
徳叉迦 モウギに眠るソーマを手にするため暗躍する、和修吉に与する者。〝モウギが病気快復の特効薬となる〟と偽の情報をあづみに与え、必ずや計画の障害となるだろう千歳ともども遠ざけた。

ショートストーリーの補足と解説

 「DramaCD06」はかなり特殊な形態で販売されました。

 ブースターパック第15弾「起動!超神器」初回限定セットの同梱物なんです。

限定版

 通常版ボックスとの温度差がヤバイですね。

通常版

 Z/Xの登場人物、特に主人公勢は大抵が重い過去や悲運を背負っています。

 あづみはその代名詞的存在で〝14歳のうちに必ず病死する〟〝青の世界と緑の世界と神に利用される〟というように、先天的にも後天的にも酷い目に遭っています。

 内気で優しすぎる性格も、悪い方向へ働きました。

 他人を疑わない病弱少女は、ブラックポイント出現直後に重度の「リソース症候群」を患い、3年もの間、意識不明状態へ。14歳の身体に10歳相当の精神・知識という、アンバランスな存在となってしまいます。

 近年登場した「竜の姫君」は、この〝なにも知らない〟純真無垢なあづみがベースとなっています。

 ブックレット裏は、あづみを苦境から解放したい一心で青の世界を裏切ったリゲルの日記を抜粋したもの。

 記載にある通り、頼みの綱のモウギではあづみを救えない事実が明かされます。そこで彼女の取った行動は、離反した青の世界への投降とあづみ救命の嘆願でした。見返りは記憶の消去。

 リゲルを失ったあづみの心は壊れ、神マルドゥクの《叶えし者》となってしまいます。

 嘆きの声で機械を破壊する異能《共振崩壊》は青の世界へ甚大な被害をもたらしました。その毒牙は、かつて大切なパートナーゼクスであったリゲルにまで及ぶほど。闇と病みの深さに、髪も白くなりました。自らの異能で、良くも悪くも体調をコントロールしていたナノマシンを破壊し尽くしてしまったためです。

 青の世界への呪いを具現化した白髪verは「英雄達の戦記X」の動画などで使用されています。

各務原あづみ
各務原あづみ

 ですが、これまでリゲルと紡いできた絆が、すべての問題を解消させました。

 あるタイミングに前後して必ず生命を落とす運命を、彼女は乗り越えてみせたのです。同様に「死の運命」を克服した人物は、ほかにも八千代と春日がいます。

 髪の色といえば、あづみの髪は本来、薄茶色です。

 アドミニストレータ ベガに悪性のナノマシンを埋め込まれた影響であの色になりました。のちにベガと和解したあとは良性のナノマシンに置き換えられています。

 ちなみに、Z/Xメインストーリーの舞台となっている第6星界にとっては〝教科書的な存在〟である第5星界、つまり「リユニオン時空」で過ごす、あっちのあづみは――

 最終進化ゴッド各務原あづみに到達し、本来の髪色に戻ったりもしました。

各務原あづみ Unite<R>
各務原あづみ Unite<R>

 あづみの「死の運命」については先程触れた通りですが、例外的に生き永らえた未来の姿も存在します。白の世界の偉大なる十二使徒“天蝎宮” バルビエルです。天使は肉体を持たないため、チート気味に病気を克服した形です。病弱で気弱な性格を嫌った状態で天使へ昇華した結果――

 極めて開放的な性格となってしまいました。

 こうなる可能性を知ったあづみは、〝白の世界の未来は絶対に阻止しよう〟と呟いたほどです。

バルビエル

 こんなにバーンと載せてしまって良いんでしょうか。

 ……いえ。しかしですね、鉄壁リボンと謎の光でどんな角度からも絶対に見えませんし、過去に何度か紹介してますし、いまさらですよね。OKですよね。あっ。リゲルさんすみませんやめ――

関連リンク / 時系列順

 前後のショートストーリーです。

 今回はあづみとリゲルを中心に関連テキストを抽出しています。

 とはいえ「DramaCD01」で触れた革命戦にも関わったふたり。項目はかなり重複しています。

 そこで、懐かしのショートストーリーを新たに転載しました。

 2016年に販売された「5周年記念公式同人誌」に掲載された、ベガの半生を綴る「蒼の追憶」です。あづみとベガの関係が明記されたショートストーリーとですので、未読の方はぜひともご閲覧ください。

  • DramaCD06「りげる★くらいしす」ドラマ本編(前半)
  • DramaCD06「りげる★くらいしす」ドラマ本編(後半)
  • DramaCD06「りげる★くらいしす」ブックレット裏
  • DramaCD09「13姉妹 雪月花」ブックレット裏
  • DramaCD12「さみしがりアニムスとぬいぐるみフレンズ」ドラマ本編
  • DramaCD15「ニグたんの呼び声」ドラマ本編
  • DramaCD19「ソトゥなし放送局14ch」ドラマ本編
  • DramaCD19「ソトゥなし放送局14ch」ブックレット裏

 リゲルが消された記憶を取り戻し、あづみが焼失を免れて以降、ふたりは他者の活動支援に奮闘。破神戦と革命戦に参加したのち、九州で離れ離れになった千歳たちを訪ねるため、東北へ向かいました。

 ですが、道中で出会った迦陵頻伽が神を再降臨させる《楽園の鑰匙》のひとりだと判明。神にさらわれた彼女をほのめとともに奪還する過程でミサキとも邂逅。最終的に千歳との再会も果たします。

 辿り着いた千年國で4人とパートナーゼクスたちは親睦を深め、のちにク・リトのシュブニ・グや快楽殺人者イリューダまでもが居着きました。

 なお、このタイミングで集ったゼクス使い5名(ほのめ、あづみ、ミサキ、イリューダ、千歳)が新時間軸において「四世界議会の親善大使」に就任しているのは、偶然ではありません。千年國が種族の垣根を越えて団結した〝融和〟の考え方を継承しているからです。

 融和というと、誰かさんがよく口にしていたワードですね。

 「英雄達の戦記LV」 の最終戦で〝記憶を持ち越してほしい男性(女性)〟というアンケートが行われました。

 あれでもしもイリューダが選ばれていた場合は、正式な黒の親善大使としての活動が想定されていました。さらに、旧時間軸のラストでミサキと交わした約束を受け、トネリは弓弦羽孤児院に預けられます。一方、トネリはトネリでパパが心配。イースや紗那たちに黙って車に乗り込み、ついて行ってしまいます。

 考えていたのはここまでですが、トネリはヨグ・ソティスに肉体を奪われていた経験があるため、リルフィのアレコレにも影響を与えたことでしょう。

 この辺りが〝未来を変えるカードゲーム〟Z/Xならではの要素ですね。

 具体的な続きやさらなるスキマが気になる方は、「各務原あづみ」 の旧時間軸に格納されている「軌跡」をご参照ください。

 そして、これを読んでくださっている皆様へ。

 飛ばした「DramaCD05」と「DramaCD07」以降はドラマ本編についても台本を転用する形で、合わせて公開したいと考えています。ドラマ本編が確認できないと、解説が中途半端となるのを痛感した次第です。

 更新ペースは緩やかになりますが、よろしくお願い致します。